アメリカ最大手のデパートであるメイシーズの株価が上昇している。一時17ドルの安値をつけたがその後30ドルまで回復している。3年ぶりに増収に転じたのが要因だということだ。
米国株投資の記事をSHAERブログで書いていらっしゃる(最近は日本株の記事しか書かれていないようだが)今井バフェットさんという方が、ご自身のブログ記事でメイシーズがダダ下がりしていたときに購入したと書いていたが、それはちょうど株価が安値を記録していた付近だ。
もしも今でもホールドしていらっしゃったら、その利益は買値の50%は超えているだろう。おまけにその時は配当利回りが6~7%だから、逆張り投資のお手本のような成功例だ。
さて、それはいいとしてアメリカの百貨店株は最近回復してきたとはいえ、Amazonなどの通販に押されて業績を下げ続けていて、投資家たちの見通しは極めてネガティブだった。下落のし過ぎで配当利回りが7%にまで達していたのだ。
日本の百貨店も同様で、2015年あたりがピークだった中国人の爆買いが下火になったとたんに株価を大きく下げている。非常にさがっていたのでおいらは三越伊勢丹の株を買って放置しているのだが、いまだにピクリとも動かない。メイシーズにしておけばよかったと心から後悔している次第である。
しかし、メイシーズにしても三越伊勢丹にしても最近事業環境が悪化していたという点では共通していて、衰退していた原因もほぼ共通している。そして、現在利益回復のために取り組んでいる内容もほぼ同じだ。
事業環境が衰退していた原因は両社ともにEC、つまりネットを経由した通販の爆発的な普及が原因だ。本来であれば百貨店で買う日用品や化粧品などの購入がネット通販に奪われてしまったため、その分売り上げが落ちてしまっていたのだ。なぜならネット通販のほうが値段が安いから消費者はそちらを選んでしまうのだ。
そして現在業績を挽回するために両社が取り組んでいることがある。それがECの強化と不採算店舗の閉鎖とそれに伴うリストラだ。
百貨店はEC事業への取り組みが遅れたことでAmazonなどのEC業者に駆逐されているらしいが、逆に言えばEC事業できちんとしたポジションを確立すればある程度は戦える。なので三越伊勢丹もネット通販のサイトを充実させようと取り組んでいる。
メイシーズは2017年にインターネットオークション最大手のebayからハルロートン氏を社長として迎え入れた。伊勢丹は微妙な自社通販サイトで頑張っている。
次にリストラだが、最近、三越伊勢丹が船橋の松戸店を閉鎖したというニュースが大きく取りざたされていた。その駅のランドマークのような店舗が閉鎖してしまうというので、衝撃が大きかったようだ。
しかし、これだけでは足らずに今後も三越伊勢丹はどんどん不採算店舗を閉めまくりリストラを進めていく予定のようだ。そしてメイシーズも同様に全米で店舗を閉鎖しまくりリストラをしまくっている。
この結果、徐々にではあるが両社の利益は回復してきている。メイシーズのデジタル関連事業は34四半期連続で成長を続けており、2018年1月期の第4四半期に全体の営業利益が48.8%増にまで回復している。
三越伊勢丹も平成30年3月期の決算単身で「百貨店業における売上高は前年同四半期比0.4%増、営業利益は前年同四半期比56.3%増となりました」と説明していることから利益は回復基調にあるようだ。
両社ともに共通しているのが、不採算店舗を閉鎖して固定費を減らし、成長分野であるEC事業で成功出来ればAmazonなどの通販業者と差別化を図ることが出来るという点である。なぜなら両社ともに各県や州の一等地に百貨店という実店舗を構えているというメリットがある。
百貨店というのは行くだけでステータスが上がったような気にさせてくれるワクワクする場所である。コンビニに買い物に行くのと百貨店に買い物に行くのでは、体験出来る経験に雲泥の差があるのだ。ブランドショップが並ぶフロアや高級時計が置かれている時計売り場、高級食材が陳列されている地価の食品売り場。どれもが百貨店でないと触れることのできない特別な場所なのだ。つまり他にはない、という利点を持っている。
この間ニュースで見たのだが、現在百貨店は顧客が求める「特別な体験」を提供できる場所になるために様々な工夫をしている。地下の食料品売り場でのパフォーマンスや、地域の特産品を扱うような特別展の開催などだ。物を売る場所であると同時に、エンターテイメントを提供する場所になろうとしているのだ。
以上のような考察から、今後さらに不採算店舗の閉鎖による固定費の減少→基盤店の収益力向上+EC事業での躍進があれば株価が上がるかもしれないなと思って我慢して三越伊勢丹を保有している(たまに保有していることすら忘れてしまうが)。
しかしメイシーズはPER8.59で配当利回り4.80%なのに対して、三越伊勢丹は何とPER計測不能(赤字)、配当利回り0.98%。三越伊勢丹は特別損失を計上した結果、なんと黒字予測だったのが平成30年3月期は10億円の赤字決算となってしまったのだ。素晴らしすぎる。
やはり株は米国株に限る。株主還元、経営者の有能度合など全てにおいて同業の日本企業を凌駕している。おいらも本当に心からメイシーズを買っておけばよかったと悔やんでいる。
だけど買ってしまったものはしょうがないのでおいらは引き続き三越伊勢丹の株を握りしてめて持っておくことにする。
新宿や銀座の店舗に行った時の混雑具合と外国人の多さから、基盤店に経営資源を集中する今の戦略が成功すれば何とかなるのではないかなと思っているからだ。ちなみに、福岡の岩田屋もまあまあ繁盛している。
EC事業はサイトを見るとマジで微妙だな...。決算資料にも具体的な伸び率が書いていないということは、ダメかもしれないね。
みなさんは、百貨店株を買う場合は絶対にメイシーズにしましょう!!
※投資は自己責任で!
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