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最近、免許を取る際にAT専用の免許を取得する人もいるらしいが、自分が免許を取ったころは大体の人がMT車も運転出来る方を選択していた。
MT車は最近、ほとんど見かけることはなく、一般車両だとマニアックなスポーツカーやバンや軽トラにたまにMT車を見かけるくらいだ。
MTは慣れるまでは操作が結構難しく、エンストすると車体がガッタン、ガッタンと揺れてえらいことになる。
そのため、教習所でエンストする分には周りの車の教習車なので安全だが、公道でエンストをすると死の恐怖を感じることがある。
自分も、まだ若かった頃にアルバイトでMT車に乗る必要があり、操作ミスでエンストさせて「ヤバい」と思ったことがある。
今回はその時のことと、適正な時間給は自分自身で判断する必要がある、というお話をさせていただこうかと思う。
そのころ、自分はディスカウントショップみたいなところでアルバイトをしていたのだが、業務内容はシンプルに取引先の店舗や個人宅等に商品を配達するという仕事だった。
時給は800円と低賃金極まりなかったのだが、車に乗って配達をすればいいだけなので楽そう、と思って応募したら採用された。
しかし、実際は楽どころかかなりハードなバイトで、ハイエースというバンタイプの車に様々な商品を積み込みまくり、店舗に配達しまくり、第一クールの配達が完了するとまた店舗に戻って商品を積み込む、という感じで肉体的にかなりしんどかった。
「クソだるいな...」
バイトを始めてから2週間ほど経過した時点で、そろそろやめようかな、と思っていた頃のことだった。
大きな幹線道路で、赤信号で停止した後に交差点に入ったときのことだった。
「!?」
MTのギアかクラッチの操作を誤ってしまったせいで、いきなりハイエースが激しくエンストしてしまい、ガッタン、ガッタンと車体が激しく揺れた。
揺れただけなら別にどうってことないのだが、すでに交差点内は車が動き出しており、寸前のところまで大型トラックが迫っていた。
「やばい、死ぬ!!」
衝突寸前でトラックが停車し、凄まじい音のクラクションを鳴らしてきた。中のオッサンが物凄い表情でこちらをにらみつけ、大声で叫んでいる。
その後、何とか車を動かすことが出来たのだが、正直生きた心地がしなかった。
「なんでオートマじゃねえんだ...」
別にハイエースは悪くはないのだが、時給800円で慣れないミッション車を運転させられたことに何となくムカついた。
「今日でやめまちゅ」
「何言ってんだ!!まだ2週間しか働いてないだろ君は」
自分がバイトを辞めるという意志を伝えると、店長がそう言ってきたので、MT車を運転するのがダルいということと、時給800円では割が合わないので辞めると伝えたところ、
「そんなこと言ってたら、どこも働くところないぞ!!仕事をなめるんじゃない!!それにな、お前みたいな奴に時給800円も出すところなんてほかにないぞ!!」
とブチ切れたのだが、もう働く気はなかったので、結局その日でやめてしまった。
そして、その数日後に派遣で時給1000円のアルバイトを発見し、そこに登録してバイトをすることにした。
すると、驚くべきことに、時給800円よりも200円も多い1000円なのに、仕事内容は楽だし、MTのハイエースも運転しなくてよかった。
MT車の操作ミスに恐怖することもなくなり、おまけに時給も増えたのでハッピハッピー状態となったのだが、少し不思議に思った。
「時給800円でしんどい仕事もあれば、時給1000円で楽な仕事もあるのか」
その当時、なぜか仲間内では「長くバイトを続けることは正義」のような風潮があって、
「お前、辞めるのはやくない?」
と、軽蔑の眼差しを向けられてしまった。
また、お父様とお母様からも「バイトすら続かないカス」という烙印を押されてしまったのだが、自分自身はダルいバイトは高速で辞めるという方針を貫けてよかった、と心からそう思った。
世の中には様々な仕事があり、様々な価値観で働く人々がいる。
その中には、賃金以外の条件、例えば「この仕事をすれば成長できます」「こんな能力が身に付きます」といったことを売りにする仕事もある。
そういった仕事やバイトの中にはかなり低賃金のものもある。
一方で、仕事内容はクソだるいが、賃金が非常に高い職というのもある。
世の中、中々うまい話というのはないので、楽しくて楽で高収入な仕事というのはあまりないので、我々としてはどちらかを選ぶしかないと考える。
ただ、貰っている賃金が「自分が考える適正値」とかけ離れているのであれば、適正値に近い賃金を稼げる先を探せば、案外見つかるケースというのはある。
「見つからない」
と思うのは、その人の固定観念で、探してみないと実際に見つかるか見つからないかはわからない。
ある人にとっては「時給800円が適正」だったとしても、ある人にとっては適正でない場合もある。
なので、こと賃金に関しては、他人の価値観ベースで考えるのではなく、「自分が考える適正値」を考えてみて、職を探してみるということは案外重要なのではないだろうか。
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