シェアハウスを運営していた企業の倒産に端を発した不正融資問題により、スルガ銀行の株価下落がシャレにならない状態になっている。
昨年まで2500円を超えていた株価が、本日時点で620円まで下落してしまっている。
今年に入ってからのチャートを見ると、まさにジェットコースター。
ホルダーの方々はたまったものではなかっただろう。
同じ不祥事ではあっても、三菱自動車やスバル等による不正問題とは全く質が違う。
あちらの場合は、検査の基準なんかをごまかして商品を出荷していたのが問題だったわけで、もちろん批判されるべき問題ではあるが、はっきり言ってそれで企業の屋台骨が揺らぐことは無い。
なぜなら、多少燃費の検査をごまかした車であっても、走行には全く支障がないからだ。
ごまかしはごまかしなんだろうが、それらの問題は自動車の安全性や走行性に大きく問題を及ぼすことはないだろう。
つまり、それでユーザーが損害を被ることはあまり無い。あるとすれば、転売する際に人気がなくなってしまったせいで、買い取り価格が下がってしまうことぐらいだろうか。
しかし、スルガ銀行の場合は、今回の不祥事が本当に経営の屋台骨を揺るがすほどの事態にまで発展してしまっている。
なぜなら、今回の一連の問題が、顧客に甚大な被害をもたらしてしまったからだ。
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つい最近まで頻繁に報道されており、今でも様々な問題が発覚してニュースになっているので、ほとんどの方は知っていると思うが、一応説明しておくと、今回の問題は女性用シェアハウスへの融資が発端となって発覚していった。
ずっと以前の記事で書いたが、マイナス金利を頂点とする我が国の超低金利環境により、地銀の多くが不動産融資等の拡大に力を入れている。
皆さんも一度は勧誘されたことがあるかもしれないが、「大家さんになって、家賃収入を得ませんか?」という甘い誘い文句のあれだ。
不労所得という言葉には、世の中のサラリーマンを狂わせる甘い響きがある。
おいらも不労所得という言葉は大好きで、だからこうして日本株や米国株に投資をしている。
2016年にスタートしたマイナス金利というのは、金融機関にとっては真綿でじわじわと首を絞められているようなもので、放置しておくとひたすらに経営体力を削られていく。
どういうことかというと、地銀やメガバンクなどの民間の金融機関は、日銀の当座預金にお金を預けておく必要があって、以前はその預金の一部に0.1%の利子がついていた。
しかし、マイナス金利が導入されると、以前は0.1%の利子がもらえていたのが、逆に利子を支払わなければならなくなる。
まさに言葉の通り、預けておくだけでマイナス利子がついてしまうのである。
したがって、金融機関としては金を融資して貸し出すしか選択肢がなくなってくる。なぜなら、日銀に金を預けておくだけで、どんどんお金が減ってしまうからだ。
したがって、人々に融資をして金利による利ザヤを稼ぐしかなくなってしまうというわけだ。
マイナス金利の狙いは、後生大事に金を守っている金融機関にその金を世間に吐き出させることだ。
これは、吐き出された金は経済を活性化し、結果として景気が上向き、物価が上昇するはずだという理論に基づく。
そして、確かにこのマイナス金利によって、一部の市場は活性化した。
その最たるものが、不動産市場だ。
マイホームにしても投資用の物件にしても、不動産というのはとにかく値が張る。それも吸う千万単位から億単位という、普通のサラリーマンではまず用意できないくらいの大きな金が動く場合がほとんどだ。
したがって、不動産を買うときには、ほとんどの人が銀行からのローン等を利用する。
このローンの金利が高ければみんな中々金を借りようとはしないが、ローンの金利が低ければ借主である銀行に返す利子が減るので、借りたがる人が増える。
したがって、マイナス金利が導入されて、どんどん金利が下がっていくと、今まで不動産投資をしなかった層までもがこぞって金を借り、ワンルームマンション等の投資用マンションを買い漁るようになった。
もちろん、それにはきちんと理由がある。
当たり前のことだが、金融機関の側からどんどん営業を仕掛けたのだ。
投資用マンション等を扱う不動産業者と地銀等の金融機関がタッグを組み、高利回りの物件+低金利のローンという必殺技で、次々と不動産融資などやったことのない個人に営業をかけまくる。
「お客様、このワンルームマンションであれば、駅近ですし空室となる可能性は極めて低いので安全です。おまけに、当社がきちんと家賃保証をしますので、心配はご無用です」
「どれくらいの収入が見込めるんですか?」
「ローンの返済を差し引いて、月々2万円程度です。しかし、ローンが完済されれば月5万円程度の不労所得と投資用不動産があなたのものとなります」
もうね、あまーーーーーーーーーーーーい言葉で誘われるわけですよ。
しかしですね、よくよく考えてみれば分かると思うんですが、ローンを完済し終わったあとに手元に戻ってくるのは、めちゃめちゃ中古となり果てた不動産なわけなんですよ。
つまり、手元に帰ってくる頃にはその物件はボロボロで、資産価値はガタ落ちしている可能性が高いのです。
また、家賃保障など、その不動産会社の都合でなんぼでも保証される家賃の額は下がるだろうし、最悪の場合、家賃保証事態がなくなってしまうケースもあり得ます。
それだったら、普通に考えて株式や債券を分散して保有したほうが安全でしょう。
