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株主優待で貰ったQUOカードで朝ご飯をいただきました!!

もう8月も終わりか...。

今年は、蝉の鳴き声をあまり聞かなかったような気がする。

7月の強制仕事旅行からずっと働きづめで、今年はなにも夏らしいことをしなかった。

何かしたとすれば、近所のコンビニで久しぶりにアイスのクーリッシュを買って、童心に帰ってチュウチュウと夢中で吸いまくったくらいだうか。

もうあと何年かしたら、40になる。

20代の頃は、30も半ばになれば自分は子供の1人や2人はいて、休日は子供たちと遊んだり、小うるさい嫁に尻を叩かれて買い物に行ったりしていることを想像していた。

「あなた!!はやく卵を買ってきてちょうだい!!」

「うるせえなあ、たまの休みくらいゆっくりさせろよ」

「だらだらしてないで早く行ってよ」

そう言ってソファーに寝ている僕を叩き起こしに来た嫁を、強引に抱き寄せる。

「ちょっ、あなた!?何するよ」

「疲れてるんだろ?肩でも揉んでやるよ」

「ちょっと、そこは肩じゃない!そこは..」

「...」

「待って、あっちにタケちゃんが寝てるから、あなた、止まって!!」

「...」

「あなだあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

...。

そんな感じの休日を過ごしているはずだったのだが、現実は全く違う。

まるで殺し屋の住処のように殺風景な部屋で目を覚まし、虚ろな目でPCを開いてから、「米国株」とキーボードに叩き込んで検索し、Appleの株価上昇に大喜びしたり、「YUI再婚」というニュースを見て、少し悲しくなったりする。

そう、おいらは歌手のYUIが好きなのだ。

~恋しちゃったんだ、多分、気付いてないでしょ~

最高のフレーズがサビを飾る名曲チェリーを聞いてから、YUIのことが好きで好きでたまらなくなってしまった。

もしもYUIと瓜二つの女の子から、

「Appleの株式を全部くれたら、付き合ってあげてもいいよ」

そう言われたら、速攻で全株式を譲渡してしまうだろう。

~恋しちゃったんだ、多分、気付いてないでしょ~

YUIさん、もしも破局してしまったら、僕に連絡をください。僕と付き合ったら、Appleの株式とエクソンモービルの株式と、それからチャイナモバイルの株式が手に入ります。

🎸

どうだっただろうか?

おいらの悲しい休日の風景を想像して、30代中盤になるまでに結婚しなければいけないと、焦りだした方もいらっしゃるのではないだろうか。

はっきり言ってそれはまず間違いない。おいらの周りでも、まともな奴は大体30代前半までには結婚している。

おいらもまさかこの年になって、「YUIが再婚」というニュースで悲しむという、中二病のような症状に悩まされるとは思ってもいなかった。

やはり、30中盤にもなって結婚していないということは、出会いが無いなどの外部的な要因もあるが、おいら自身にも問題があるに違いない。

おいらは...孤独を抱えた欠陥品なんだよ。YUIの愛に飢えたね。

そんなおいらの悲しい気持ちを察してくれたのだろうか、先日郵便ポストに1通の封書が届いた。

中を開けてみると、現在保有している三機サービスという日本株の銘柄からだった。ピリピリと封書を開けてみると、中身は配当金振り込みの案内と、株主優待のQUOカードだった。

三機サービスは、空調設備メンテナンス会社だが、株主優待制度があり、株を保有していると1,000円分のQUOカードが貰えるのだ。

それを見て、沈んでいた気分が少しづつ晴れてきた。

そうだ、家族もいない、彼女もいない、そして今では友達もあんまりいない、そんな孤独なおいらだけど、株があるじゃないか!!

そうだよ、株は友達、友達は株だけなんだよ!!

今日は、このQUOカードで朝飯でも食うか。

QUOカードは全国のコンビニで使えるので、株主優待制度の中では、商品券と並んで現金に近い商品だ。

株主優待制度自体は、株式という金融資産の本質からすると、極めて歪んだ制度であることは間違いない。

株主優待が改悪されたから株価が下落した、株主優待を設立したから株価上昇という現象が、日本の株式市場では実際に起きているが、ウォーレン・バフェットやフィリプ・フィッシャーがその様子を見たら、呆れてしまって開いた口が塞がらなくなってしまうだろう。

米国株オンリーの投資家の方の中には、結構株主優待制度に批判的な意見を持っている方が多いが、恐らくそれが世界的には普通の感覚だろう。

だけど、実際貰ってしまうとやはり悪い気分はしない。

だから、今日は株主優待で貰ったQUOカードで朝飯を食うことにした。

🎸

「イラシャイマセ!!」

馴染みのコンビニに行くと、いつもの外国人店員が愛想よく挨拶をしてくれる。一方で、日本人の若い店員はまた外でタバコを吸ってサボっている。

どうしようもねえな。

恐らく、そのうちレジ打ちやコンビニのアルバイトなどの簡単な仕事は、ほとんどロボットや外国人に奪われてしまうのではないだろうか。

そう思いながら、優待で貰ったQUOカードで何を買おうかとコンビニの中をウロウロする。

すると、あった。

もちろん、購入するのはおいらが愛用しているベネトンのコン○ームだ。紳士のたしなみとして、これはいつも鞄か財布の中に入れておかなければならない生活必需品なのだ。

それから、おにぎりとクーリッシュ、それにから揚げを買って、1,000円分のQUOカードは役目を終えた。

無精ひげを生やしたままのスウェット姿でコンビニの前に座り込み、おにぎりとから揚げで朝食を済ませる。

そして、食べ終わる頃にはクーリッシュが溶けてきて、ちょうど食べ頃になるのだ。

我ながら、完璧に計算された朝食だ。

「スイマセン、ソコ、スコシドイテモラエマスカ」

おいらが貪るようにから揚げに食いついていると、突然、外国人店員が話しかけてきた。少し怯えた表情をしながらそう言ってきた。

どうやら、掃除をしたいらしい。

いいだろう、どいてやろう。

おいらは身長190cm、体重125kg、握力200オーバーのスーパーモンスターなので、注意するのが少し怖かったのだろう。

おいらはゆっくりと立ち上がると、その場を去ろうとした。この外国人は、いつも丁寧に対応してくれるので、業務の邪魔をして少し悪かったと思ってしまった。

それに、なぜかいつもレジで買い物を終えると、おいらに親しく話しかけてくるのだ。

「キョウナニタベタ?」

「シゴトイソガシイ??」

「オツカレサマデシタ!!」

明るい彼との会話に、何度元気づけられたことか。

しかし、なぜ彼は見ず知らずのおいらに、あそこまで親しげに話しかけてくれるだろうか。

やはり、その辺が外国人と日本人の違いで、彼らは積極的に外に出て行っている分、日本人よりもずっとコミュニケーション能力が高いのだろう。

「チョットマッテ」

おいらがその場を去ろうとした時だった、彼がこちらをじっと見ながらそう言った。

「?」

「キイテモイイ?」

「なんだ?」

「アナタドコノクニカラキタ?」

ー外国人だと思われていただけだったー

※おいらは純日本人です。

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