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高齢者が投資詐欺の被害者になりまくっているがなぜなのかを教えようか

見てごらん、なかなか美味しそうな獲物だ。

毛並みはいいし、肉付きもまあまあ、そして、まだ独り立ちして間がないのか、このサバンナのルールを知らないようだ。

ライオンたちは、新しい獲物を見て、ほくそ笑むようにしてそう囁きあった。

あと数時間もすれば、この若いガゼルはライオンたちの餌食になってしまうだろう。

残酷ではあるが仕方がない、ここサバンナでは、古来より続く弱肉強食の野生の掟が今でも連綿と受け継がれており、弱者は強者の餌食になる運命にあるからだ。

そのため、このガゼルはまず首のあたりをライオンの鋭い牙で貫かれ、その後内臓を引き裂かれ、フレッシュな血に染まった真っ赤な肉をライオンの群れに貪られてしまうのだ。

...。

サバンナ怖ええええ...。

そう思われた方もいるかもしれないが、これは何もサバンナだけで起こっていることではない。

ここ日本においても、弱者である高齢者が投資詐欺業者に次々と狩らるという減少が永久に続いており、ガゼルがライオンに引き裂かれる時と同じように、真っ赤な血が流れ続けているのだ。

最近、いや、ここ数年、高齢者が投資詐欺に遭うという事件が頻発している。

直近でも大きな投資詐欺事件があったが、そのほかにもそういった詐欺被害の話は後を絶たない。

大体のケースでは、被害に遭うのはすでに仕事をリタイアした高齢者たちで、中には数千万円の資金をそういった投資詐欺による被害で失ってしまう人もいるらしい。

そういった投資詐欺の案件には、ある共通点があることに気が付いた。

下記に記載した点にいくつか当てはまるのであれば、その投資は詐欺である可能性が高いと考えた方がいいだろう。

・高額な配当金を長期間保証する。

・元本割れは無いと説明をする。

・急いで始めた方がいいと勧誘される。

この三点セットが揃えば、その投資案件は見送った方が賢明だろう。

なぜかというと、まず、高い配当金や利回りを長期間保証できる金融商品など、今の時代は存在しない。

投資商品の構造をシンプルに説明すると、以下の通りだ。

運用者は投資家から集めた元本を使って事業を行い利益を生み出す。そして、その利益を出資してくれた投資家たちに均等に分配する。

忘れてならないのは事業を行う過程では人件費や設備投資費など、さまざまな事業費用がかかるので、投資家の手元に残る利益が莫大な額になるということは通常はあり得ない。

農産物の販売であろうが、不動産の賃貸であろうが、利益というものは上振れしたり下振れしたりを繰り返す。

そのため、長期間安定的に高い配当金、例えば10%を超えるような配当金を支払える投資商品などまず存在しないと考えた方がいいだろう。

例えば、日本の不動産市場に投資をするJリートは、税法上生み出される利益の90%以上を投資家に還元出来るように設計されている。

最近は日本の不動産市場が回復しており、Jリートの分配金もずっと上昇を続けている。しかし、その一方でJリートは人気がないので価格が上昇しない。そのため、配当利回りが高くなる条件が揃っているのだ。

そのJリートでさえ、配当利回りは3~7%だということはよく覚えておいた方がいいだろう。

そして、もちろんJリートの分配金の支払額は一切保証などされていない。不動産市況が悪化すれば余裕で分配金の額は引き下げられてしまうだろう。

次に、元本割れが無い投資商品についてだが、経営が安定している銀行の定期預金や、非常に高い格付けの債券以外にはそんな投資商品は存在しないと考えた方がいい。

株式、仮想通貨、FX、ジャンク債、不動産、アンティークコイン、クラウドファンディングなどなど、投資商品にはすべて元本割れする危険や、下手をすれば投資元本すべてが吹っ飛んでしまう危険が内含されている。

