「前澤が...前澤がツイートをやめよった!!」
薄汚れた居酒屋の片隅でスマホをいじりながら、思わずそう声に出して言ってしまった。
使い古されたせいでラベルが剥がれ気味の瓶ビールを飲んでいる自分と、女優の剛力彩芽と一緒に100万円くらいのワインを開けているZOZOの社長・前澤氏との格差が少しだけ縮まった気がした。
「やっぱり、そんなに何でもかんでも上手いこといくわけあらへん」
こ汚いガラスのコップにビールを注ぎ、一気にそれをあおる。
毎日のように流れてくる前澤氏のツイートを、見てはいけないとは思っていても見てしまい、見苦しいくらいに心をかき乱されていた。
「月に行ってきます」
「500万円の食事してきました」
「彼女は女優です」
自分にとっては死後の世界ですら縁がなさそうな出来事を経験していく前澤氏に、正直ずっと嫉妬していた。
だけど、もうそれも見なくていいようになる。
なぜなら、業績不振によりZOZOの株価が暴落しまくったせいで株主たちは激オコで、本業に集中するために前澤氏がツイッターをやめると宣言したからだ。
本日もZOZO株は6%以上も暴落し、年初来安値を更新してしまった。
ZOZO株はここのところずっと不調で、今年の8月ころには4000円を超えていた株価が、何と半分以下の1670円にまで下落してしまっている。
ZOZOタウンに参加していたアパレルメーカーが相次いで撤退していることや、投資家の期待が集中していたZOZOスーツやプライベートブランドが失敗に終わってしまったからだ。
そのため、これまでその高い成長性を売り物にして、ずっと高PERを維持していた株価が脆くも崩れ去ってしまったのだ。
高PER株の場合、その株価を支えているのは投資家の期待値なので、「思っていたよりも業績が期待できない」という事態になると株価は激下がりしてしまうのだ。
ZOZOの株価が下がっているのは、何と言ってもZOZOスーツとプライベートブランドの失敗が大きな要因なのだが、それ以上に不味いのは、最近ZOZOタウンに参加しているアパレルメーカーの間でZOZO離れが起きていることだ。
大手アパレルメーカーのオンワードや、ZOZOタウン初期からの大手取引先のユナイテッドアローズまでもがZOZO離脱を進めているという。
原因は、「ZOZOARIGATOメンバーシップ」という、年間3000円の会費でメンバーは協賛するブランドの商品を10%割引で買える、というサービスをZOZOが開始したためだと言われている。
割引のための費用はZOZOが負担するらしいが、10%割り引いた分、ブランドイメージも10%割り引かれることをメーカー側は恐れているのだ。
また、これはおいらの予測だが、多分、ZOZOがプライベートブランドを頑張ろうとしていたこともかなり影響しているように思う。
とういうのも、近年店舗売上が落ち込んでいるアパレルメーカーは、ZOZOの集客力を頼りにしてサイトに参加しているのに、そのZOZOがプライベートブランドを始めて仮に大成功を収めてしまったら、売上高を依存している企業がライバルと化してしまう危険性があるからだ。
そして、当然ZOZO側としては自社プライベートブランドを押したいだろうから、そのための戦略としてZOZOタウンのサイトを自社ブランドが売れ安いようにカスタムしてしまう可能性がある。
メーカー側にとってはそれは決して気分のいいことではないので、そういった雰囲気を察知した企業がZOZO撤退を進めているのではないだろうか。
ユナイテッドアローズのZOZO撤退の動きは、結構衝撃的だね。
なんせ、アローズはZOZO初期からの超大口の取引先だから、もしも本当に離脱するとなるとその影響は計り知れないからね。
ユナイテッドアローズのZOZOの売上高は50%を超えているのだが、今後は自社ECサイトでの売り上げ比率を上げていくという。
一応、ZOZOへの出店はまだ継続するようだが、恐らく最終的には自社サイトに売り上げを集中させたいのは確実だ。
こうした一連の事態が影響してか、社長の前澤氏がツイッターの使用を一時休止すると宣言した。
前澤氏といえば、今年のお正月に「100人に100万円プレゼント!!」のツイートでリツイートの世界記録を作ってしまったほどのツイッタラーだ。
そのため、前澤氏のツイートだけで、年間数十億円以上の広告費用が浮いていると言っても過言ではないだろう。
だって、ツイートするたびにZOZOの情報が拡散されまくるわけだから、あれ以上の広告宣伝は他にないよね。
しかも、「100万円オーバーの飯を食った」「剛力と旅行に行った」「ボランティア」など、どんなことでも宣伝になるんだから、もはや無敵に近い広告ツールと化していたと言ってもいい。
それをやめざるを得ないということは、よほど業績の悪化が深刻なのか、株主たちを配慮しているのかのどちらかだろう。
おいらは、前澤氏のイッターは宣伝効果が半端ないので絶対に続けた方がいいと思うけどね。
ただ、彼がツイートをしないと宣言して少しホッとしているのも事実だ。
そう、これ以上前澤氏のツイートにより、自分が惨めな労働者であることを自覚しなくて済むのだ。
「本当は、僕だって前澤になりたいんや」
再び、小汚いガラス製のコップにビールを注いでそう呟いたときだった。
「そんなにため息ばかりついていて、しんどくないですか?」
突然、横から誰かが話しかけてきた。
「あなたは...」
「もっと夢を見るような人生を歩みませんか?」
まさか、こんなところに...?
「自分がやりたいことにチャレンジしない人生なんて、バカらしくないですか?」
ああ、やっぱりそうだ...この人は...。
「僕は、やりたいことをやっている自分の人生に悔いはありません」
力強いこの確信に満ちた声、そうだ、間違いない...彼は、彼こそは...。
先日、セクハラで処分されてモンゴル支社に飛ばされた先輩の前沢さんだった。
株で夢をかなえよう
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