「借金」という言葉を聞くと、我々庶民は背中にゾッとするような冷たい感覚を覚えることがほとんどだ。
「借金」のせいで破産する、「借金」のせいで家族離散、「借金」のせいで生活が崩壊、などなど、借金といえばネガティブなイメージが頭の中に浮かんで来てしまうからだ。
実際、おいらも「借金」と聞くと、カードローンやキャッシングで破産する人などを連想し、あんまりいいイメージが頭の中に浮かばない。
しかし、そんな「借金」を上手く利用して、自分の手元にある資金の何倍もの資産を取引し、巨万の富を築く人々もいる。
「そんなの嘘だろ?」
そう思われる方も多いかもしれないが、「借金」を好み、なおかつそれを利用して巨万の富を築く人々がこの世の中には存在しているのだ。
というのも、「借金」には二つの種類があって、いい借金と悪い借金があるからだ。
まず、悪い方の借金についてだが、これは純粋に生活が苦しくて借金をするとか、遊ぶ金を工面するために借金をするなど、刹那的な目的のために負う借金のことだ。
以前、銀行カードローンの使用目的について書いた記事で、カードローンの使用目的の第2位に「趣味・レジャーのため」、という理由がランクインしていたと書いたように、刹那的な目的のために借金をする人というのは驚くほど多い。
刹那的な目的のために借金をすると、一体何が悪いのかというと、そういった借金は単なる「負債」となる。
そして、単なる「負債」の一体何が悪いのかと言うと、端的に言ってそれらは何も生み出すことはなく、借りた者に「返済」という経済的な負担を課す。
そして、借金について回るのが利息で、下手をすると元本を返す前に利息の返済でアップアップとなり、身も心も疲れ切ってしまって、最悪のケースでは自己破産を選択する羽目になってしまう。
年数パーセント~十数パーセント程度の利息について甘く考えている方もいるが、実際に計算してみるとかなりの負担となることが分かる。
例えば、利息14パーセントで100万円を借りて毎月2万づつ返済しようとした場合、月々の返済額は下記の通りとなる。
・元本:100万円
・利息:14パーセント
・毎月返済額:20000円
・返済期間:74ヶ月
・返済合計額:1509511円
この通り、返済合計額を見ると分かると思うが、なんと元本の50パーセント超の利息を支払うハメになってしまうのだ。
なぜこんなことになるかというと、借金というのは利息部分が逆福利方式で増えていくので、毎月の元本返済額を多めにしておかないと、利息部分がどんどん増幅していく仕組みとなっているからだ。
その結果、借りた人の「負債」はどんどん増えていく。
なので、これは名著「金持ち父さん・貧乏父さん」で言うところの、ポケットからお金を奪っていく「負債」に分類される。
つまりは、悪い借金だ。
次に、「いい借金」についてだが、この種類の借金は一般的に投資家や実業家等に好まれる。
例えば、不動産を取得するためにローンを組んだり、事業を運営したりスタートしたりするために負う借金が「いい借金」に分類される。
不動産を取得して、それを収益物件として他人に賃貸等で貸し出す場合、返済する利息を上回る利益が発生すれば、借金の借主は利益を得ることになる。
この場合、借金の借主は「借金」を利用して「資産」を買ったことになる。
「資産」とは、保有している者に何らかの経済的利益をもたらす所有物や所有権、それから知的財産権等のことを指す。
このケースでは、前述したように借金の利息を上回る収益を生み出すことが出来れば、取得した者は利益を得ることができ、借金の返済が完了すれば、その資産はお金を生み出し続けることになる。
資本主義社会の上位に位置する富裕層たちは、そのことを理解しているので、「借金」を利用して「資産」を取得する。
また、実業家等も同じように借金を利用して事業を起こし、その結果利息を上回る利益を得ることが出来れば、それは「いい借金」になる。
このように、借金を利用して「利益」を生み出すことが出来れば、その借金は「負債」ではなく「いい借金」となるのだ。
それでは、「資産」を取得したり、「事業」を起こすための借金をすれば誰でもお金持ちになれるのかというと、それは少し違う。
というのも、「資産」と思って買ったものが実は「負債」だったというケースや、うまくいくと思って始めた事業が、全然ダメだったというケースもあるからだ。
例えば、「資産」だと思って買った不動産に全く借り手がなく、しかも土地の所有権等にトラブルを抱えている物件だったとしたら、その物件を買うために借りた借金は「負債」になってしまう。
株式でも同じで、信用取引でレバレッジをかけて買った株の株価がその後上昇すればいいが、株価が下落してしまうと投資家は大きな損失を被ってしまう。
このように、「資産」を買うために借金を利用する場合、借主の目利きがかなり重要となってくる。
事業の場合も同じで、借りた借金を利用して上手く事業を運営する手腕が求められる。
そのため、何でもかんでも借金を利用して「資産」を買ったり、「事業」を起こせばいいというわけではない。
なので、事業の場合は別としても(借りないと出来ないケースも多いので)、「資産」を買うために借金をするのであれば、ある程度経験を積んでからにした方が無難だ。
経験というのは、「資産」を目利きするために積む経験のことで、何度か不動産を取引してみたりして、自身の判断や実績に自身が持てるようになってからでも、決して遅くはないだろう。
借金を使ってレバレッジを利用して資産を取得するのも悪くはないが、通常は「負債」を負ってまで資産を取得したくはない、というのが我々一般的な庶民の感覚だ。
しかし、それでは資本主義の恩恵を受けることは出来ない。資本主義社会は、基本的に資産を持つものや事業を起こした者が勝者となり、労働者たちは彼らのために大切な時間を使って労働力を提供している。
そのため、「資産」を買ったり、「事業」を起こしたりしなければ、いつまで経っても資本主義の底辺層から抜け出すことは出来ない。
では、一体どうすればいいのかというと、個人的には「借金」を利用せずに株式やリート等の資産を買えばいいと思う。
株式を発行している株式会社や、Jリートは、すでに「借金」を利用することで事業を回しており、その結果発生する利益を投資家たちに分け与えている。
Jリートの場合は、不動産を取得するための資金の多くを「借金」に頼っており、レバレッジを利かせて投資を行い、その結果発生する不動産の賃貸料や売却益を投資家に還元している。
つまり、すでに個人では不可能なくらいレバレッジをかけて事業を行っているので、そのJリートを買えば、間接的にではあるがレバレッジの恩恵を受けることが出来る。
株式についてもそうで、株式会社の多くは「借金」を利用して利益を生み出しており、その利益を源泉として株価が上昇したり、配当金を投資家に支払ったりしている。
そのため、現物でこれらの資産を買えば、投資家たちはレバレッジのリスクを自身は負うことなく、「いい借金」の恩恵を受けることが出来る可能性があるのだ。
はっきり言って、これほど便利な仕組みはない。
なので、個人的にはバリバリにレバレッジをかけて資産を取得するよりも、すでに「借金」を利用して利益を生み出しているこれらの資産を取得することをお勧めする。
そして、ある程度勉強をして資産運用についての知識が深まってから、「いい借金」を利用した投資を検討したほうが、結果的には上手くいくのではないかと考えている。
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