リスクの無いところにリターンはない。

これはごくごく当たり前の論理なのだが、目の前に「美味しそうな投資案件」をぶら下げられると、こういった常識を忘れてしまうケースというのが結構多い。

そして、騙されたと気づいたあとになって、初めて「リスク」という言葉の概念を理解するのだ。

最後に、「今すぐに始めましょう、もう時間がありません」という決めゼリフをセールスマンが口走ったら、その投資案件はヤバいと思った方がいいだろう。

なぜかというと、「今すぐに始めなければならない投資」など、一切この世に存在しないからだ。

もう一度、先ほどの「リスクの無いところにリターンは存在しない」という言葉を思い出して欲しい。

投資商品の価値や、企業利益というのは刻一刻と変化しているので、いつが最良の投資タイミングなのかなんて誰にも判断は出来ない。

例えば、昨年最高値を更新し続けていたアップル株(おいらも保有)について、株価が200ドルを超えたあたりから、日本人投資家からもその利益システムが絶賛され始め、「我も我も」と皆が急いでアップル株を買いまくっていた。

そして、その後どうなったかというと、主力製品であるアイフォンの販売不振により株価は一瞬で暴落し、一時は高値からマイナス30%超の大暴落となってしまった。

他にも、そういった例は上げれば切りがない。

そういった例からも、「今すぐに始めなければならない投資」というのはこの世に存在しないということがよくわかるだろう。

ここまで読んだ読者の方は、「そんな3点セットが揃った怪しい投資話なんか断るに決まっているじゃない」と思われるかもしれない。

ところが、人間というのはいざ目の前に儲かりそうな投資話をぶら下げられると、その投資商品がヤバそうだと思っていても飛びつきそうになってしまうのだ。

おいら自身も、以前から欲しいと思っていた株が急騰をし始めると、「今買わなきゃ一生買えなくなる」と思って飛びつきそうになることがよくある。

しかし、大体の場合は数か月後に株価は下落していて、「あのとき買わなくてよかった」となる。

人間、目の前に儲けのチャンスをぶら下げられると意志が弱まってしまうのだ。

そのため、投資詐欺の被害者となる高齢者たちが後を絶たない。

多くの高齢者たちはそもそも投資経験がなく、投資で失敗したことも成功したことも無いので、「いつ始めるの?今でしょおおおおおおお!!」とハッパをかけられると「今始めなきゃ!!」と焦って契約書にハンコを押してしまうのだ。

そして、数か月経過したあとくらいに、期待していた配当金の支払がシャットダウンされ、大損をこいてしまう。

そして、こういった投資詐欺に遭う多くの高齢者たちは結構お金を持っていて別に生活に困ってはいない。

なので、そもそも「投資をする理由」というのが乏しい場合が多い。

余生を楽しく暮らしていけるくらいのお金が手元にあれば、別にリスクを冒してまでお金を増やすはずなどないのだ。

これは、高齢者だけではなく、投資で成功している人にも言えることだが、お金には一種の強い魔力があり、いくら持っていても「もっと、もっと」と欲しくなってしまうので、「お金を増やすこと」それ自体が目的となってしまうケースが非常に多いのだ。

そのため、ボロ儲けのチャンスがあると、そのチャンスの裏側に存在するリスクの存在を忘れてしまい、大金を賭けてしまいたくなるのだ。

そして、最悪の場合は全財産を吹っ飛ばしてしまう。

そのようなリスクを冒してまで、「お金を増やす必要」があるのかはよく考えてから投資をするべきだと思う。

よく考えたうえで、そこまで大きなリスクを冒したくないという場合は、リスクの量を減らして投資をすればいい。

別に大金を賭けるだけが投資ではない。

投資は、自分が望む資産の額を達成するための手段なのだから、自分が許容出来るリスクの範囲内でやればいいのだ。

そして、投資を今から初めてみようという高齢者の方の場合は、現役世代に属する人間よりもより慎重に「お金を増やす必要」があるのかをよく考えてから投資を始めた方がいいだろう。

「もっと、もっとお金が欲しい」という気持ちは理解できるが、果たしてそれは今後の残された余生の生活を崩壊させるリスクを負ってまでやるべき投資なのか、その点について真剣に考えるべきだと思う。

大体の場合は、そこまでのリスクを負ってまでやるべき投資などこの世に存在しないと思うけどね。

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