またか...。
目の前で起こる出来事に成すすべがなく、おいらは呆然と立ち尽くしている。
「おなか、空いたね...」
となりにいた母親と女の子の親子が、げっそりとした顔でささやき合っている。
その様子を見ているとなんだか憐れで、思わずコンビニのおにぎりを買って、「はいどうぞ」と渡したくなる。
しかし、それは出来ない。
なぜなら、おいらもお腹が空いているからだ。
なぜなら昨日、コンビニのおにぎりがついに1個1万円のレッドゾーンを突破してしまったからだ。
ハイパーインフレーション。
その昔、世界の最貧国に分類されるソマリアや、ルーブルの価値が崩壊した際のロシアで発生した恐ろしい現象が、現在進行形でこの日本において進んでいるのだ。
🍙
さてと、冒頭のお話はもちろんフィクションだが、絶対起こりえない未来とまではいえない。
本日、ネットニュースでおいらの大好きな崎陽軒のしゅうまい弁当が、1個10円~50円値上げをすると報道されていた。
理由は、中身の豚肉や貝柱等の材料が値上がりしているからだ。
また、そのほかにも、よっちゃんイカが値上げを断行している。
それだけではない。タマゴ、パン、チーズ、ガソリン、電車の運賃、家賃、サバ缶、インスタントコーヒー、ミロ、などなど。
おいらたちが日常で必要とする様々な食料品や、物資が次々と値上げされているのだ。
その値上げ幅は10円や20円と緩やかなので、なかなかその重大性に気づくことが出来ないのだが、今の日本では確実にインフレーション、つまり物の価格が上昇していくという現象が新興している。
いやいや、そんな微妙な値上げなんざ大したことないでしょ?
いや、実はそれが大したことあるのだ。
例えば、おいらは毎日ペットボトル飲料を2本くらい飲むが、ちょっと前までは1本130円だったのだが、ペットボトルの材料であるプラスチック樹脂の値段が高騰した結果、1本150円まで上昇している。
これを年換算にすると、150円ー130円=20円×365日で7,300円分多くお金を支払わないということになる。
つまり、7300円負担額が増加しているのだ。
これだけではない。おいらは毎日電車に乗っているが、その運賃が少し前に切符1枚10円ほど値上がりしている。
すると、10円×365日=年間3,650円負担額が増加していることとなる。
こういった現象が起こりまくっているせいで、日常生活における我々庶民の支出額がどんどん増えているのだ。
ひとつの製品における値上げによる負担増加額は少なくても、それが何重にも重なれば年間で相当な負担額となる。
そして、これからもこの現象は続いていくだろう。
なぜなら、原材料価格や人件費の上昇が、世界レベルでここ数年加速しているからだ。
インフレーションというのは、経済学の授業などで勉強された方は知っていらっしゃると思うが、賃金の上昇とセットで発生した場合、極めて健全な経済発展に起きる現象に分類される。
昔の日本をみると、モロにそれがよくわかる。
例えば、おいらの手元に今、本田勝一著のカナダ・エスキモーという古い本がある。
昭和47年2月15日第1刷が発行された際の値段が、200円だ。
そして、もう一冊手元にある古い本の値段を見てみる。
昭和62年に第13刷が発刊された、池波正太郎著の仕掛人・藤枝梅安シリーズ・梅安最合傘。
値段は、380円だ。
昭和47年から昭和62年にかけての日本は、経済はひたすら右肩上がりで、労働者の平均賃金もひたすら上昇し続けていた。
そして、本の値段も15年で約1.9倍まで上昇していた。これは手元に実際に物があったので比較してみただけだが、15年の間にほかの様々な製品が値上がりし続けている。
しかし、この時代の日本はどんどん貧しくなっていくどころか、どんどん経済発展を遂げ、ついには豊かな先進国の仲間入りを果たした。
豊かになっていく過程では、テレビや洗濯機等、様々な製品が必要とされ、そのような製品を買うには賃金の上昇が必要不可欠だった。
賃金を上昇させれば、もちろん企業が賃金を支払って製造している製品も値上げされる。そうしないと、企業側が倒産してしまう。
だから、経済成長をしていく過程で様々なものが値上げされていったのだ。
そして賃金が上昇していくと、当然それと歩調を合わせて人々は様々な製品やサービスを求めだす。そうすると、様々なものが世の中に溢れかえり、結果として平均生活水準が向上していく。
もちろん、為替等ほかの要素も複雑に絡んでくるのだが、健全なインフレの構造を至極簡単に説明するとこういう原理だと思う。
そして、今これと同じ現象が世界規模で進行している。
新興国と呼ばれる国々がどんどん豊かになり、GDPが上昇するにしたがって、それらの国で製造される製品や食品の値段もどんどん上昇しているのだ。
現在の世界経済は、貿易によって各国が相互に数珠のようにつながっていて、様々な製品やサービスの輸出入によって依存し合っている。
アメリカと中国のケンカを見ているとよくわかると思うが、相互に依存し合っていないのであれば、お互いあそこまでムキになることはない。
