春になると恒例のニュースだが、マルチ商法に引っかかってしまう大学生が急増中だそうだ。
マルチ商法とは、Multi-Level Marketingという米国発の取引方法のことで、日本語での正式名称は連鎖販売取引となっている。
マルチ商法のビジネスモデルはシンプルに説明すると下記の通りだ。
①A君が知り合いのB君ビジネスに勧誘し、B君が加入。
③B君が販売のためにビジネスの元締め会社から商品を仕入れる
④B君が新たにC君をビジネスに勧誘し、C君が加入。
⑤C君が販売のためにビジネスの元締め会社から商品を仕入れる
A君には③と⑤の時点で報酬が入り、C君には⑤の時点で報酬が入る。マルチ商法、またはネットワークビジネスの場合、頂点にいる者にどんどん報酬が入り、下位の者の報酬は低く設定されるケースが多い。
そのため、A君が受け取る報酬はB君よりも多くなり、B君が受け取る報酬はC君よりも大きくなる。
そして、B君が頑張れば頑張るほどA君が儲かり、C君が頑張れば頑張るほどA君もB君も儲かる。
仕入れた商品の販売で儲けるというのが建前だが、実質は配下の会員が商品を購入した際のマージンで儲けるので、上位者だけが儲かり、下位者になるにつれて報酬が細っていくという仕組みだ。
春になると大学生がよくマルチ商法に引っかかるのだが、それは4月に地方から上京してきたりして、友人が少なかったり、世間に疎い学生が多いからだ。
そういった学生の不安を利用して勧誘者が巧みに近づき、学生たちをマルチビジネスに加入させるのだ。
まず、マルチビジネスの問題点として挙げられるのが、加入者が元締め事業者から購入する販売商品がメチャクチャ高いということだ。
某有名マルチなんかは、かなりの商品ラインナップを有しており、「品質はいいから」「ずっと使えるから」等と販売員たちは言うが、金額があまりにも高すぎる。
友人のママがマルチにはまっていて、自分で販売用に買った商品を自分で使っていたそうだが、「値段が高すぎる...」とその友人が引いていたくらいだ。※私はママを止めるようにアドバイスしました。
そして、そんな高額な商品を会員はまとめ買いするのだが、その値段は数十万円単位になることもある。なので、学生でマルチに加入した会員の場合は学生ローン等を利用してそれらの商品を購入するハメになるのだ。
当然、学生には商品を販売する人脈など無い場合が多く、結局商品は売れずローンの返済に困ることになる。
そして、困った学生は新たに会員を勧誘するために必死で勧誘活動を行い始める。なぜなら、新たに会員を加入させれば、自分にもマージンが入るからだ。
しかし、マルチ商法やネットワークビジネスの場合、結局は上位者に入るマージンが多く、下位者は少ないマージンしか受け取れないため、いつまで経っても下位者は儲けにくい仕組みとなっている。
このようなマルチ商法に勧誘され、高額な販売商品を買わされてローンに苦しむ学生が相当数いるのだ。
実は、自分自身もマルチ商法に勧誘された過去がある。
勧誘してきたのは、アルバイト先が一緒だった先輩で、そこまでは親しくはなく、何度か一緒に酒を飲んだことがある程度の仲だった。
そんな先輩から、ある日突然電話がかかってきて、「今度一緒にメシでもどうだ?」というお誘いがあった。
「いきなり、どうして自分を誘ってきたんだろう?」
いつもそんなに親しくしているわけではないので、軽い違和感を覚えたが、断るのも悪いのでとりあえずOKして飲みに行くことになった。
そして、飲みに行くと、いつもは物静かなその先輩が将来の夢なんかについて熱く語り出したのだ。
「将来は飲食店を中心にビジネスを展開したい。俺の周りには学生時代にすでにそういったビジネスを成功させて大儲けしている凄い人たちがいるんだ」
「はあ...」
「そういう人たちと一緒にいると、自分も凄く刺激を受けることが出来るんだ。そうだ、今度一緒にその人達に会いにいこうよ!!」
興奮気味に言うその先輩を見て、自分は一瞬で「ははあ、こいつ、マルチにハマっているな」と見抜いた。
なぜかというと、自分は学生時代に全く勉強はしていなかったかわりに(1年時の取得単位が1桁!)、ひたすら遊びまわっていたおかげで、世間一般の「よろしくないこと」については普通の学生よりも知識があったからだ。
「いや、忙しいんでやめときます」
そう断ったのだが、なおも夢を語ったり、そのマルチの先輩方がいかに凄いのかを熱弁を振るいながら説明してきて、かなりしつこかった。
なので、もう面倒くさくなってハッキリと断った。
「先輩、それ、マルチだからやめておいた方がいいと思いますよ」
その場はそう言ってその先輩を諭して帰ったのだが、その後もしつこく何度か勧誘の連絡があったので、最後は「やかましい!!」とキレてしまった。
それで自分への連絡はなくなったのだが、ほかのアルバイト先の後輩も勧誘されていたので、「絶対についていくな」とアドバイスをしておいた。
その後、その先輩は誰にも相手にされなくなり、アルバイトも辞めてしまった。
結構いい人だったんだけどね...マルチにハマる前は。
自分の過去の体験談からも分かると思うが、マルチ商法やネットワークビジネスというのは、「人間関係」を使って巧みに人をネットワーク内に勧誘しようとしてくるケースが多い。
新しく大学に進学した新入生の場合、知り合いもいなかったりして孤独な場合も多いので、そういった新入生に近づき、人間関係を作ってからネットワーク内に勧誘するのがマルチ商法の悪どいところだ。
前述した自分の過去の体験談で最後に書いた通り、一度マルチ商法にハマってしまうと、自分の先輩のように誰にも相手にされなくなり、最後は人間関係が破綻してしまう可能性が高い。
「一緒に金持ちにならないか」
「凄いビジネスがあるんだ!」
こんな言葉を聞くと、一瞬心が揺らいでしまう気持ちも理解できるのだが、冷静に考えてみて欲しいのだが、金もなく人間関係もない学生にそんな「おいしい話」が転がり込む可能性は限りなくゼロに近い。
なので、そういった「お金」に関する勧誘文句を学生が聞いたら、ほぼ100%マルチへの誘いだと思っていいだろう。
学生がわざわざそんなビジネスに加入して、楽しい大学生活を悲惨なものにする必要性は全くない。
もしも、ビジネスを学びたいのであれば、今ならブログやユーチューブがある。
アルバイトではなく、そういったツールを使って、自分の頭で考えて金儲けをすれば、後々大きな財産となる可能性が高いからね。
なので、個人的には学生は絶対にマルチ商法などに手を出さず、人生で一番楽しい学生の期間を、そういった自分独自のビジネスをやってみたり、友人と遊んだりして謳歌するべきだと思う。
ずっと遊んでいても何も言われないのは、学生時代くらいだからね。
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