鬼平がこれ以上チップを渡したら破産すると思っていたら本当にヤバかった
鬼平犯科帳は、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安と並び、作家・池波正太郎の代表作であり、日本を代表する時代小説の一つに数えられている作品だ。
この作品の主人公は、江戸時代の政府機関である火付盗賊改方の長官である長谷川平蔵という人物だ。
火付盗賊改方は凶悪犯罪専門の臨時警察みたいな役割を担っていた機関で、文字通り放火犯と盗賊を取り締まっていた。
なぜ火付けを厳しく取り締まっていたのかと言うと、江戸時代はほとんどの建物が木造だったため、一度火が連鎖的に燃え広がると、本気で江戸の町(現在の東京)が消滅しかねないというリスクを抱えていたからだ。
そのため、火付けは重罪とされていたのだ。
また、今とは違って江戸の街には街路灯もなかったため、夜になると本当の闇が広がっていた。そのため、今とは比べものにならないほど夜間の治安は悪く、辻斬りや追剥など、様々な犯罪がはこびっていた。
その中でも、江戸幕府が初期の頃から頭を悩ませていたのが盗賊だった。徳川家康が入府した頃から、盗賊達は江戸の街を跋扈し、治安の悪化を招いていたようだ。
火付盗賊改方は、そういった凶悪犯を取り締まるため、かなり危険な任務を担当していた部署だったのだ。
そんな鬼平犯科帳では、主人公の鬼平が配下の密偵や探索に関わった人に気前よくチップを渡すシーンがたびたび出てくる。
実は限界に達していた鬼平の財政状況
鬼平こと長谷川平蔵は、盗賊の情報を探り出すために協力してくれた人々に、よく「これで一杯飲みな」と言って「心付け」を渡す。
「心付け」とは、つまりチップのことで、現代の貨幣価値に換算すると2~3万円くらいの額のお金をそういった人々に気前よく渡したりするのだ。
例えば、探索で赴いた茶店などで老婆が耳よりな情報を提供してくれた場合、そっと一分金(大体2万円くらいの価値)を渡したりする。
また、江戸時代の移動手段である駕籠を利用した際にも「酒手=心付け」として一分金を渡したりするし、食事をした料理屋でも仲居にチップとしてお金を渡す場面が多く出てくる。
なぜそんなことをするかというと、きちんとチップを支払うことで、より正確な情報を集めることが出来るからだ。
江戸時代の街では、今とは比較にならないほど多くの人々が個人事業主として働いていたため、彼らにとってチップは大きな収入源だった。
現在日本にはあまりチップを渡す習慣はないが、戦前までは結構普通にチップを渡す習慣があったみたいだ。
チップを渡す習慣が消えたのは、日本に戦後から近代資本主義が浸透し、給与所得者の数が圧倒的に増えていったからではないだろうか。
まあ、それはいいとして、長谷川平蔵はとにかくチップをよく渡すのだ。
危険な探索を担ってくれる配下の密偵にも、長谷川平蔵は自腹を切ってお金を渡し、労をねぎらう場面が鬼平犯科帳にはよく出てくる。
そうすることで、長谷川平蔵の「気持ち」が密偵たちにも通じ、その結果盗賊を追い詰めるために命懸けの働きをしてくれるのだ。
「鬼平は無限に金を持っているのか...」
鬼平犯科帳にハマって同作を読み込んでいたころ、あまりにもチップを支払う場面が多いので、そう不思議に思っていた。
実は、火付盗賊改方という機関に幕府から振り分けられる経費は非常に少額で、とてもそれだけでは密偵たちを養ったり、探索費用を都合することはできなかったので、真面目に勤め上げようと思ったら長官が自らの私財を投入しないとどうにもならないという状況だったからだ。
そのため、平蔵の家はよほど裕福だったのかと思って読んでいたのだが、ある個所まで読み進めると、実は平蔵が相当金策に苦労していたということが判明し、それを知った佐嶋与力という部下が長官の苦労を知り涙を流すシーンが出てくる。
そこまで読み進めたとき、僕はかなりほっとした。
なぜかというと、チップを渡しすぎて長谷川平蔵が自己破産しないか本気で心配していたからだ。
しかし、長谷川平蔵はどうやら「支出>収入」が続くと財政状況が破綻してしまうことを理解していたため、きちんと金策活動も行っていることが分かったようだ。
支出>収入が続くと個人の財政は簡単に破綻するという事実
長谷川平蔵があれだけ自腹を切ってチップを渡しまくっていたにも関わらず、最終的に自己破産しなかったのは、「支出>収入」が続けばいずれ財政は破綻してしまい、継続的な刑事活動ができなくなることを理解していたからだ。
しかし、何百年も前に生きていた長谷川平蔵がこの極めて簡単な原理を理解していたにも関わらず、よほど金融に関する情報や教育の行き届いた現代の日本においても、「支出>収入」が続くことの恐ろしさを理解していない人も多い。
最近、銀行のカードローンを借りて金利の返済だけで首が回らなくなってしまう人が多いらしいが、これはまさに「支出>収入」の法則を理解していない場合に発生する悲劇だ。
頭では理解したつもりになっていても、実際に自分が月にいくら使っているのかを正確に把握していない人というのは非常に多い。
ギャンブルに金をつぎ込んでいたり、分不相応な額の車をローンで購入していたり、趣味にお金をつぎ込んでたりなどすると、だんだんと自分が今、月にいくら使っているのかが正確に分からなくなってしまい、気が付くとキャッシュフローがマイナスになってしまうのだ。
その状態が続くと給与やボーナスでその赤字を埋めることが出来なくなり、その結果カードローンや消費者金融に手を出してしまい首が回らなくなってしまうのだ。
カードローンや消費者金融で一度借金を作ってしまうと、利子を払うだけで元金が中々減らないという恐怖のパターンに陥ってしまう。
そのため、「最近、収支がマイナスになっているのでは?」と思う方は、一度自分の収支をきちんと確認してみたほうがいいだろう。
江戸時代から金は恐ろしいものでもあり、人々の生活にとって絶対不可欠なものだったということを考えると、きちんと収支を管理してお金の流れを把握しておくこということは非常に重要だと思うからね。
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