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スルガ銀行、TATERU、ノンストップで加速する不動産不正融資問題

また不動産融資に関する問題か...。

東証一部上場企業である不動産会社、TATERUが、顧客から受け取っていた不動産融資資料を改ざんしていたことが発覚した。

なんでも、20数万円しか預金残高が無かったはずの口座に、600万円超の預金があったと改ざんしていたとのことだ。

うーん...。

報道の内容が数字まで正確なのであれば、預金残高20万円しかない人に不動産を買わせて、そのうえ高額なローンを組ませようとしていたということだが、そもそも預金20万しかない方が、不動産なんて買うのかね?

もちろん、それだけが全財産ではなかったのだろうが、もしも普通のサラリーマンの方が、20万円しか預金残高が無いのに不動産融資を受けようと思ったのなら、日本の投資用不動産市場は相当加熱しているとしか言いようがない。

※おそらくだが、長期のローンを組めるということは、サラリーマンの方である可能性が高いだろう。

もう連日連夜、スルガ銀行の不正融資問題がクローズアップされているが、あれは氷山の一角で、これからまだまだ同じようなケースが続出してくるのではないだろうか。

なぜなら、もはや地銀はまともな融資だけをやっていては、とてもじゃないがやっていけるような状況ではないからだ。

もちろん、メガバンクだって国内の事業環境はキツイのだが、メガバンクの場合は人員削減や収益基盤の強化などにより、はっきり言って以前よりも収益性は上がっていると言えるだろう。

日本だけではなく、世界中で金を貸しまくっているのだから、日本の金利の影響を、海外事業などで相殺できるだけまだ余裕があると言っていいだろう。

しかし、地銀の収益基盤はほぼ国内に限られていて、慣れない外債の運用などでも損失を出しまくり、もう打つ手がほとんどない状況だ。

要するに、もはや背水の陣で攻めざるを得ない状況まで追い込まれているのだ。

🏠 🏠 🏠

2016年に日銀がマイナス金利を導入してからというもの、地銀の事業環境は相当に悪化していて、他の巨大地銀と統合するか、もしくは、なりふり構わず攻めまくるかの選択を迫られている地銀がほとんどだ。

地銀の経営環境は、マイナス金利の導入前から最悪だったのだが、収益力が低下しているところに止めをさしてしまったのは、間違いなくマイナス金利だろう。

マイナス金利とは、平たくいえば、銀行が日銀にお金を預けていると利子を支払わなければならない状態を指すので、銀行はお金を手元に置き続けると損失を出し続けることになる。

したがって、対処策としては金を貸し出して利ザヤを稼ぐしかなくなる。

つまり、攻めなければならなくなるのだ。

だが、今の日本で「どんどん金を貸してください」という元気な企業は、地方には中々ない。その理由は、地方経済は衰退の一途を辿っているため、経済規模が縮小する一方だからだ。

そのため、地銀としてはカードローンや不動産融資などの、個人向けの貸し出しを強化して収益性を何とか維持するしかない。

最近、銀行のカードローンも相当に問題視されているが、ああいった無茶苦茶な金利水準で、今まで貸し出していなかった層に金を貸さないことには、もはや借り手がいないのだ。

著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、そのポートフォリオの中心に、地銀の超巨大版のような企業であるウェルズ・ファーゴを据えているが、それはあくまでアメリカの人口が緩やかに増え続け、また、新しい産業が生まれ続け、果てしなく経済発展していくという前提があるからだと思う。

バフェットがウェルズ・ファーゴをメイン銘柄として据えている理由は、そのビジネスが銀行の本来業務である融資を中心としているからだ。

緩やかだが確実に成長していくアメリカ経済という前提があるので、市民の生活に根付いた超巨大地銀であるウェルズ・ファーゴは、常に融資を行うチャンスが目の前に溢れている。

増え続ける顧客のライフサイクルに合わせて、自動車ローンや不動産融資、教育ローンなどを貸し出していけば、ほぼ永続的に収益性を維持することが出来る。

それに、人口が増え続け、新たな産業やサービスが生まれ続けるアメリカでは、事業融資に対するニーズが日本よりも遥かに高いので、ウェルズ・ファーゴはバフェットに永久保有銘柄と指定されているのだろうと思う。

しかし、地銀が置かれている環境がこれと全く逆であることを考えると、ウェルズ・ファーゴのような正攻法の融資では事業が回らなくなってしまう。

だから、太陽光発電や不動産融資、それからカードローンといった高金利で貸し出しのできるイレギュラーなビジネスに手を染めていかざるを得ないのだろう。

🏠 🏠 🏠

スルガ銀行は、つい最近までは「最強の地銀」の名前を欲しいままにしていた地銀だ。

収益性が低く、経営難にあえぐ地銀の中にあって、攻めの融資を徹底することで状況を打破している超優良地銀とされていたのだ。

しかし、結局蓋を開けてみれば、かなり無茶な貸し出しどころか、不正融資にまで手を染めてしまっていた。

これは単にスルガ銀行だけの問題ではなく、全国の地銀に共通している経営上の問題だと思うのだが、もはや普通の融資だけでは食っていけないのだ。

この傾向は、これから人口が減り続けていく地方ではさらに顕著になっていくだろう。地銀のビジネスモデルは、その土地の人口の増減にモロにリンクしてしまう収益構造になっているので、そうなってくると普通ではない融資で食いつないでいくしかなくなってしまう。

