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【高齢者の投資】資産運用経験のない高齢者に最適な投資方法は存在するのか

先日、高齢者が投資詐欺被害に遭いまくっている的な記事を書いたが、今回は仕事を完全リタイアした高齢者に最適な投資方法が存在するのかについて考えてみたいと思う。

というのも、最近勃発しまくっている投資詐欺事件を見ていて気付いたのだが、「投資経験はないが投資をしたがっている」というカテゴリーに属する高齢者の数は、自分が思っている以上に多いと思ったからだ。

「ふふふ、退職金が多めに余っているから、投資でもしようかね...」

そんな感じの感覚なのかもしれないが、現役時代から投資をバリバリにやっていた方は別として、退職後から投資を開始する高齢者に最適な投資方法など、果たしてこの世に存在するのだろうかという疑問がある。

「退職金をうまく運用して老後資金にしましょう」

金融機関からの営業メールやパンフレットには盛んにこんな感じのキャッチコピーがデカデカと踊っていたりするし、また、謎の投資会社の営業マンが同じような言葉を高齢者にささやき、「早く投資をしろ」と促したりする。

「投資をしないと、老後生活が破たんしたますよ」

「それはまずい、ばあさん!!今すぐに投資を始めよう!!」

こうして、投資経験のない高齢者がリスクの高いアクティブファンドを買ったり、投資詐欺にひっかかったりする。

そして、大体の場合は大損をしてしまって老後の大切な生活資金を溶かしてしまうのだ。

高齢者の資産運用を考える際には、まず現役世代とは投資の前提条件が全く異なっているという点について留意する必要があると思う。

現役世代の場合は、給与やボーナスなどの定期収入があるため、例え投資で失敗したとしてもそれらの収入で被った損失補てんをして、再度投資にチャレンジすることが可能だ。

一方で、仕事を完全リタイアした高齢者の場合は、すでに収入が途絶えてしまっており、あったとしても少ない年金くらいなので、投資で大損をしても失敗を取り返すことは不可能に近い。

そのため、高齢者が投資をする場合には、現役世代よりもよりディフェンシブな姿勢で投資を行う必要がある。

「ディフェンシブ」とは、平たく言って「大損する可能性を可能な限り排除する」ということを指す。

そう...高齢者は絶対に大損してはいけないんだよ。

なので、基本的には大きなリスクをとってはいけないのだが、世間一般に溢れている投資商品の中には大きなリスクを伴うものも多く存在している。

個別株投資、FX、仮想通貨、エクイティファンドもどき、ラップ口座などなど、数え上げると切りがない。

そして、不思議なことに投資経験のない高齢者でもこういった投資商品に金をつぎ込んでいるケースが多いように思う。

だが、大概のケースでは悲惨な結末を迎えることになり、最悪のケースでは虎の子の生活資金を溶かしてしまうことになる場合もある。

そういった事態を回避し、高齢者でも低リスクである程度のリターンを期待出来る投資方法は存在しているのだろうか?

さあ、では高齢者にぴったりの投資商品を考えていこう!!

...と言いたいところだが、実は投資初心者の高齢者が買う投資商品を考える前に、もう一つ考慮しておかないといけない重要なことがある。

それが、投資をする際のメンタル面だ。

おいらね...これかなり重要だと思うんだよね。

日中は仕事に追われている現役世代と、すでに仕事をリタイアして日中暇な高齢者では投資が及ぼすメンタル面への影響もかなり違ってくるからね、

現役世代の場合は仕事が生活の中心に据えられているので、日中に日本株の株価をチェックしまくったり、夜中から朝までNY市場の株価をチェックしたりすることは物理的に不可能だ。

そして、仕事の方に集中しているときには株のことを忘れてしまえるので、集中投資などで大きなポジションを抱えていない限りは、昼間っから株のことばかり考えることはない。

一方で、リタイア済みの高齢者の場合は圧倒的に暇なので、日中でもスマホで株価をチェックしまくることが出来るし、その気になれば夜から朝までNY株の値動きを追うことが出来る。

