「これは...またか」
先日、日本の株式市場を震撼させたサンバイオ株の超絶暴落劇だったが、本日、それにも引けをとらぬ程の株価下落を演じた銘柄がある。
レオパレス21
誰もが一度はその名を耳にしたことのある、格安賃貸アパート運営の大手企業だ。
そのレオパレスがいま、施工不良問題に絡む赤字幅の拡大により株価が猛スピードで下落している。
レオパレスが発表した施工不良物件の数は、全国33都道府県に何と1324棟あり、それらの物件については天井の耐火性能が国の建築基準を満たしていない状態で、そこに住む住人たちに退去を依頼するという前代未聞の事態にまで発展してしまっている。
当然、住民たちの引っ越し費用はレオパレス持ちなので、莫大な費用がかかることになる。
レオパレスの決算資料によれば、何と累計430億円を特別損失として計上するという。
このような事態を受け、投資家たちはパニック状態となり、一斉にレオパレス株を売りまくり始めた。
そのため、先日のサンバイオ株と同様に寄り付きで売買が成立しないという状態となっていた。
結局、本日の終値は415円となり、ぶっちぎりのストップ安で取引を終えた。
レオパレスのビジネスモデルは、まず地主であるアパートオーナーとレオパレスが契約を交わして土地にアパートを建設し、それを一括借り上げして借主に貸し出すとう方式を採用している。
アパートオーナーはレオパレスに家賃保証をしてもらえるので、アパートを建ててからは安定した収入を得ることができ、レオパレス側はオーナーの物件を借主に貸し出して月々に受け取った額の差額とオーナーに支払う賃料の差額を儲けとして手にする。
この差額がレオパレスの主な収入源だ。
アパートの建築請負やリゾートホテル等のセグメントもあるが、過去の決算資料を確認すると、圧倒的に賃料収入の比率が高い。
住居の家賃というのは、安定的な収入が見込めるストックビジネスなので、レオパレスのビジネスモデルは盤石のように思える。
ところが、このビジネスモデルには弱点が一つある。
それは、賃料収入を支払ってくれる入居者が少なくなってしまうと、オーナーに対して賃料収入を保障していた場合、レオパレス側に損害が発生してしまうのだ。
そのため、よくある話だが、オーナーと約束をしていた家賃保証を打ち切ったり、契約を一方的に解除した等の黒いうわさが立っていた。
これは不動産投資ではよく聞く話で、賃貸保障というのは不動産管理会社の気分次第で常に賃料を値下げされたり、ひどい業者になると契約を解除されてしまう場合がある。
だが、最初に「安定的な収入が見込めますよ」と耳打ちされると、投資家はそういったリスクを忘れてしまい、大金をアパート物件につぎ込んでしまうのだ。
レオパレスの運営する物件に入ったことのある方なら分かると思うが、外見はキレイだったとしても、壁がメチャクチャ薄かったりしてお世辞にも頑丈そうとは言い難い造りとなっている。
一度、友人が住んでいるレオパレスに遊びに行ったとき、隣の部屋から男女が愛を交わす声が爆音で聞こえてきたことがある。
「あああああああああいいしてるうううううううううう」
あまりの音に、一瞬壁がバイブレーションしているような錯覚に陥ったが、まあそんな感じで隣の音が余裕で聞こえてくるくらいの廃価な造りなのだ。
ただ、その分家賃は普通のアパートよりも安く設定されているし、マンスリーで借りれる物件もあるので、ニーズは結構豊富にあるようだ。
ただ、今回の施工不良問題で耐火性能にケチがついてしまっており、住人たちを退去させなければならない事態にまで発展していることを考えると、レオパレス21は企業としてかなりの爆弾を抱えてしまったとしか言いようがない。
何と言っても、住居の安全性という最も大切な信頼の根本が揺らいでしまっているからね。
しかも、それがメイン事業なのが非常に痛い。
したがって、このまま事態が終息しない場合は、企業の根本を揺るがす事態にまで発展する可能性もある。
当然、アパートの入居者だけではなく、オーナーへの保障も莫大な額になる可能性があるからね。
一方で、保有するアパートの民泊への活用や、海外展開の拡大などポジティブな要素もあることはある。
民泊への活用は、今後さらに訪日外国人が増えることは確実なので、少し期待が出来そうな感じはする。
それから、今後増えるであろう外国人労働者向けへの貸し出しなんかにも、今後取り組んでいく可能性はあるんだろうね。
まあ、それらがうまくいったとしてもメイン事業が大打撃を受けてしまえば焼け石に水だろうが...。
それにしても、昨年から今年にかけて、こういった投資用不動産に関する問題が非常に多く勃発している。
それを見ていて思うのだが、人間というのは「安定的な収入」という言葉に非常に弱い。
・アパートを建てて運営すれば「安定的な収入」が手に入りますよ。
・毎月分配型の投資信託を買っておけば「安定的な収入」が入ってきます。
・高配当株を持っていれば、毎年「安定的な収入」が入ってきます。
これらの言葉には非常に甘美な響きがあり、それを聞かされると人は「その裏側にあるリスク」が見えなくなり、盲目的に手を出してしまう傾向がある。
こんな風に書いているが、正直おいらだって「安定的な収入」という言葉には弱い。
そのせいで、高配当株をいくつか保有しているが、12月に買ったばかりのオリックスは配当利回り4%超だが、余裕で4%以上株価が下落するという悲劇的な事態に見舞われている。
要するに、アパート経営も毎月分配型投信も高配当株投資も、確かに上手くいく場合もあるが、大失敗に終わってしまう可能性もあるということだ。
なので、それらの投資に手を出す場合は、きちんとその裏側にあるリスクも把握しておかないと、最終的に痛い目を見る可能性があるだろう。
特に、アパート経営なんかはかかる元手が数千万単位なので、相当にリスクを精査して行うべきだ。
「安定的な収入」という言葉は非常に甘美で、我々の脳と判断力を麻痺させる力があるということは覚えておいた方がいいだろう。
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