みなさんは、ラディッシュという野菜をご存じだろうか?
小さな赤カブのような形をしているが、実は大根の一種に分類される外国産の野菜で、サラダに使われることが多い。
ラディッシュは生で食べると微かに感じる程度の爽やかな辛味があり、また煮たり焼いたりしても中々味わいのある野菜なので、フレンチやイタリアンでもポピュラーな食材として使用されることが多い。
「うまいな、これは...」
一度、フレンチの店で食って以来、おいらはこの小さな赤カブのような野菜が大好きなんだが、スーパーで探してみると驚くほど安い。
袋詰めにされているものが、100円~150円くらいで売っているのだ。
なので、たまに暇な時に買ってきて、サラダにして食べたりするのだが、スーパーで売っているラディッシュでも普通にうまい。
「安くてうまい...優秀な野菜だな、この赤カブ君は」
そう感心していたのだが、先日、おいらが保有する高配当株であるKDDIが、最大で1000億円と、全く安くない金額で別のカブを買収すると報道されていた。
そのカブとは、ネット証券のカブドットコム証券だ。
カブドットコム証券は、日本国内では古参のネット証券会社で、確かおいらが社会人となった10数年以上前からネット証券としては結構名が知れていた。
ただ、最近はネット証券も数が増えてきたうえに、大手証券会社もネット取引に力を入れてきたせいか、大分影が薄くなってきていた。
そんなネット証券をKDDIが買収するという。しかも、約1000億円という大金を投じて買収しようというのだ。
KDDIのHPを見てみると、「当社はそんなことはまだ言っていません」的なアナウンスがされていたが、なんとなく含みを持たせているような文章だったので、恐らくは買収は実施されるのではないだろうか。
このニュースが報じられた直後から、高値での買い取りが予測されるカブドットコム証券の株価は高速で上昇し続け、一気に10年来の高値を突破してしまい青天井状態となっている。
「すげえな...」
TOBされる側の株価が上昇するのはセオリー通りだが、株価の上昇率があまりにも凄まじいので、思わずそう呟いてしまった。
一方で、おいらが保有しているKDDIの方はというと、全く微動だにしていない。
IBMのように巨額の買収を発表して下がらないだけマシではあるが、1000億円支払う割にはそんなによろしい案件ではないという評価が下されているんだろうか。
KDDIのメイン事業である通信事業については、政府が通信各社に通信料の値下げ圧力をかけていることから、今後は今までのような収益性を確保できなくなる可能性がある。
そのため、今後の収益源として通信と相性のいい事業を育成していかなければならない。
そして、そのうちの一つとしてターゲットとしているのが金融だ。
今後、ネットと金融を融合させたフィンテックが進んでいくと、通信事業と金融の相乗効果は増していくと考えられるので、今回の買収が仮に実現するのであれば、KDDIにとってそこまで悪い買い物ではないように思う。
ただ、はっきりと分かったのは、通信以外の事業を買収しなければKDDIはこの先ヤバいということを自覚しており、今後も同じような買収を行う可能性があるということだ。
元々KDDIは3月の優待と配当の権利月に株価が上昇していたら売る予定だったのだが、仮に3月に相場環境が悪くなって株価が下がっていた場合は、今回の買収劇を踏まえて売るのかホールドするのかを決めなくてはならない。
「3月に株価が上がっていなかったら、気長に配当と優待をもらってホールドしようかな」
そう考えていたのだが、今回報道されているような買収を実際に今後ガンガン行っていくのであれば話は変わってくる。
そもそもKDDIは今後通信規格が5Gに移行するのに併せて基地局の整備しないといけないので、相当な先行投資費用が必要となってくる。
それに加えて買収もガンガン行うのであれば、確実に財務は悪化する。そして財務が悪化した場合に、「ほな、減配でもするか」、となる可能性はゼロではないだろう。
KDDIの配当性向は30%とまだまだ低い水準なので、そこまで心配する必要はないが、それはあくまで今の利益水準での30%であって、通信事業の利益減少で利益水準が下がってしまえば、当然配当性向も上昇してしまう。
そこに、先行投資や企業買収の費用が重なってくれば、「経営苦しいし、じゃあ減配でもするか」、となるシナリオも当然考えておかなければならない。
KDDIの場合、高配当だということが魅力で購入しているファンドや投資家が多いので、その前提が崩れてしまうと株価は相当に厳しいだろう。
例えば、今の株価水準での配当利回りは3.7%だが、仮に同じPERだったとしても配当利回りが2%程度だったらKDDI株を買う投資家は相当数減ってしまうのではないだろうか。
そしてそうなったら、多分株価は結構な勢いで下落してしまうと考えている。
それにしても、KDDIにしろIBMにしろ、大型株に該当する企業が成長していくには企業買収は不可欠だということを最近の買収劇を見ていて再認識した。
でかくなりすぎると、もはや自力で成長することが難しくなってくるんだよね。
かといって、社内で新規事業が立ち上がりまくるわけでもない。なので、最終的には別の企業を買収して事業基盤を強化する必要がある。
そうすると、巨額の資金が必要となり、銀行からの借り入れや社債の発行で財務が悪化してしまうため、今度は減配リスクや投資家の評価低下などのリスクが発生してくる。
うーん、巨大だと潰れにくい分、こういったリスクがあるのでそれはそれで考えものだなと思ってしまう。
中々難しい問題だが、そもそも大型株でも小型株と同じくらい株価が下落する場合もあるので(直近のアップルがそうだったように)、純粋に配当金目的で買うのであれば、多少の手数料を考慮しても大型株を大量に組み込んだETFの方がいいのかもしれない。
大型株が買収を実施して株価が上がるパターンは、「買収→相乗効果あり→好業績→株価上昇」だと思うのだが、買収を発表した時点でそれを予測することはプロでも相当難しいだろうからね。
そのため、不確実性と株価にプラスに作用するたまでのタイムラグが生じてしまう。
それに、ライザップのように手当たり次第買収しまくったりすると、結果的に超絶赤字を垂れ流してしまうというリスクもある。
こう考えると、例え大型株ではあっても企業を買収をしないと現状の維持が厳しい会社は、PERやPBRによる割安具合を多少差っ引いて考えないといけないのかもしれないね。
そうなると、今度は小型株を買った方がいいのかとなってくる。
株を保有している企業が買収を決行する側ばかりなので、一度くらいはおいらも持ち株が買収されるという幸運にありついてみたいしね。
なので、買収されそうな小型株を探してみるかとも思うが、それこそ骨が折れるし不確実極まりない投資なので、おいらには不可能かな...と思う。
ただ、何となくこうなのではないかな?という考えはあるので、そのうちそういった投資にも本格的にチャレンジしてみるかもしれないけどね。
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