そのため、株等に代表されるリスク資産の値動きにメンタルを左右されやすいのだ。

例えば、おいらが保有している三機サービスのような値動きの激しい小型株を買ったりすると、1日の中で普通に3~4%程度株価が動くので、それを確認し続けながらメンタルをすり減らし続けることになる。

「おお、2%あがっとる!!これはいけるぞ!!」

「おあああああ!!4%も下がったとる、もうアカンか!?」

「5%下がった...もうダメだ」

こんな感じでメンタルをすり減らしていき、最終的には含み損を大きく抱えた状態で損切を行ってしまう。そして、その後大体株価は上昇することが多い。

さらに、高齢者の場合に深刻なのは、損切した時点でメンタルの毀損が終了するわけではないという点だ。

「あああ、虎の子の金をなくしてしまった...よーし、ここは一発逆転を狙って博打銘柄で大逆転だ!!」

こんな感じで、大損をこいたあとにさらにリスクの高い投資に移行する可能性が高く、その結果として傷を深めていってしまうのだ。

こうなってくるともう最悪で、収入が年金しかない状態でどんどんリスクの高い投資を行ってしまい、さらにはその度に失敗することでメンタルもグチャグチャになり、結果として再起不能状態まで追い込まれる可能性すらあるだろう。

若い現役世代であれば、「よし、もう投資からは足を洗って仕事を頑張ろう」と開き直ってやり直すことが出来るが、リタイア済みの高齢者はその選択肢を選ぶことは不可能だ。

なので、再起不能状態まで追い込まれてしまった場合、最悪の場合は自己破産まで追い込まれてしまう事態となる可能性もある。

「じゃあ、高齢者は投資をするなということか!?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれないが、決して投資を絶対にするなというわけではない。

ただ、現役世代よりもリスクを取ることを避ける必要があるし、出来るだけメンタルに負担が無い投資方法を実践する必要があると思うのだ。

ここまで述べた理由から、おいらはリタイア後の高齢者が投資を始める場合は、商品を選ぶ前に「自分にとって最適な現金比率」を設定しておくことをお勧めする。

なぜ現金比率が重要かというと、投資を始めると体験する資産の増減に対して心にゆとりを持つためだ。

「投資は余裕資金でやりましょう」という言葉があるが、あれは現役世代にはそっくりそのままは当てはまらないが、投資初心者の高齢者にはモロに当てはまると思う。

例えば、以下のケースを自分の資産に当てはめてよく考えてほしい。

■総資産の70パーセントを株式等のリスク資産としている場合に、瞬間的に相場が暴落して保有する資産価格が30パーセント暴落したケース。

★資産内訳

・株式: 700万円

・現金: 300万円

・合計:1000万円

★リスク資産価格が30パーセント下落した場合

・株式:490万円(700万ー(700万×0.7))

・現金:300万円

・合計:790万円

どうだろうか?

もしも自分の資産価格を当て込んでみて、「うわ...これ嫌だな」と思ったなら、あなたのリスク耐性は決して高くなく、よくて常人並みだと考えた方がいい。

ちなみに、おいらは自分の資産価格を当て込んでみた結果普通に無理だと思った笑。

人間というのは自分が思っているよりも遥かにリスク耐性が弱い場合が多いので、このようにリスクが顕在化した場合にパニックとなってしまう可能性が高い。

そして、パニックになると無用な損切などを行ってしまい、その結果前述した負の無限ループにはまってしまう可能性があるのだ。

それを防止するためには、現金比率を「自分が安心」というパーセンテージで保っておく必要があると思う。

そして、「自分が安心」という比率は各個人によって違うので、月々の生活費等を正確に計算し、「生活費×〇カ月分」といった感じで自分に最適な現金比率を設定しておくべきだと思う。

