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ATMが停止中なのでクレジットカードだけで生活したら極楽だった

「なんでじゃ!!なんでなんじゃあああああああああああああ!!」

正月休み初日、実家に帰る途中のコンビニでその悲劇は起こった。

お金をたんまりおろそうとATMに銀行のキャッシュカードを挿入したところ、なんと営業停止中のため1月4日にならないと金がおろせないというのだ。

幸い、新幹線の切符はすでに買っていたが、お財布の中にはあと5,000円しか入っていない。

このままだと、せっかくのお正月休みを1日1,000円以下で過ごさなくてはいけないこととなってしまう。

すでに友人とも飲みの約束をし、けしからんお店にも電話を入れ、さらには初詣で「今年はいいことありますように」とお祈りをして一人で帰るOLをナンパするという計画を立ててしまっている。

当然、お金が手元にないとそれらの計画はすべて台無しなってしまう。

「あかん、このままやと発泡酒と蒲焼太郎で1週間を過ごすだけになってまう」

蒲焼太郎とは、魚のすり身で作ったうなぎの蒲焼味の駄菓子のことで、1枚12円くらいで買える。

しかし、子供の頃大好きだった蒲焼太郎をこの年齢になって、しかもお正月にそれをかじりながら発泡酒を片手に公園をうろつくのだけは御免だと思った。

「どないしよ、どないしたらええんや!!」

一瞬、マジで焦ったが、財布の中にビザのクレジットカードが入っているのを思い出した。

今年はこれで正月休みをやり過ごすしかない...。

こうして、おいらのクレジットカード生活が始まった。

最近、消費税増税に乗っかる形で政府がキャッシュレスの推進を目指し、クレジットカード使用時のポイント還元策などを策定しているが、逆を返せば日本の社会はまだまだ現金決済が主流だということだ。

先進国の中では、日本は最低クラスにキャッシュレス決済率が低く、現在の決済における日本のキャッシュレス比率は約2割程度だと言われている。

日本政府としては、この極めて低いキャッシュレス比率を2027年までに4割まで上昇させることを目標として掲げているが、現状はまだまだほど遠い状況だと言っていいだろう。

やっぱりね...おいらもそうなんだが、日本人は現金が好きなんだよ。

その理由はというと、おいらが思うに、もうDNA的に徹底的に島国根性が染みついた保守的な民族なので、目に見えないお金=デジタルでの決済(クレジットカード含む)は信用できないからというのがその理由だろう。

普通で考えたら、クレジットカードを使えばポイントが貯まるし、スマホ決済ならワンタッチで支払いが完了し、さらにはポイント還元もあるので、どう考えてもそれらの決済手段を利用したほうがユーザーにとってはメリットがあるはずだ。

だけど、人気があるのはそれらの決済手段よりも現金を使った昔ながらの決済方法なのだ。

実際に、おいらもATMで現金がおろせなかったため、非常に不安な気分となり、「これで無事正月休みを過ごせるのだろうか...」と気持ちが凹んでしまった。

そして、その結果がどうだったのかというと、はっきり言って全く問題なく過ごせている。とういうか、むしろ快適ですらある。

「まだ現金で消耗してるの?」

そんなクソバカワードを口走りそうになるくらい、正直快適だったのだ。

まず、最初にビビったのが、なんと駅中というかホームにあるキオスクやニューデイズなどでクレジットカードが使えたことだ。

新幹線に乗るときに所持金がわずかにも関わらずビールが飲みたくなってしまったので、こらえ性のないおいらはスーパードライとサラミをホームのキオスクで買ったわけだが、普通にクレジットカードで支払いが完了してしまった。

おいら、クレジットカードってある程度の金額のものを買ったり、飲み代を立て替えたりするときくらいしか使わないのだが、少額のものでも現金を取り出してゴチャゴチャするよりもスムーズに支払えるので便利だと思った。