これまでは、日本で賃金が上昇して物の価格が上昇しそうになると、工場等の製造拠点を中国等の新興国に移すことで価格を抑えていたのが、新興国の平均賃金が上がってきたため、価格を徐々に抑えきれなくなっている。
数字で示すと、中国の主要都市部における一部業種の賃金は、ここ10年程度の期間で約2倍以上も上昇している。
一方で、日本の一部主要都市における同業種の賃金は、同期間で約2割程度下落している。
つまり、新興国の賃金は上昇し、日本の賃金は下落している。
この記事でも書いたが、昭和の時代の日本で起こっていた現象が、新興国では現在進行形で進んでいるのだ。
だから、海外からの輸入に頼って製品の値段を抑えるという必殺技は、すでに限界が来てしまっているのだ。
つい最近までは、1日100円で鶏を育ててくれていた李さんは、今では1日1,000円の賃金を支払わないと鶏を育ててくれなくなっている。
だから、冷凍鶏肉の値段が上昇し、その結果マクドナルドなどで販売されているチキンナゲットの価格が上がってしまうんだ。
なんでこんなに長々とインフレの背景を説明してみたかというと、これから新興国との間でさらに賃金上昇率における逆転現象が起こっていくと、確実に製品やサービスの値段が上昇していくということを理解して欲しかったからだ。
つまり、インフレーションはもはや避けようがなく、我々としては何とかそれに対処していくしかないということだ。
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前回記事で、副業のことについて触れてみたが、これから副業は必要不可欠となっていくだろう。
低成長や残業代の抑制により、賃金の劇的な上昇は望めないが、物の値段は確実に上昇していくことが明らかだからだ。
そのため、我々としては副業について真剣に考える必要がある。
前回記事で色々書いてみたので、くどくどしくは書かないが、副業についておいらが重要だと考える要素として、他人との差別化が挙げられる。
どういうことかというと、これからコンビニやスーパーのレジ打ち等のアルバイトや、コールセンターでの受電業務といった単純作業に分類される仕事は、どんどん自動化が進んでいくことが明らかだ。
アメリカのモンスター企業であるAmazonが、Amazon Goという、すべてが全自動化されたコンビニをアメリカで試験的に展開していっているが、あれと同じようなことがこれから日本でもどんどん起こるだろう。
その昔、駅で改札を通過する際は駅員が切符を切っていたが、今ではJRのほぼすべての駅が自動改札を導入し、「切符を切る係」という仕事が無くなってしまった。
自動改札機が全国の駅に導入されていくスピードは、比較的緩やかだったように記憶しているが、これから進んでいく自動化は、IoT等のインフラの加速によって、従来では考えられないスピードで進んでいくだろう。
要するに、誰でも出来る仕事は次々と機械に奪われていってしまうのだ。
その前提で考えると、副業は「自分にしかできない、もしくは誰もマネ出来ないようなスキルを習得出来る仕事」にしておく必要がある。
最近よく、セルフブランディングや自己のブランド化の重要性が語られているが、あれは確かに正しいと思う。
これまでの日本では、他人と同じであることがアドバンテージだったが、これからは他人と違うこと、つまりその人の個性を最大限発揮することこそがアドバンテージとなっていくだろだ。
他人と同じこと=誰でも出来ることは、どんどん機械化されていってしまうからだ。
副業は、インフレの対処としても必須だが、これから進んでいく自動化の社会において本業が脅かされてしまったときの逃げどころという意味合いでも非常に重要だと思う。
極端な話、本業が無くなってしまったときに逃げどころがなければ、インフレ対処どころではなくホームレスまっしぐらだ。
一方で、もしも自分にしか出来ない副業でそこそこのお金を稼げているのであれば、本業に割いていたリソースをそちらの副業に注ぐことで、副業が本業になる可能性がある。
おいらは副業アドバイスの専門家ではないので、具体的にどのような副業がお勧めだとかのアドバイスはあまり出来ない。
しかし、なんとなく思うのは、恐らくネットを使ったビジネスにこそ、そのチャンスはあるように思う。
これまでであれば、英語や資格などのスキルを身につければ副業に生きる場合があったが、もはや競争が激しく、あまり儲からないと思う。それに、それらはやはり自動化の脅威にさらされている。
ひと昔前であれば翻訳家に依頼していた英文の翻訳も、今ではグーグル翻訳を使えばある程度意味くらいまでは訳せるようになっている。
今の段階では翻訳の精度は低いが、そのうち小説等に書かれる微妙な表現なども完璧に訳せるようになってしまうだろう。
外国人向けの通訳だって、ソースネクストという会社から、音声を発するだけで声を翻訳する機械が発売されていることを考えると、そのうち英語の知識が全くなくても一切問題なく外国人とコミュニケーションを取れる日がやってくるかもしれない。