例えばこの不動産が激安で、2000万円だったとしても、返済期間が20年であれば、絶対株式で配当金をもらったほうが安全確実に年間24万円以上の不労所得を得られる可能性が極めて高いわけです。
その半分の1000万円で米国株の優先株式を集めたPFFといったETFや、S&P連動型のETF、Jリート、債券等で運用すれば、年間20万~30万円の不労所得を得ることが可能です。
そして残りの半分は暴落のためにキャッシュで残すというくらいディフェンシブな運用にすれば、気持ち的にそこまで不安になることもありません。
攻めたいのであれば、その残りの1000万円で高配当株を分散しまくって集め、配当利回り4%程度のポートフォリオを組めば、合計の手取りで40万円程度の不労所得を得ることは出来るでしょう。
なによりも分散が効いているので、地震で急にその資産がなくなってしまったり、空室により無収入になるという心配はありません。
それに、固定資産税も支払わなくていいですからね。
おいらは別に不動産投資に興味がないわけではないし、悪い投資だとも思いませんが、何冊か本を読んで思ったのは、やはり株と一緒で簡単ではないということです。
おそらく、難易度でいえば株の方がかなり敷居が低いのではないでしょうか。
また、必要とされる資金量が大きいので、その分失敗したときのリスクもでかいと思います。
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どうでしょうか、ここまで読んでくださった方は、少しは不動産投資をする際は色々調べてからか、他の資産とリターンを比較してからにしようと思ったのではないでしょうか。」
しかしですね、これが不思議なことに不動産会社の営業トークにかかってしまうと、不思議なくらい皆さんアッサリとワンルームマンションなんかを買ってしまうんですよ。
その物件が良ければ何の問題もないのですが、はっきり言ってガラクタもかなり混じっています。
それは、実際に営業をかけられたことのあるオイラが言うのですから、ある程度間違いはないでしょう。
そして、そんな中でもとびきりのガラクタを売りつけていた某企業とタッグを組んで、不適切な融資を行っていたのがスルガ銀行なのです。
不適切な融資とは何を指すかというと、通常の融資基準を外れた額の融資を個人に実施していたということを指します。
例えば、本来であれば担保も信用力も無いので、500万円しか貸出出来ないAさんに5000万円を貸し出していた、という感じです。
問題となっていたシェアハウスの融資では、ほとんど収益が見込めないような悪質な物件を購入するサラリーマン等の個人に対し、通常では貸出できないほどの額を融資していたのです。
そして、結果的にシェアハウスを運営していた企業は破産。出資していた投資家に残ったのは莫大なローンだけ、という悲惨極まりない結末です。
投資は自己責任とはよくいいますが、確かに甘い話に乗ってしまった投資家にも責任はありますが、これはほとんど罠にかかってしまったようなものです。
そして、いくら営利を追求する民間企業とはいえ、そのような罠を仕掛けるのは倫理上道を外れてしまっているのでは?と思わざるを得ません。
さらにこれだけではなく、現在スルガ銀行の投資用アパートのローン貸付にも、不適切な融資があったと指摘されています。
そして衝撃だったのが、スルガ銀行の融資総額3兆1500億円のうち、なんと約1/3にもあたる1兆円分がシェアハウスの融資に絡む不適切融資であると報道されていることです。
この1兆円が丸々不良債権化することはあり得ませんが、スルガ銀行は経営上の爆弾を抱えている状態にあると思わざるを得ません。
おそらく、ここがアメリカであれば、融資していた個人から訴訟を打たれまくって、今の時点で相当やばいことになっていたに違いありません。
今、スルガ銀行に対して融資を受けていた方々が訴訟を提起していますが、果たしてどうなるんでしょうね。
日本ではこういった場合、異常に個人の自己責任を問いますから、結構難しい結末が待っているかもしれないなとおいら自身は思っています。
日本では、投資は恐ろしいものだとよく言われます。
株で大損をした、先物取引で家族が離散した、仮想通貨で資産が溶けた、FXで借金を負った...などなど。
こういったマイナスのイメージが強く、実際にそういった事例をよく目にします。
その根底にあるのは、やはり以前も書きましたが、義務教育段階でのファイナンス教育の不足にあると思います。
日本人はとかくお金を汚いものや、不浄なものとして扱う傾向がありますが、それは昔は皆がお金がない状態を上手くコントロールしないと、国家運営が行き詰ってしまうという特殊事情のもとで構築された考え方だと思います。
あんまり書くと長くなるので割愛しますが、それは金が有り余っている現代では不要な考え方だと思います。
金が全てではありませんが、金はやはり生活をするには必要で、過去最大級のマネーサプライを記録している現代では金が世の中に有り余っているのです。
要するに、金が欲しければ工夫の仕方によって誰でも金を手に入れることが出来る可能性のある時代なのです。
だから、金を手に入れる方法や、金を扱う方法を多少なりとも義務教育段階で教える必要があると思うのです。
そうすれば、わけの分からない投資商品に個人が手を出して大損害を被るという悲劇も、少しは減るのではないでしょうか。
まあ、なんにせよ、小金であれ大金であれ、自分の金を投資するときは完全に自己責任で、失敗しても誰も助けてくれないということは肝に銘じておかないといけませんね。
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