今では考えられないことだが、その昔、電車の中でもみんな普通にタバコを吸っていた時代があった。
四人座りの席の肘掛けに灰皿があって、みんな電車の中でプカプカたばこを吹かしていた。
もしも今それをやったら、前代未聞のキチガイとして通報され、鉄道警察に捕獲されてしまうかもしれない。
たばこのポイ捨てだって、昔はごく一般的に誰もがやっていたが、今では条例で禁止されているくらいだ。
ある時代では常識だったことが、ある時代では非常識になってしまう。
しかし、どうしてもその変化についていけない人も中にはいて、たまに腰の曲がったじいちゃんがたばこを吹かしてから勢いよく地面に叩きつけているのを見かけることがある。
「おいこらジジイ!!やめろ」
そう注意してあげたいが、その人が長い間生きていた時間の中では、それは誰もがやっていた行為であり、人生の後半戦でそんなこと注意されても、「いや、何が悪いの?」と逆に戸惑ってしまうだろう。
本質的に言うと、たばこのポイ捨てはゴミを公共の道路等に捨てる行為だからダメに決まっている。
だけど、昔は時代の空気的にOKな行為だった。しかし、今は時代の空気的にダメになっている。
何が正しくて何が間違っているかといのは、時代によって左右されてしまうのだ。
しかし、その物事や常識の本質を理解しておけば、何か変化が起こった時にうまく対応できる可能性が高い。
だから、本質を理解できる感性は持っておきたいと常々思う。
SNSが発達し、限界まで情報が錯綜して混乱している現代だからこそ、本質を理解するというシンプルなことに意味があると思うからだ。
🚬
日本の高配当株で投資家のみなさんお馴染みのJTが、バングラディッシュ2位のタバコ会社の事業を1645億円で買収することで合意したと発表した。
JTといえば、つい先日フィリピンやインドネシアのタバコ会社を買収したばかりだが、またまた巨額の買収に踏み切ったわけだ。
普通で考えれば買収しすぎだろ!?と突っ込みたくなるが、JTの場合は海外を攻めないといずれジリ貧で事業縮小してしまうことが目に見えているので、ガンガン大型買収を繰り返しているのだ。
JTの拠点である我が国日本では、猛烈に禁煙化が進んでいて、もはや喫煙者=悪といわんばかりに全面禁煙の店が増え続けている。
なんと、禁煙の居酒屋も結構ある。
酒とタバコはセットなので、タバコを吸っていたころのおいらの感覚だと考えられないが、もう時代の常識がそっち方向に流れてしまっているのだろうから仕方がない。
最近、コンビニでJTの電子タバコであるプルームテックをよく見かけるが、国内の葉巻タバコの売り上げ本数減はとても電子タバコだけでは補えないだろう。
だから、JTは海外を攻めまくっているのだ。
日本や先進国では喫煙者は減る一方だが、世界全体でみると所得の向上により喫煙者は逆に増えているので、もはや海外を攻めるしかないのだ。
つい最近、フィリップモーリスが日本でアイコスの値上げを財務省に申請していたが、タバコ会社は売り上げ本数が減っても値上げという伝家の宝刀が使えるので、JTも例に漏れずこれまで値上げをしまくっている。
おいらが吸っていたころは確かマイルドセブンやセブンスターが230円くらいだったが、今では440円まで値上げを行っている。
しかしまあ、それも限界があるのだろう。いくら国内で値上げをしまくっていても、喫煙者が減り続けてしまえば、さすがに厳しくなってくるだろう。
JTはタバコとは真逆の医薬品にも力を入れており、何とか事業ポートフォリオを分散しようと頑張ってはいるが、タバコ事業が中心のポートフォリオを大きく変化させることは恐らく不可能だろう。
だから喫煙者が増加傾向にある新興国をガンガン攻めるのは利にかなっているし、もはやそれ以外にJTが生きる道はないだろう。
それにしても、最近のタバコの扱われ方はひどい。
タバコの毒素自体は何世紀も前から変わっていないはずだ。変わったとすれば、葉巻タバコのフィルターが開発されたときくらいだろう。
少なくとも、1980年代にはタバコが人体にとってどれだけ有害かも、副流煙が周りの人にどれだけ害を及ぼすかもすでに分かっていたはずだ。
それにも関わらず、1980年代は会社のデスクでみんなタバコを吹かしていた。しかし、今では狭い喫煙所で秘め事をするかのように、アイコスでニコチンを接種している人ばかりだ。
同じように、1980年代の日本はバブル経済の好景気のおかげで、みんな株を買いまくっていて、株を買っていない人間などバカの代表という風に思われていた。
しかし、1990年代になるとバブル崩壊で、株を持っているのは一部のギャンブラーだけだと考えらるようになった。
株の仕組み自体はずっと変わっていないし、日本は戦後からずっと株式会社によって支配されている社会構造であることに変わりはない。
だから、どう考えても現金で持っておくよりかは株で資産を持っておくべきだったはずだ。
そして今現在、世間の風潮は貯金から投資へという流れに変わりつつある。
投資をしていないのは馬鹿者。
そんな空気感さえある。
確かに、おいらもそれは正しいと思う。思うのだが、大体世間全体がそういう空気感になった瞬間に株価暴落というのがこれまでのパターンだ。
ITバブル、リーマンショック、2015年のチャイナショック。
おいらはITバブルは体験していないが、リーマンショック前はすでに働いていたので、その時の空気感は覚えている。
みんなが完全に浮かれてたんだよな...。おいらも投信を売って買ってして小金を手に入れて、その浮かれ気分に少しではあるが乗っていた。
そして、あるとき...。
今もって後悔しているのが、何故あのリーマンショック後に株を始めなかったということだ。株価が暴落しまくり、信じられないほどの高配当株や割安株が出現していたときにだ。
それは、おいらが株というものの本質を全く知らなかったからだ。配当金の存在さえ知らなかった。知っていれば絶対に買っていただろう。
まあ、今でもきちんと理解できているのかは微妙だが、今度もしも誰もが逃げ出すほどの暴落がきたら、何とか株を買ってみたい。
正直うらやましいんだよ、リーマンショックの後に株を始めていた賢い人たちが。
おいらもきちんと若い頃にきちんと株の勉強をしておけばよかったと思う今日この頃だ...。
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