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水の中で弾けるバブルは様々な光を乱反射して美しく輝く。
キラキラとしたその光に人は吸い寄せられる。
そしてバブルは弾ける。ため込んでいた空気を世界に放つために。
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「どーもおおおおおおおおお!!おいらがメガダサい投資家のかぶまくらでございまあああああああす!!」
スマホのYahooファイナンスアプリを開き、自身が保有する銘柄の株価を目にした瞬間、思わず電車の中でそう叫んでしまった。
「あなたが噂のメガダサい投資家さんですか?」
隣の席にすわっていた高校生がそう聞いてきた。手には赤線をびっしり引いた英語の単語帳。
TOIC200点(1000点満点中)を記録し、社内でぶっちぎりの低知能をさらしてしまったおいらはこう思った。
おそらく将来おいらはこいつに支配される
だからインタビューに丁寧に答えることにしたんだ。
「君は投資に興味があるのかい」
おいらがそう聞くと、彼は鞄の中から一冊の本を照れくさそうに取り出した。
ー株式投資の未来ー ジェレミーシーゲル著
なるほど、鉄板の一冊だ。おいらも他の米国株投資家の諸先輩方の勧めにしたがって読破した。そして今だ色あせぬ高配当銘柄であるエクソンモービルを買った。
「いったいあなたはどんな失敗をしたんですか?」
いいだろう。教えてやろう、投資の恐ろしさを。
※メガ=とてつもないほど、異次元すぎるほど、空をとべるほど等を意味する形容詞。
レッスン1.中小型株は危険
本日、おいらが保有する銘柄が1日で11%超下落した。
株価を見た瞬間、おいらは自分の目を疑ってしまった。絶対決算を通過して値を上げると思っていたからだ。
その株はとある日本株で、少し特殊な事業を行っている会社で他に競争相手がいなさそうなので有望だと思い購入した。
いわゆる中型株くらいに該当する銘柄だ。
買った直後はどんどん値を上げ、一時期は半年程度で+50%にまで達していた。2倍株になるのは時間の問題だろうと思ってホールドしていた。
ところがどうだ。そこから株価はずるずると下落し、本日11%下落をしてくれたおかげで、ほぼ買値に戻ってしまった。
だが、ここまではまだいい。
問題はこの先どこまで値を下げるかだ。日本の中小型株で業績期待先行型の株というのは、投資家の期待を下回る決算を発表すればとことん下げる。
FXをやっていたときの経験上、損失の度合いによってメンタルへのダメージは下記の通り変化していく。
■ー10%
ほぼメンタルに影響なし。すぐに値を戻すだろうと余裕たっぷりにくつろいでいられる。
■ー20%
まあまだ大丈夫だろう、と落ち着いていられる。
■ー30%
あれ、様子がおかしいよね?と変化に気づきだす。
■ー40%
やばいぞ...と焦りだす。
■ー50%
損切りするかホールドするかの選択を迫られる。
■ー60%
うあああああ、どうしよう、どうしよう!!とパニックになりだす。
■ー70%
ジャックダニエルをロックで飲み出す。
■ー80%
日本酒を冷で飲み出す。
■ー90%
ママに電話をする。
■ー100%
未経験。
株の場合ー50%が分岐点で、それ以上いくと恐らくあきらめてホールドするしか選択肢はないだろう。
ー60%からは精神のメルトダウンが始まってしまう。
おいらは日本酒を飲むところでかろうじて踏みとどまったが、メンタルにかなりのダメージを負い投資が恐ろしくなった経験がある。
米国株でもそうだと思うが、時価総額が小さい銘柄というのは大きく値を上げる可能性があって魅力的である。
その反面、業績が悪化すると資金が逃げるスピードがすさまじい。恐らく個人投資家がビビッて逃げまくってしまうのだ。
なのでハイリスクな投資であるということは覚えておいた上でやるべきだろう。
間違っても1銘柄や2銘柄に全力投資をしてはいけない。もしもそんなことをしたら、下手をすれば持ち金をほとんど失う可能性もある。
これは覚えておいて損の無い注意点だと思う。
おいらは中小型株を買う場合も無配の銘柄には投資をしないようにしている。
もしも暴落しても、1~2%でも配当があれば、まだホールドしていられるからというのがその理由だ。
ホールドしていれば反発することも当然ある。そしてその反発の度合いも大きいのが中小型株の特徴だ。
結果、ボラティリティが大きくなるのだ。
レッスン2.レバレッジは危険
FXというのは基本的にレバレッジをかけて取引する。
レバレッジというのは株の信用取引と同じで自分が預け入れた証拠金の何倍ものお金を使って取引を行う。
もちろんおいらは25倍のフルレバレッジで取引を行っていた。400万円を証拠金として預け入れていれば1億円の取引ができる計算だ。
実はプロの為替ディーラーでもかけるレバレッジは最大で3倍程度だそうだ。
個人のFX投資家はプロの投資家に比べて圧倒的に情報弱者であるにも関わらず、何倍も危険な取引を行っているわけだ。
だから本を読み漁りチャートの形をみて勝負をしたりするわけだが、おいらの感覚では為替相場でプロと短期勝負をして勝てる見込みは限りなく0%に近い。
為替相場というのは、東京為替市場が引けて夕方からロンドン市場に相場が移行していき、そこからNY市場へと移行していく。それから朝方オセアニア市場だ。
ロンドン市場とNY市場ではプロのディーラーが個人投資家を一網打尽にしようと色々な罠を張っている。
そして短期勝負に出た個人投資家がボコボコにされるのだ。
このとき過剰なレバレッジを欠けていると文字通り一夜にして全財産を失うこともある。
それどころか借金を負ってしまうことさえもある。
強制ロスカットとという仕組みがFXにはあるが、それが機能しないほどの下げもあるからだ。
株の信用取引きも同じだ。
例えばおいらが信用取引を活用して自己資金の3倍の株式を保有していたとすると、10%の下げにも3倍のレバレッジがかかることになる。30%の下げだと×3倍で90%だ。
その時点であなたはママに電話をすることになる。
レッスン3.怖くない投資方法は?
「じゃあ、怖くない投資方法ってなんなんですか?」
知的な青年の目に怯えの色が浮かんでいる。
「君はすでにその答えを持っている」
「え?」
「大事そうに抱えているその本に、すべてが書かれているよ」
そう、シーゲル教授が株式投資の未来で教えてくれた高配当株への配当再投資法こそ怖くない投資の代表だろう。
現物で株式を買い、その株式が生み出す配当金でまた株式を買い増す。そして買い増したその株がまた配当金を生み出す。
まさに投資の王道。有名な「バビロンの大富豪」にも書かれていた堅実かつ確実な投資方法だ。
「じゃあ、それだけやってればいいんですか?」
「それはメガダサい投資家であるおいらには分からない」
メガダサい投資家であるおいらは日本の中小型株に投資したり、いきなり米国株を始めてみたりわけがわからない。
だけど興味があるのならすべて試してみるのもいい。おいらはそう思っている。
誰のものでもない自分の大切なお金だ。だったら自分で考え抜いて色々やって失敗し、そこから学びながら進んだほうが最終的には大きな成果を得られるのではないかと思っている。
「自分で徹底的に悩んで選択した銘柄を保有する。それこそが怖くない投資なのかもね」
「そうですか、じゃあ家に帰って両親を説得してエクソンモービルを買います」
「OK。君は天才だ」
次の日、エクソンモービルは3%下落した。
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