４０代から配当金投資を始めた男の悲劇と不労所得の甘い罠
ああ．．．あんなことしなければ、今頃は涼しいマンションでかき氷を食べながらネットフリックスを見てリラックスしていたのに．．．。
「おおい、新入り！！早くこっちきて資材運べ！！」
今日は会社が休みの土曜日だというのに、派遣会社に紹介されたアルバイト先の建築現場で、男はゲッソリとした顔をしていた。
まさか４０代になってから、お金のために再び夏の灼熱状態の建築現場で力仕事をする羽目になってしまうなんて．．．。
「こんなことなら、配当金投資なんてしなければよかった．．．」
そう思ってもすでに祭りの後で、男は息を切らせながら思い資材を両手で持ち、悲鳴を上げながら運ぶ。
「配当金なんていう甘い言葉に騙されるんじゃなかった、くそ、くそ、くそ！！」
目からは自然に涙があふれてくる。
建設現場に立っている看板の文字を見ると、なぜか「配当金」というワードに見えてくる。
「う、うう、配当金、はいとうきん、配当金、うあああああああああ」
そんな男をあざ笑うかのように、建築現場の近くの公園に立つ樹木から、セミの鳴き声が聞こえてくる。
みーん、、みーん、、み、、は、い、みーん、とう、みーん、きん、、
配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金、配当金
「うあああああああああああ！！！」
絶叫とともに男はその場に倒れ伏し、短い生涯を終えた。
配当金投資のワナにハマる理由
さかのぼること１年前．．．。
「あっはー、この高配当株の配当利回り７％もある！！すっげー」
４０代独身の男Kさんは、様々な株雑誌や投資ブログを見て、自分も高配当株へ投資をしてセミリタイア生活を夢見るようになっていた。
元手は、賢明に働いて貯金をして貯めた３０００万円だ。このお金を高配当株へぶち込み、そこから支払われる不労所得である配当金で生活しようという目論見だ。
「よし、この株に決めた、、決めたぞおおおおお！！」
不労所得、という甘い言葉がＫさんの心を高揚させていた。
そんなKさんが選んだのは、日本でも有数の高配当株と言われているとある銘柄で、その銘柄の配当利回りは７％もある。
著名な投資ブロガーたちも、その銘柄を「安定的に配当金を支払ってくれる銘柄」として推薦していた。
「よし、ぶち込んじゃえ！！人生は冒険さ！！」
これで俺も不労所得で暮らしていける、嫌な労働からやっと解放される。
「もう４０になったんだ、これからは人生を楽しんでやるさ」
Kさんは、夢と希望に満ち溢れた声でそう言った。
大丈夫、「有名な投資ブロガーや投資家たち」も推していたんだ、きっとあの銘柄がぼくを自由にしてくれるさ！！
そんな安心感と希望に包まれていたKさんだった。
そして次の日、悲劇は起こったのです。
高配当株が大暴落♡
「み、み、みぎゃああああああああああ、あ？あ？あひゃああああああ！！」
まるでGE坊やのブログに出てくるような絶叫を上げているのは、夢と希望に満ち溢れながら高配当株を買ったＫさんだった。
「あ、ぴぽぴぽぴぽぴいいいいいいいいぽおおおおおおおおお」
精神が混乱しすぎて、パトカーのサイレン音を口で再現するかのように絶叫を繰り返している。
というのも、Ｋさんが株を買った次の日、「配当金の額を減らしちゃうね♡」というアナウンスをその高配当企業が出してしまったからだ。
そのため、朝からその株はストップ安状態で、一瞬で３０００万円が２０００万円くらいにまで減ってしまっている。
「ひーひーふー、ひーひーふー」
Ｋさんは頭が混乱しすぎて、なぜか「ひーひーふー、ひーひーふー」と声を出しながら呼吸をしている。
なんでちゃんと調べてから株を買わなかったのか、なんで自分できちんと決算書を読んだりして分析をしなかったのか．．．。
後悔をしてももう後の祭り状態で、Ｋさんに出来ることは、「ひーひーふー、ひーひーふー」と呼吸をすることだけである。
「まだ、まだ大丈夫、きっと株価は戻るさ」
夜になり正気を取り戻したＫさんは、こう自分に言い聞かせた。
そして次の日、その高配当株は９９％暴落した。
このストーリーは冗談ではない
「こんなの冗談だろ？」
このストーリーを読んでそう思った人もいるかもしれないが、これはマジで冗談ではない。投資をやっていれば誰にでも起こりえることだ。
最近、グロース株への投資が流行っているが、一歩間違えばこうなる可能性はあるということだ。
高配当株にしてもグロース株にしてもそうだが、他人の甘い言葉に誘われて一点集中で投資をするとマジで呼吸が、「ひーひーふー、ひーひーふー」状態になってしまう可能性がある。
つまりは、その株が大暴落して大ダメージを負ってしまうのだ。
そして、もしもその人が４０代だったとしたら、労働でリカバリーするにも限度があるので、本当に生涯お金に苦労する可能性すら出てきてしまう。
なので、個人的にはハイリスクの投資は総資産の２０％程度にとどめておいたり、個別株銘柄への一点集中投資はやらない、などのルールを決めている。
投資ブロガーや著名投資家の話についても、参考になるものも確かにあるのだが、きちんと情報の裏は自分で取っておく必要があるだろう。
そうしないと、本当に冒頭のＫさんのように悲惨な最後を迎えてしまう可能性すらあるからね．．．。
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