深田恭子に似た女が田舎にいるのか確認してみた結果
「恭子...」
その昔、超ド田舎で勤務していた頃、私は毎晩のようにため息をつきながら酒を食らい、深田恭子の写真集を見つめながら涙を流していた。
「恭子おお...」
人口の90%が老人と思われるその地域での仕事は、生粋の女好きであった私にとって極めて苦痛でしかなく、「やめる!!」と2度退職届を出したのだが、上司から「もう少し我慢しろ」と言われて何とか踏みとどまっていた状況だった。
「おう、かぶまくら!!今日さ、〇〇会社の子たちと合コンしてさ」
たまにかかってくる電話で、同期の人間からそう自慢された時には、血管がはち切れそうになった。
「僕は、一体なぜ...こんな場所に」
無念の思いが込み上げてくる状況の中で、毎日のように酒を食らい、深田恭子の写真集を見つめていると、段々と恭子がその場にいるような感覚になってきた。
「寒い、寒いよ恭子...」
名作アニメ、フランダースの犬の主人公のように、パトラッシュならぬ深田恭子が迎えに来るのを待ちながら、私は毎日のように重苦しい海に沈没するようにして、教会ではなく日本酒の瓶が転がるワンルームマンションの一室で意識を失っていた。
「もう...疲れたよ、パトラッシュ...いや、恭子...」
ーもう、疲れたよ、恭子ー
恭子を探す旅に出る
そんな毎日を繰り返していた私には、実は心から愛する恋人がいた。
しかし、彼女は遠く離れた大都会で働いていた。
「大丈夫、彼女がいるさ」
宝石のように大切な彼女は、私の唯一の心の拠り所だった。彼女と電話するときだけが、私が心安らぐ唯一の瞬間だったのだ。
「もしもし、かぶちゃん、あのね、はなしがあるの...」
「なに?」
「別れましょう」
彼女は、田舎に幽閉された私を、まるで鋭利なカッターナイフでバターを切り分けるようにして、あっさりと切り捨てた。
さすが仕事が出来る女は違うと身震いがした。
ーこのままでは、いけないー
彼女に捨てられた瞬間、私は我に返った。
このまま、このワンルームマンションの一室で酒を食らい続けた場合、本当に天国でパトラッシュと遭遇してしまう可能性がある。
ー深田恭子を探そうー
きっと、この超ド級の田舎にも深田恭子がいるはずだ...。
私は、老人たちが時速50mで歩行している道路を自転車で爆走し、隣町のショッピングセンターへと向かった。
そう、私はこの超ド級の田舎で深田恭子を探すというミッションを自分自身に課すことにしたのだ。
田舎で深田恭子を探してみた結果
ショッピングセンターにつくと、私は必死で深田恭子を探した。
ー恭子、どこにいるんだ恭子ー
田舎のショッピングセンターには、家族連れや老人、それから中学生くらいしかおらず、深田恭子どころか、そもそも20代や30代で一人で買い物をしている女性自体がほとんどいない。
ー恭子、出てこい恭子!!ー
それでも、私は必死で恭子を探してショッピングセンターの中を猛ダッシュして探し続けた。
そして、ついに後姿がなんとなく深田恭子に似ている女を発見した。
ーいた!!恭子だ!!ー
「あの、すいません、深田恭子さんですよね!?」
「え!?私ですか??」
「すいません、間違いました」
だめだ、まだまだ探さないと。
私は、必死でショッピングセンターの中を走り回り、深田恭子を探し続けた。
「あの、すいません、深田恭子さんですよね!?」
「え!!私??」
「すいません、間違いました」
いや、きっといるはずだ。天国のパトラッシュも私を応援してくれている。絶対ここに深田恭子はいるはずだ。
私は、自分をそう鼓舞しながら、ショッピングセンター内のベンチで少年たちが遊戯王カードでデュエルをしている側を駆け抜け、ひたすら深田恭子を探した。
きっと、きっと、ここに深田恭子はいるはずだ。
なぜか、確信めいた声が自分の内部から聞こえてくるのだ。その声は、湧き水のような自然さで私の中に沁みわたっていき、徐々にそれが勇気という不定形だが深い信頼を伴う合理的感覚に変わっていくのを感じた。
パトラッシュ、見ていてね...。
私は、心の中で天国のパトラッシュにそう呼びかけた。
「あの、すいません、深田恭子さんですよね!?」
「え、私??」
誰じゃああああああああああああああああああ!!!!
お前、だれじゃああああああああああああああああああ!!!!!
こうして、私の心の中の国語辞典の深田恭子の欄には、「田舎にはいない」という注釈文が添えられることになったのだ。
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