A子さんはお休みです
「あれ、A子は今日は休みかい?」
「はい、さっき電話があって今日は体調が悪いので休むそうです」
「風邪かな?」
「だと思いますよ」
それから3日間A子は会社を休んでいた。A子はおいらの部下の女性社員で、入社4年目になるが中々優秀な社員だ。それに見た目もいいので、男性社員には人気の社員だ。
おいらは何となく胸騒ぎがしていた。別の後輩の件があったからだ。A子は真面目なやつでズル休みするタイプではない。きっと、本当に風邪なんだろう。そう思っていた。
次の日、朝A子から会社にかかってきた電話を偶然おいらが取った。
「おう、風邪は大丈夫か」
「はい、大丈夫です...」
やはり様子がおかしい。
「今日は会社これそうなのか?」
「すいません」
A子の声はかすかに震えていた。電話越しにも、彼女が目に涙を溜めているのが伝わってくる。
「本当は、どうしたんだ?」
「...なんか、会社行こうとしたら家、出れなくて」
これはマジなやつだ!!
「そうか、まあ無理せず今週は休め。来週来れたら来いよ」
ワンテンポ置いてから、できるだけ優しい口調でそう言った。こういう場合はあまり根掘り葉掘り聞かず、会社にちゃんと出てきてから話をよく聞いてやった方がいい。
A子のデスクの上にある電源の切れたPCを見ると、当然ながら画面は真っ黒だ。それを見て、おいらは腹の奥に嫌な感覚を覚えた。
A子の憂鬱
翌週月曜日、A子はやっと会社に出てきた。いつものように周りに愛想よく挨拶をしてはいるが、どこか表情が硬い。
「ちょっと、いいか?お客さんから連絡があった件で聞きたいことがあるんだ」
周りに違和感を与えないような言い方で、A子を会議室に呼び出す。さて、ここからが重要だ。怯えた小動物を巣からおびき出すようにして、徐々にA子の本心を探りださなくてはならない。
!?
な、なんでこいつこんなに胸の谷間を強調した服を着ているんだ!?
A子のバストは控え目に言って、小さな核爆弾くらいの大きさはある。そのため、胸元が開けた服を着てこられると非常に目のやり場に困ってしまう。部下としてよりも雌として意識してしまうからだ。
だめだ、今日はちゃんと話を聞いてやらないといけない、頭を切り替えろ!!
「で、だいぶ体調はよくなってきたのか」
よし、大丈夫だ。胸を見ずに顔だけ見ていればいいんだ。
「はい」
「仕事は最近大丈夫なのか」
彼女は仕事ができることもあり、最近は新しい業務も任されている。おそらくはそのプレッシャーが彼女に重くのしかかっているのだろう。
おいらはできるだけ丁寧にA子に質問を繰り返し、彼女が胸に秘めている悩みを引き出すことに務めた。
そして、やはり最近新たに与えられた業務が結構なプレッシャーになっていることが判明した。
「どうしようか、少し負担を軽くするようにしようか?」
「すいません」
「謝らなくてもいいよ、A子は十分頑張ってるのは分かっている。俺も新しい業務が増えると結構戸惑うことがあるからね。いきなり新しい業務を渡しすぎたのは俺の責任だ。だけど、A子ならきっとできるから、減らした分を普通にできるようになったら、さらにそこから増やしていけるか相談しよう」
「はい」
A子の目に生気が戻った。彼女は責任感と自尊心が強いので、こういう場合も言い方に気を付けなればならない。
つい、ほっとして気を抜いてしまった。
上司らしくあれ
うわああああああああああああ!!やっぱり大きい!!
気を抜いた瞬間、A子の小型核爆弾が目に飛び込んできた。だめだ!!見ちゃだめだ!!必死で自分を戒める。今日はちゃんと集中して話を聞いてやらないといけないんだ!!
A子は気を許してくれたのか、仕事上の様々な悩みをおいらに打ち明けてくれる。おいらはもっともらしく頷いてそれを聞いているのだが、もはや悩み相談どころではない。
部屋に充満するA子の香水の香りと、A子の胸元のせいで全く話に集中ができない。だけどあんまり胸元を見ているとセクハラで訴えられる可能性がある。
だめだ、上司らしく振舞うんだ!!毅然とした態度の中にも優しさをにじませ、傷ついた部下を包み込んでやらないといけない。
おいらが混乱しているうちに、なぜか話がA子の恋愛関係にまで及んでいた。部下のプライベートについても上司たるもの一応は把握しておかないといけない。
「最近は、彼氏とはうまくいっているのか」
A子には大学時代から付き合っている彼氏がいるということは知っていた。若い社員の場合、そういった恋愛関係のごじれで急に不安定になることもある。
「実は最近、あんまり会っていなくて」
やはりな。仕事の悩みだけではなかったわけだ。
よくよく聞いていくと、A子の彼氏が最近浮気をしているらしいということだった。電話にもあまり出てくれないらしい。
おいらは何度も相槌を打ちながらこんなことを考えていた。
これ、ワンチャンあるんじゃねえか?
おいらはA子の上司ではあるが、その皮を一枚めくればただの雄でもある。雄たるもの、核爆弾級の胸を持つ雌に惹かれないわけがない。
「かぶまくらさんは、彼女さんとかいないんですか?」
突然、A子がおいらに話題を振ってきた。
これはいける、いけるぞ!!こいつ、わしに興味もっとるんやないか!?
上司としてあるまじき感情がおいらの中で湧き出してくる。だけどそんなこと聞くってことはおいらに興味があるってことだよね??そうだよね??
会社員としてのかぶまくらではなく、醜い雄としてのかぶまくらが覚醒してしまった。
「いや、今はいないよ」
できるだけ最近まで彼女がいたような言い方をする。おれはモテる男だ!!それを最大限まで演出しないといけない。
「そうなんですね、かぶまくらさん優しそうだからモテそうなのに」
これいけるでしょーー!!
ここしかない、おいらは勇気を出してこう言った。
「今日、飯でもいくか?」
A子はおいらの目をまっすぐ見つめながらこう言った。
「それはいいです」
株で夢をかなえよう
※部下の悩みはできるだけ丁寧に聞いてあげるようにしましょう。上司部下といっても、所詮は人と人なので適切なコミュニケーションで人間関係を維持することが重要だと最近ひしひしと感じる中年サラリーマンのおいらです。
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