そして、友人と昔行っていたボロい居酒屋に行ったときも、「この店クレジットカードなんか使えるのか?」と思っていたが、古めかしい木製のレジ台の横に「VISAで支払い可能」とシールが貼ってあって安心した。

「おばちゃん、この店クレジットカードなんか使えるの?」

「最近は外人さんが多いから、使えるようにしてあるんですよ」

昔は背筋がしゃんと伸びていたが、今では腰が曲がってすっかり白髪頭になってしまった女性店員さんいわく、外人が店にくると現金決済ではトラブルになることがあるため、クレジットカードを使用出来るようにしたらしい。

最近は日本にひたすら外国人が旅行に来て、インバウンド需要がものすごい勢いで加速しているので、結果的に店舗側もそれに対応しないといけないというわけだ。

日本にやってくるインバウンド客の多くは中国、韓国からの旅行者であり、その2国ではキャッシュレス社会がすでに完成していることを考えると、それも当然のことなのかもしれない。

中国はキャッシュレス比率が60%程度、韓国に至っては90%以上というから、そういった国々からの旅行者を受け入れる観光地で営業する店舗ではキャッシュレス化を進めないと商売にならなくなってくるだろうね。

今後、日本が観光大国を目指していることから考えると、現在観光地の地域だけではなく、将来的にはインバウンド需要に対応してキャッシュレス対応可能な店舗だけではなく、ロイヤルホストのように現金お断りの店舗もどんどん増えていくかもしれない。

そうなったときに、おいらのような現金主義の時代遅れの遺物たちは、外でごはんが食べられなくなってしまう可能性があるかもしれない。

昔通ったボロい居酒屋(味はいい)がクレジットカード決済を導入し、帰りに寄ったどの店舗でもクレジットカードでOKだったので便利だった反面、そんな恐怖を感じてしまった。

もしかしたら、そのうち小汚い立ち飲み屋ですら、「現金はお断りだよ」という感じになってしまうかもしれないね。

クレジットカード生活があんまりにも快適なので、もう公共料金もクレジットカードで支払おうかと思っているのだが、今後キャッシュレス社会が進んでいき現金が完全になくなるかというと、恐らくはそうならないだろうなと思う。

というのも、完全キャッシュレス社会に移行した場合、先日韓国であったような大規模な通信障害が発生した場合、経済が一時的に大トラブルに陥ってしまうからだ。

今年の11月に韓国のソウル市で通信大手のビルで火災が発生し、そのせいで基地局などに影響が出た結果、広範囲にわたって通信障害が発生し、インターネット、クレジット決済、携帯電話の使用が不可能となってしまった。

ネットでつながっている社会のリスクの一つに、通信障害や停電というリスクがあるが、要するにネット社会は電波が遮断されてしまうと経済機能自体がマヒしてしまうという脆い側面を持ち合わせているのだ。

その際にリスクヘッジとして機能するのが現金だ。要するに、今回のおいらとは逆で、クレジットカードやスマホ決済が使えないかわりに、現金決済で対応をするという形だ。

完全な停電だとかなり厳しいが、通信障害だけならば現金決済だけである程度の期間は経済が耐えられるだろう。といっても、法人の決済などを考慮すると、3~4週間くらいだろうが。

そして、つい先日もソフトバンクで大規模な通信障害が起こったことからも、普通にそういう事態はこの日本でも想定し得るので、そういった局面で現金が果たす役割というのはある程度残されているだろう。

それに、何よりも日本人は新しいものや革新的なものが嫌いなので、完全キャッシュレス化社会というのがこの日本で成立することはないように思う。

たぶん、無理やり到達させたとして今政府が掲げている40%程度が限界ではないだろうか。

ただ、実際完全キャッシュレスの生活を数日続けてみて、なんの不便も感じないので、おいら自身は徐々に自身の生活をキャッシュレス化していく予定だ。

今更PayPayダウンロードしてみようかな...。

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