「残念ながらかぶまくら、明日はやっぱりお前に来てもらうことにしたよ」
「え、僕ですか?その件なら確かA君が行くはずだったのでは...」
「四の五の言うんじゃねえ、カス野郎!!てめえが来るんだよおおおお!!」
明日の土曜日の得意先との付き合いゴルフは、新人のA君が行くことになっていたのですでにおいらは用事を入れてしまっている。
明日は街の本屋さんへ行って、週刊SPA!とプレイボーイとフライデーを立ち読みしてから、古本屋さんに行って深田恭子の写真集を漁るという重要な任務があるのだ。
一体、なぜ俺が予定外の休日出勤しなければならないのか。
さすがに納得できないので、パワハラのハゲ上司に食い下がる。
「行くのはいいんですが、僕もすでに大事な予定を入れてしまっているので困ります」
「...」
「一体、どうしてA君に行かせないんですか?」
「Aに来いっていったら、考えさせてもらうって言い出したんだよ」
上司が、苦虫を噛み潰したような顔でそう言った。
「考えさせてもらう?」
それで、おいらはピンときた。
「また、辞めるって言いだしたんですか?」
「ああ、だから強く言えないんだよ」
昨年入社した新入社員のA君は、ハゲ上司のパワハラに耐えることが出来ず、すでに一度会社を辞めると言って引き留められた経歴があるのだ。
それ以来、ハゲ上司はA君にあまり強く言えなくなってしまったのだ。
新入社員のA君は、以前ハゲ上司に有給の申請をしたところ、下記のような嫌味を言われたことに激怒して退社を申し出たことがある。
「すいません、明日、お休みをいただきたいのですが」
「休みい~?お前、新人のくせにこのクソ忙しい時期に休みなんか取れると思っているのか!?そんなことはなあ、一丁前に仕事が出来るようになってから言うもんなんだよ!!出直してこい、このクソガキがああああ!!」
一丁前に仕事が出来ることと、社員個人の権利である有給休暇の取得は1ミリも関係ないのだが、ハゲ上司はそのことに全く気が付いていなかった。
「じゃあ辞めます!!」
その20分後に、A君から退職の申し出があり、焦った上司と、さらにその上の人間まで出張ってきてA君を説得する事態となり、大騒ぎとなったことがあるのだ。
今は人手不足の世の中で、尚且つ新入社員が高速で辞めてしまうと上司たちのマネジメント力が問われてしまうので、このようなケースでは大体どのような職場でも全力で「考え直してくれ」と引き留めるのが普通だ。
「最近の若い奴は、すぐに辞めるっていうから...」
ため息をつきながらハゲ上司がそう言ったが、果たしてその理由をこのオッサンは理解しているのか?と思ってしまった。
最近の若者が高速で会社を辞めのは、もはや昔の人間とは価値観が完全に変化してしまっているからだ。
・会社は組織なので自己犠牲の精神が重要
・サービス残業は当たり前
・有給は消化しないのが当然
昔のサラリーマンの価値観はこんな感じで、おいらの世代くらいまではまだこれが当たり前だったのだが、感覚的にはゆとり世代あたりの年代から明らかに価値観が変化してきている。
・会社は単なる給料を貰う場所でプライベートが重要
・サービス残業は絶対に嫌
・有給消化は当たり前
最近の若いサラリーマンたちの価値観はこんな感じに変化してきていると思うのだが、労働者として考えた場合に正しいのはほぼ100%こっちのほうだ。
というのも、昔のサラリーマンの価値観というのは、あくまでも高度経済成長期の考え方が尾を引いていて、「会社は家族」、「会社は死ぬまで面倒を見てくれる」という前提の基に成り立っていたからだ。
昔は頑張っていれば誰でもそれなりに給与は上がっていったし、多くの会社で退職金制度が完備されていたので、会社に忠誠を誓って勤めあげていれば老後も安泰だったからね。
ただし、最近はその前提条件が完全に崩壊してしまっているので、「サービス残業」をしたり「有給休暇を取得しない」という選択肢を選ぶことに全くメリットがなくなってしまっているのだ。
今では、いくら頑張っても給与もあがらず、退職金も昔ほどは支払われなくなってしまっているので、そもそも会社に忠誠を誓って自己犠牲の精神を発揮することのメリットが無くなってしまっているんだよね。
そのため、労働者としては自身の権利を主張して有給をきちんと消化したり、プライベートな時間を大切にする方が100%理に適っているというわけだ。
一方で、おいらのハゲ上司に代表される古い世代の人間たちは、いまだに昭和から平成初期にかけての価値観を継承してしまっているため、若い世代の人間たちとの間に価値観のギャップが生じてしまっているのだ。
そのため、若い社員が「辞める!!」と言い出すケースが後を絶たない。
今の世代の若者たちは、上司と合わなかったり、有給が消化できない等の理由があればすぐに退職を申し出るケースがあり、ブラック企業等へ入社した場合は1日で退職を決意する場合もある。
そういった層などへのニーズを掘り起こすことで急成長を遂げている業種がある。
それが、退職代行サービスだ。
退職代行サービスとは、本人に代わって企業等の雇用先に退職の意志を代行して伝えるサービスのことだ。
費用は、大体3万円~5万円と非常にリーズナブルな価格に設定されている。
サービス内容は至ってシンプルで、退職代行を申し込む→退職代行業者から勤務先へ退職の意志を伝える→離職票等の手続きという風になっている。
「こんなに簡単に終わるんだったら、これは相当ニーズがあるだろうな」
前述したように、現在は人手不足が深刻化しているという事情も相まって、社員側が退職の意志を伝えると、企業側が強く引き留めるケースが非常に多い。
ただ引き留めるだけならいいが、中には「就業規則に反しているので訴える」と脅したり、「みんなに迷惑をかけていいのか!!」と情に訴えかけて来るケースもあると聞く。
それに、「そもそも退職の意志を会社側に伝えるのに気が引ける」という方も相当数いる。
なので、そういった層にはかなりニーズがあるサービスだと思う。
昔は「転職」というとかなりレアな響きがあったが、最近の売り手市場ではもう転職が当たり前となってきているので、「転職したいが退職がうまくできない」という層にもかなりニーズはあるだろう。
退職代行業者のHPをいくつか見てみたが、申し込みから退職まで本当にスムーズに行くのであれば、相当シンプルな手続きだけでことが済むので、退職で会社と揉めていたりする場合は、こういったサービスを使用するのも悪くはない選択肢だと思う。
ただ、退職代行業者は弁護士ではないので、「あくまでも退職の意志を伝えるだけ」という点には注意が必要だろう。
なので、未払いの給与の支払いを求めるなど、法律上の交渉事が必要な場合はきちんと弁護士事務所に依頼するのが正解だろうね。
なんにせよ、こういったサービスが活況を呈しているということは、それだけそういったニーズがこの世の中に存在しているということだ。
この点を無視して昔の感覚でマネジメントを行っていると痛い目に逢う可能性があるので、今管理職に就いている人間たちは相当な注意が必要だろうね。
「会社のために頑張るんだよ!!」
そんな化石ワードを吐こうものなら、若い人間たちから総スカンを食らってしまう可能性もある。
昔であれば、それで「頑張ろう!!」となっていたんだろうが、最近の若手はもう完全に醒めた目でそう言う上司を見ているんだよね。
なので、オッサンたちにとっては非常にやりにくい環境となってきているのだが、もうこれは時代に合わせて感覚を変化させていくしかない。
平成も最後の年になるが、いいか悪いかは別にして世の中の変化は半端ないね...。
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