以前、地銀が外債運用で損失を出しまくっていることを問題視した金融庁が、異例ともいえる勧告を出していたが、はっきり言って外債運用の経験がほとんどない地銀がそのような投資に手を出すのは、普通で考えたら狂気の沙汰だと言っていい。

どのような運用でもそうだと思うのだが、機関投資家がマーケットに参加するということは、JPモルガンチェースやゴールドマンサックスなど、その道のプロ中のプロ集団と腕を競うということだ。

そんな勝負に丸腰で挑むということ自体が、やはり地銀の経営環境の苦しさを物語っているのではないだろうか。

それほど苦しい経営環境だからこそ、「ちょっといい融資のアイデアがあるのですが」と不動産会社から提案されたら、首を縦に振らざるを得なかったのだろう。

だから、恐らくは今後もこういった事例が表面化して問題になる、というケースが結構出てくるだろう。

うまい融資の話を真に受けて何千万もローンを組んで、木造のアパートを建てたはいいが、入居者を確保することが出来ず、結局ひたすら借金を返すだけになってしまったという話も最近よく聞く。

リートの話の際にも書いたが、不動産融資は場合によっては株式投資と同じく、ハイリスクの投資になる場合があると思う。

それは、十分な知識も無いまま高額なローンを組む場合だ。

都心の一等地のマンションなどであれば、価値が下がらず、むしろ上がっていく可能性が高いということは理解できるが、地方都市に場所を考えずに木造アパートを建てるのは、かなりハイリスクな投資だと言っていいだろう。

そういった危険な投資に個人を引きずり込まなければ、もはや経営が成り立たないほど地銀の経営環境は悪化してしまっているのだ。

今、日本では人口の都市部への集中が加速している。

交通機関などのインフラが整備されていて、何事にも便利な都会に人が集中し、郊外はどんどん廃れていってしまっているのだ。

そのため、経済圏も都市部集中型となり、地方はますます衰える一方だ。

地方に事業基盤を置く地銀、特に第二地銀やそれよりも下位の地銀は、これから先相当厳しい状況に置かれることとなるだろう。

長期金利が上昇し始めれば、少しは地銀も息を吹き返す可能性はあるが、それは問題の根本ではないので抜本的な解決にはならない可能性が高い。

だから、近い将来、破たんを選択するか、合併を選択するかを迫られる地銀が相当数出てくるに違いないと思う。

その時の経済状況次第ではあると思うが、地銀が連鎖的に破綻するという事態に発展すれば、株式市場にも影響は出るだろうし、地方経済にもかなりの影響が出てくるだろう。

この問題に対して、国も早めに何かしらの対策を打っておいた方がいいと思うのだが、恐らくこれといって有効な対策は無いだろう。

そもそもが、地銀の数を減らすのが目的なんだろうが、それが行きすぎると予期していなかった地方経済への影響が出てくるのではないだろうか。

そのため、今後は破たんを回避するため、地銀同士の合併がさらに加速していくのは確実だ。

だから、先回りして吸収される側の地銀の株式を買っておくのはいいかもしれないと思っているのだが、それはやはりハイリスクな投資に分類されるだろう(※実際1銘柄買っている)。

なんにせよ、一連の不動産不正融資に関する問題や、カードローン問題から、人口減少問題が着実に日本経済を侵食し始めているという事実が透けて見えてくる。

これを手っ取り早く解決するには、もう一度1人者や独身者は住みにくい日本に逆戻りするしかないと思うのだが、それは、都市部だけが異常に発達してしまっている現在の日本では不可能だろう。

そうすると、解決策としては、子育てをしやすい環境を整え、社会にゆとりをもたせて仕事以外に向ける時間を創出していくしかない。

国民全体が、暇になった時間の中で婚活を行ったり、子作りを行ったりすることで、自然と人口が増えていくのを待つしかないだろう。

そうして、人口減少にどこかで歯止めをかけるしか、恐らく方法はないのではないだろうか。

要するに、正攻法で何とかするしか無いということだ。

しかし、正攻法で攻めるとやはり何事も時間がかかってしまう。

だから、これから先日本に住んでると、ゆとりある社会を支えるために、税金は上がるわ、年金はもらえないわ、そしていつまでも働かなければいけないわ、と苦痛まみれであることは間違いない。

だけど、まあ、日本に生まれてきたから、それも仕方が無いのかと思ったり、思わなかったりする。

皆さんは、どうだろうか?

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