高配当株の中には、我々に昔から馴染みの企業も多く、そんな企業の中には普段から生活に浸透している製品を人々に提供している会社もある。
そんな企業の一つに、我々サラリーマンには必須のスーツを製造しているAOKIホールディングスがある。
AOKIホールディングスの配当利回りは現状で5%を超えおり、キヤノンやJTと同様に日本株の中ではかなり利回りが高い株に分類される。
そのため、個人投資家にも注目されていたり、株雑誌の高配当株特集にも登場することがあるので、投資家であれば知っている人も多い銘柄だ。
紳士服のAOKIと言えば、昔からロードサイドに大型店舗を構え、新入社員や就職活動をしている大学生なんかは、AOKIで安いスーツをまずは買い揃えることも多い。
このブログの読者の中にも、AOKIのスーツに袖を通したことのある方は多いのではないだろうか。
しかし、そんなAOKIホールディングスも最近はメインの紳士服事業で苦戦しており、事業を多角化している。
前述したとおり、AOKIホールディングスのメイン事業は紳士服の販売だが、最近はその本業が苦戦しているため、別事業を育てて業績を補完している。
AOKIホールディングスの事業は、現状下記の通りとなっている。
・ファッション事業
・ブライダル事業
・エンターテイメント事業
この中で、最も苦戦しているのが本来であれば柱であるはずのファッション事業、つまりはスーツの製造販売などで、今年の2月に発表した決算では赤字となっている状況だ。
しかし、ブライダル事業と複合カフェ等のエンターテイメント事業で利益が出ているため、全体ではきちんと黒字を確保している。
売上高だけだとファッション事業が最も大きいが、利益率が非常に低いんだろうね。
逆に「快活クラブ」で展開している複合カフェ事業は、売上高に対しての利益率が高く、今や事業の柱と言っていいほどにまで成長している。
ブライダル事業も売上高に対する利益率が高いようで、こちらも利益の多くを占めている。
AOKIホールディングスの配当金は、前述したとおり現在約5%を超えているが、直近4年ほどは増配を続けている。
そのため、比較的株主への配当意欲は強い企業だと思うのだが、そのぶん配当性向は高い。
自己株式取得を含めた総還元比率を50%以上にする方針のようなので、配当性向自体は今後も高止まりする可能性が高いように思う。
というのもAOKIホールディングスは直近出したIRで、業績の下方修正予測を出しているからだ。
今回出した利益予測では、今後も同水準での配当金維持は少し厳しい感じがするね。
ただ、AOKIホールディングスは、かなり本気で業態を転換しようとしており、スーツ以外の分野は成長余地があるので、ファッション事業を縮小してその他事業の強化が成功すれば、利益率も上昇する可能性がある。
そのため、今後も配当金が同意水準で維持されていくのかは、決算書のセグメント別利益を見ながら判断した方がいいように思う。
最近はスーツの需要自体が細っているし、様々な企業が競合してきているので、ファッション事業は相当厳しいのかもしれないね。
AOKIホールディングスは、高配当株というだけではなく、株主優待制度を設置している優待株でもある。
その内容は、自社製品の割引券や自社グループの施設利用割引券となっている。
割引率が20%の券を100株保有からもらえるので、AOKIホールディングスのユーザーにとってはかなりお得な割引券となっている。
満喫の快活CLUBで使える券も貰えるので、同店舗が近くにある方の場合は結構ニーズがあるのかもしれないね。
AOKIホールディングスは、昔からある総合紳士服メーカーといったイメージだったが、今ではもう他の事業が柱となりつつある。
その方向性については概ね間違っていないように思えるし、実際に決算書を見てみるとそれらの新規事業によってどうにか黒字を確保している状態だ。
多角化経営は失敗しやすいと言われているが、AOKIホールディングスはかなり上手くやっている印象だ。
今後AOKIホールディングスが高配当株でいられるのかは、これらの新規事業が利益を増加させていけるのかにかかっているだろう。
自分もAOKIホールディングスのスーツにお世話になったことがあるので、今後も何とか頑張って欲しい企業の一つだ。
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