ここまで書くと、なんだか絶望的な気分になってくるが、別に悲観することはないと思う。
なぜなら、あなた自身の考え方や感性という生まれ持ったものは完全なオンリーワンだからだ。
そういった個性を、SNSやブログ、その他ネットを使ったサービスで何らかの形で発信していき、それを収益化に結び付けることが出来れば、それは機械が奪うことの出来ないオンリーワンの収益源となる可能性がある。
なので、そういった自分にしか出来ない仕事を探したほうが、手っ取り早く稼げるアルバイトをするよりも結果的にはいいと思う。
💴
最後に、不労所得のお話を少しして締めさせていただこうと思う。
まず、不労所得とは何なのかというと、文字のごとく一切自分は働かなくても入ってくるお金のことを指す。
株式の配当金やキャピタルゲイン、不動産からの賃貸収入に太陽光発電等、様々な種類の不労所得を得る方法が世の中にはある。
自分の持っている高級腕時計を友人に1日1,000円で貸すのだって不労所得になるし、完全放置でも稼いでくれるブログも不労所得に該当すると思う。実際には、ブログは書きまくる必要があるので、不労所得には該当しないと思うが...。
まあ、何もしなくても収入をもたらしてくれるのであれば、それは不労所得に分類してもいいと思う。
この不労所得、インフレが進んでいくだろうこれからの時代では、絶対にそれを得られる仕組みを持っておいた方がいいだろう。
なぜなら、上昇しない賃金と上昇していく物価の隙間を、資産等から得る不労所得が埋めてくれる可能性が大きいからだ。
しかし、自分の周りを見渡してもわかると思うが、不労所得を得ている人というのはかなりの少数派だ。
不動産や株、投資信託なんかを買っている人はおいらの周りでも驚くほど少ない。
なぜかというと、みんな会社からもらえる給料だけで十分だと思っているからだ。
しかし、それは前段で説明した通り、インフレや自動化によってすでに崩壊してしまっている前提なのだ。
例えば、みんなに大人気のアイフォンの値段は新機種が出る度に上がり続けている。そして、おいらも保有しているアップルの株価も上昇し続けており、ついにその時価総額が1超ドルを突破してしまった。
つまり、アイフォンだけを持っている人は、年々買い替えるために値上げ分の負担額を支払わなければならなく、インフレの悪影響をモロに受けることとなる。
一方で、もしもその人がアップルの株主であれば、その値上げ分以上のお金を配当金やキャピタルゲイン得ることが出来るので、むしろインフレの恩恵を受けることが出来たと言える。
不動産の賃料でも同じことが言えるだろう。
不動産の賃料相場が上昇した場合、不動産を持っていない賃貸住宅の入居者は、値上げされた分のお金を負担しなければいけなくなるので、インフレによるダメージを負うだけだ。
しかし一方で、その人が不動産やリートを持っていれば、賃料相場の上昇により負ったダメージをインカムゲインの増加で相殺する出来る可能性がある。
株式や不動産などの資産を持つこと、つまり投資は結構いかがわしいものとして扱われることが多いが、このように実際に起こっているインフレ等と合わせて考えれば、全然いかがわしいことはなく、むしろその重要性が理解できるはずだ。
おいらは、悲しいことに投資の腕がしょぼいので、読者の皆さんに投資に関する有益なアドバイスをしてあげることは出来ないが、少なくとも何かしらの資産は持っていた方がいいだろうということは言える。
おいらとしては、株式が経済の構造上一番理にかなっていると思って株式を資産として選んでいるが、自動的に金が入ってくるのであれば何でもいいと思うので、色々なブログや書籍を読んで、自分がベストだと思うものを慎重に選んでみてはいかがだろうか。
ただし、あまり入れ込まない方がいいということは言っておく。
全財産を資産にぶち込んで、その資産の状態、例えば株価の上がり下がりや、マンションの空室等によって心を痛めてしまうようでは、それは不労所得ではなくなってしまう。
だから、投資を始める際はよく言われるように、まずは余裕資金から始めるのがベストだろう。
そして、徐々に資産を持つという感覚に慣れていき、最終的には保有する資金の多くを資産に振り分けるというのが理想だと思う。
今日も結局長々と書いてしまったが、会社からもらえる給料だけで生活出来る時代は終わってしまったということは、おいら自身も、そして皆さんも認識しておいた方がいいだろう。
おいらとしては、気づいたときには手遅れ、という状態だけは避けたいため、コツコツとやっている。
そして、ささやかながら、トリプルインカムを形成するに至っている。
おいらでさえ出来るのだから、他の人も自分の頭で考えて、色々調べながらやれば絶対にある程度の副業基盤や資産は築けるはずだ。
問題は、コツコツと根気よく出来るかだけだと思う。
なので、もしも興味があるのであれば、副業も資産形成も今すぐに始めることをお勧めする。
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