ー桐島、部活やめるってよー
ちょうど今から10年前、リーマンショック後に出版された朝井リョウのデビュー小説だ。
この作品で、朝井リョウは平成生まれで初めて小説すばる新人賞を受賞した作家となり話題となった。また、同作品は後に映画化もされている。
ざっくりとしたストーリーとしては、バレーボール部のキャプテンだった桐島君が突然部活をやめたことにより、5人の同級生に起こる変化を描いている。
思春期の学生というものは本当に多感で、そのように多感な学生時代を生きる人物たちの心理的変化を、まだ若かった作者が登場人物たちの年代に近い感性を保ったまま書いたからこそ、同作は同年代の若者を中心に受け入れられ、映画化されるほどのヒット作となったのだろう。
ところで、桐島君が部活をやめたことによって影響を受けた人間は、言うてもたったの5人だ。それに与えた影響といっても、単に登場人物たちの多感な心を刺激して、日常に微細な変化をもたらしたにすぎない。
実は、我が国の首相である安倍さんが、異次元緩和をやめると言いだしている。
ー安倍さん、異次元緩和やめるってよー
...。
ちょっと待てえええええええええええええええええええええええええええ!!!!
安倍さんが異次元緩和をやめてしまったら、その影響は桐島君が部活をやめてしまったレベルの衝撃ではない。
それの2000万倍以上の人間に影響が出てしまう。そう、つまり我が国に住む国民ほぼ全員に影響が出てしまうのだ。
ー安倍さん、異次元緩和やめるってよー
気軽にやめるなあああああああああああああああああああああああああああああ!!!
桐島ちゃうぞお前ええええええええええええええええええええええええええええ!!!
最近、なにかと日本の金融緩和政策の出口戦略について語られることが多い。
9月14日の自民党総裁選に向けた日本記者クラブ主催の公開討論会において、安倍首相が日本の金融異次元緩和政策の出口戦略について触れたらしい。
4-6月期のGDPが年率3%に上方修正されたことなどから、「日本の経済は力強く成長している」として、リーマンショック後から続く金融異次元緩和については、もうそろそろいいんじゃない?と言い出したのだ。
もっとも、異次元緩和の出口戦略については、これまでも様々なところで触れられており、最近はアメリカが金融緩和を終了して金利を上昇させたりしているため、そろそろ日本でも金融緩和を終了させないと、という空気が流れている。
ところで、日銀による金融異次元とは一体何を指すのかというと、代表的なものとしては日銀による長期国債の買い入れや、ETF・Jリートの買い入れなどが挙げられる。それからマネタリーベースの増加だ。
マネタリーベースの増加や、長期国債の買い入れについては、リーマンショック後の疲弊した経済にひたすら金を送り込み、刺激し続けることで経済の回復を促すという目的がある。
これは、ある程度理論的に正しいやり方だろう。というか、これ以外に方法はないというのが正解だろう。
何やってもダメなので、ひたすら現金を市場に供給しまくるという力技の解決策だ。
結果的に、一般労働者にはあまり実感が無いが、日本の景気は確実にここまで回復してきたと言っていいだろう。
市場に金が出回った結果、不動産などの資産価格が上昇し、あるところには金がたんまりとあるというプチバブルのような様相さえ呈してきている。
たまにアベノミクスがめちゃくちゃ批判されているが、それはサラリーマンなどの一般労働者が恩恵をあまり受けることが出来ないからだ。
しかし、著名投資家のジム・ロジャース氏などを筆頭に、投資家たちはアベノミクスを大歓迎している。
なぜなら、異次元の金融緩和により株価や不動産などの資産価格が大きく上昇し、その恩恵をこれでもかというくらい享受することが出来たからだ。
一方で、おいらを筆頭とするサラリーマンなどの一般労働者は、アベノミクスが進む過程において、消費税などの税金は上がるわ、物価は上昇するが給与は上がらないわで、その恩恵をほとんど受けることが出来ていない。
つまり、アベノミクスはトマ・ピケティの主張する公式である「r>g」を加速させる装置だったと言ってもいいだろう。
アベノミクスにより異次元の金融緩和が進んでしまった結果、資産家と労働者の間で、ますます貧富の差が開いてしまったわけだ。
そのため、アベノミクスには批判的な意見も多いが、結果的に株価も景気も回復しているので、投資家たちには比較的評判がいい。
だが、そんな資産家たちでさえも眉をひそめるような緩和策が、今回の金融異次元緩和には含まれている。
投資家たちさえも眉をひそめる金融緩和策。
それが、日銀によるETFとJリートの買い支えだ。