このシュミレーションは面倒臭くても、絶対にやっておいた方がいいだろう。

ここまで来て、最後に何に投資をするかという話なんだが、ここでもやはり重要なのはディフェンシブであるということだ。

極力リスクを排除したうえで、どの投資商品がいいのかを選ぶ必要がある。

そう考えると、候補としては下記のようになってくる。

・個別株→少量ならOK

・ETF→インデックス系はOK

・FX→論外

・仮想通貨→論外

・投資信託→インデックスファンドはOK

・ドル建MMF→おすすめ

・債券→OK

う~ん、やはり月並みな結論だが、どうしても株式指数に連動するインデックス型のETFや投資信託がベストだな。

債券は格付けが高いものを選べば元本毀損のリスクが非常に低いので、高齢者の資産ポートフォリオには必ず組み込んだ方がいいと思うのだが、円建てのものだとそもそものリターンがメチャクチャ低いので、果たして投資する意味があるのかという疑問が残る。

利回りが2~3パーセントくらいのものがあればいいのだが、円建てでそのレベルの債券は常時市場には出回ってないからね。

なので、おいらは債券よりもドル建のMMFの方が今現在の為替や利回りを考えると物価上昇リスクに対してのヘッジ効果は高いように思う。

MMFとは、ドル建で発行されている格付けの高い債券に投資する投資信託のことで、ネット証券であればどこでも買える金融商品のことだ。

外貨建MMFはトルコリラやアフリカランドドルなど、超高金利通貨建てのものもあるが、そういったものは手出し無用だ。

あくまでもドル建のものを選ぶべきだと思う。

というのも、日本の生活必需品の物価はエネルギー価格を中心に為替に影響される場合が多いからだ。

具体的には、「極端なドル高/円安」となると輸入品である石油価格等が上昇し、結果としてそれらのエネルギーを使用して製造する商品や提供されるサービスの価格が上昇する場合が多い。

なので、ドル高となったときに価値が上昇するMMFを保有しておくことによって為替による物価上昇リスクをヘッジしておくのだ。

次に、インデックス系のETFやインデックスファンドだが、これはリターンを追求するためには必ずポートフォリオに組み込んでおいた方がいい投資商品だと思う。

というか、普通に個別株投資をするよりもインデックス系のETF等の方が高いリターンを得られる場合も多いので、これはぜひ組み込んでおくべきだろう。

銘柄は、ありきたりだがETFであればVOO、投資信託であればemaxisシリーズなんかがベストなんだろうね。

資本主義社会というのは、その構造的に理論上はどんどん規模が拡大していくはずなので、そこにお金を預けて増やしてもらうという考え方だね。

そして、最後に個別株投資なんだが、これは正直やらない方がいいだろう笑。

やりだすと完全に止まらなくなって、せっかくいい感じの価格で買ったインデックスファンドやMMFを解約して金を突っ込んでしまう可能性があるからね。

ただ、止めてもやる人はどうしてもいるだろうから、その場合はリスク資産ポートフォリオの1~2割にとどめる遊び程度にしておくことをお勧めする。

各リスク資産の保有割合は各個人によって求めるリターンが違うので自分で考えるしかないと思うのだが、おいらが退職後に投資をするなら下記のような割合にするだろう。

・インデックス系ETF:60%

・ドル建MMF:20%

・債券:15%

・個別株5%

現金比率を60%くらいで想定しているので、かなりディフェンシブだと思うかもしれないが、これでも十分に攻めていると思う。

おいら、高齢者の場合は投資で増やすというよりも、いかにインフレ等で資産を毀損しないかに意識を向ける方が重要な気がするんだよな...。

なんせ、収入が途絶えてしまっている場合は極力ディフェンシブにいくのが正解だと思う。

インデックス系のETFでも配当金をきちんと支払ってくれるので、これくらいの比率であっても投資を楽しむことは十分可能だ。

なので、個別株のリスクを大きくとってまで投資をやる必要性は全くないと思うんだよね。

おいらは今現在は絶賛高リスクな投資をやっているが、老人になれば上記のような感じの資産へとシフトしていくだろう。

まあ、その前に個別株投資で失敗→破産してしまっている可能性もゼロではないが...。

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