特に、2016年の株価暴落時には、その買い入れペースをそれまでの2倍の約6兆円まで拡大させており、その結果多くの日本企業の大株主が日銀となる異常事態を引き起こしている。
有名なところでは、ユニクロを展開するファーストリテイリングも日銀が大株主となってしまっている企業だ。
日の丸親方とはよくいうが、本当に日の丸、つまり日銀が親方となってしまっているのだから普通に笑えない。
ちなみに、日銀は東証に株式も上場しており、民間企業の体裁を取っているが、中央銀行という特性から国の機関の一部と考えた方が自然だろう。
この異常な状態は、海外でも前代未聞の事態としてしばしば話題にあがっており、「日銀はイカれているのか??」とさえ思われている節さえある。
誰がどう考えても、その国の中央銀行が民間企業の株を買いまくるというのは、たとえそれがETFの買い入れを通じてあっても異常以外のなにものでもない。
現在、日経平均は23,000円台を回復しているが、現在の株価は日銀のETF買いによってかなり底上げされているとも言われているので、実際の株価は20,000円を切っている可能性だって十分にある。
要するに、政府主導で株価を操作しているような状態なので、適正な資産価格が分かりづらくなってしまっているのだ。
特に、日銀が大株主となっている企業の場合は、日銀の買い入れ額を差し引いた場合の価値というのが非常に分かりづらい。
そして、最も投資家たちに危惧されているのが、日銀が保有する株式を売り出した場合の影響度合いについてだ。
これまで巨大な買い手となっていた日銀が市場から撤退することにより、再び株価が大きく下落する可能性があるため、投資家たちは怯えながら日銀の動向に注目している。
果たしてそれがどれくらいの影響を市場にもたらすのか、その後、市場は本当に正常化するのかなど、問題は山積みの状態なのだが、それに対して我々投資家が出来ることは限られている。
資産を保有し続けるか、それとも現金を保有するか、おそらくはその2択に限られてくるだろう。当たり前なのだが。
これから日銀の出口戦略については、さらに話が進んでいくだろうから、日本株に投資している投資家は特に注視していく必要があるだろう。
それにしても、リーマンショック後のチャートを見てみたり、地価の上昇具合を調べたりしていて感じたのだが、トマピケティが主張する「r>g」の公式はつくづく正しいと思わざるをえない。
2019年には消費税増税を控えている日本だが、はっきり言って我々サラリーマンはアベノミクスで労働者としては何一ついい思いは出来ていない。
リーマンショック前も、そしてリーマンショックから10年が経過した現在も、いつの時代だってサラリーマンは青白い顔をして電車に揺られて出社し、そして虚ろな目をして家路につく。
その繰り返しだ。
給与が増えるわけでもない、仕事が楽になるわけでもない、有給がとりやすくなるわけでもない。
...。
少し数えてみただけで、悲惨な状況は何一つ変わっていないのだ。
一方で、勇気を出して株式市場に参加したり、不動産などの資産を取得した方たちは、これでもかというくらいアベノミクスの恩恵を享受することが出来ている。
株式におけるキャピタルゲインや配当金の増加、不動産価格の上昇、賃料収入の増大。
はっきり言って、いいことずくめの10年間だったと言ってもいいだろう。
そして、例え日本の異次元緩和が終了したとしても、「r>g」の公式が揺らぐことはないだろう。
資本主義が続く限り、市場にお金を置いておかないと、永久にgのまま生きていかなければならないというリスクを我々は背負っているのだ。
だからこその、米国株投資、それから世界分散投資なんですよ!!
そうやってドヤ顔で言えるほどの経験は積んではいないが、実践してみた結果、確かに日本以外の国の資産に投資をすることで、リスクを分散できるとは感じている。
現在の世界経済は、数珠でつながっているような構造なので、日本株が暴落したら連鎖的に他国の株式市場も下落する可能性はある。
しかし、ある程度の期間が経過すれば、経済力の強い国の株価は回復しやすいので、世界NO1の経済大国であるアメリカの株式市場にお金を置いておくのは、やはり正しい選択になる可能性が高いと思う。
最近、日本の株雑誌でもちょくちょく米国株の特集が組まれているから、きっと世間でも注目度が増しているのだろう。
日本株だけで運用できれば、情報の面や税金の点からも一番楽なのだが、これからはきっとそれでは厳しいんだろうな...。
有名な投信にも米国株が組み込まれまくっている現状からも、案外マジでそう思っている次第だ。
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