高利回りな投資商品と聞くと、なんだか胡散臭いが、実際に「高利回り」を謳った投資商品の中にはそういった詐欺まがいの投資商品が多く存在する。
直近だと、シェアハウス事業への投資なんかが話題になっていたね。
現在の日本は超低金利環境で、個人投資家が買える円建て債券でまともな利回りのものはほとんど発行されておらず、利回りを追及するためには高配当株を買うなど、ある程度のリスクを許容しないといけない。
そんな環境なので、先日、三菱地所が利率が1%程度の50年債を発行することがちょっとしたニュースとなっていた。
1%の利回りなど、ほとんど利息がつかないレベルだと思う方もいるかもしれないが、1000万円を投資すれば10万円のリターンがあるので、実際のところかなりニーズがあったようだ。
三菱地所は、東京の丸の内等の超一等地に優良不動産を大量に保有しているので、日本が沈没しない限りは潰れる可能性は非常に低い企業だ。
したがって、利回りがたとえ1%程度であったとしても、三菱地所の債券に対するニーズは相当あったと予測される。
しかも、天下の三菱地所が発行するのだから、債券の安全度を表す格付けは「AA-」で安定的と評価されている。
債券の評価をする際に、基準となるのが「格付け」なのだが、格付け会社は企業の財務基盤や規模などから、「発行体が利子を支払い、元本をきちんと返済出来るのか」を判断する必要がある。
三菱地所の場合は、超優良企業なので、その点心配が少ないため「AA-」の評価を得ている。
しかし、世の中の企業の中には財務基盤が弱かったり、収益構造に弱点がある企業も数多く存在している。
そういった企業が発行する債券は、利回りが高い代わりに返済不能となるリスクがあるため、低い格付けがつくことが多く、そういった債券の総称を「ハイ・イールド債」と呼ぶ。
ハイ・イールド債の特徴は、何と言ってもその高い利回りで、米国株式市場に上場されているハイ・イールド債ETFのJNKの配当利回りは今現在で5%を超えている。
一方で、米国債や公社債等の信用度が高い投資適格債に投資を行うBNDというETFの配当利回りは、現状で2.5%程度だ。
なぜJNKの利回りが高くて、BNDの利回りが低いかというと、JNKは信用度の低い債券の集合体みたいなETFなので、その分信用リスクがあるからだ(ETFなので相当分散されているが)。
債券と聞くと、投資を実際にやったことが無い方は何だか複雑な仕組みのものだと思われるかもしれないが、全くそんなことはない。
仕組みは至極単純だ。
例えば、Aという人物とBという人物がいたとしよう。
・Aさん
借金はなく、サラリーマンで毎月きちんとした収入があり、よほどのことがないとお金を借りたりはしない人物。そして、借りたらきちんと返済していた実績がある。
・Bさん
借金があり、無職のプータローで、しょっちゅうお金を借りている人物。借りたお金の返済が、何度か滞ったことがある。
ちょっと想像して欲しいのだが、例えばあなたが銀行員だったとして、Aさんが店舗に来て、「1年で7%の利息を支払うから100万貸してください」と言ってきたら融資を検討してもいいと思うだろう。
なぜなら、Aさんはきちんと利息を支払い、元本を返済してくれる可能性が高いからだ。
しかし、Bさんが同じ条件で金を貸してくれと言ってきたら、多分あなたは難色を示すだろう。
なぜなら、Bさんはお金を返済せず、利息もきちんと支払わない可能性があるからだ。どうせ同じ条件で金を貸すなら、Aさんに貸した方が確実に元本と利息を回収出来るからね。
ただ、「利息を年20%支払う」という条件をBさんが提示してきたら、多少は悩むことになるだろう。Bさんにお金を貸した場合、元本と利息が返ってこなくなる可能性があるが、年利20%の利息はさすがに魅力的だ。
このように、貸し倒れのリスクがあったとしても、高い利回りを提示されると「お金を貸してもいいかな」と思ってしまう可能性がある。
債券の構造もこれと全く同じだ。
債券とは、企業が投資家に利息を支払う代わりに、お金を借りるために発行する紙切れのことだ(今ではデジタル上の数字だが)。
なので、発行元の企業が倒産したり財務が悪化したりすると、約束した利息が支払われなくなる可能性がある。
ハイ・イールド債とは、上記のBさんのような債券のことだ。
つまり、お金を返せなくなったり、利息を返済出来なくなったりする可能性があるのだ。なので、その分利回りが高く設定されているわけだ。
そんなハイ・イールド債だが、ここ日本でも消費者金融のアイフルが、日本初のハイ・イールド債を発行するらしい。
アイフルの格付けは「BB-」で投機的等級という位置づけなので、それなりにリスクがあるはずなのだが、その利率は1%程度になると予測されている。
投機的等級とはいえ、アイフルは社会的ニーズもあり中々潰れない企業だと思うので、それを加味しての利率1%かとも思ったのだが、ハイ・イールド債と銘打っているのに利率1%では低すぎるように思った。
もちろん、日本の定期預金等と比べれば高い利回りで、円建ての元本割れリスクの無い投資商品の中では高い利回りだ。
おそらく、金融機関や年金機構等の機関投資家が買うのだろうが、そう考えると、年金や企業の運用が債券から株式寄りにシフトしているのも頷ける。
長期間金を貸し出して、年利1%では、効率的にリターンを追求するのは難しいだろうからね。しかも、ハイ・イールド債でこの利率で、日本企業が発行する債券の利回りは1%を切っているものがほとんどだ。
なので、高齢化により支出が増えているGPIFは、より高いリスクを取って株式を運用せざるを得ないわけなんだね。
ところで、最近流行りのクラウド・ファンディングで、海外のローンファンドが非常に高い利回りを設定しているケースがある。
7%~10%程度の利率なので、一見非常に魅力的に見えるのだが、ああいったファンドは「Bさんの凄いバージョン」だと考えておいた方がいい。
つまり、貸し倒れのリスクが非常に高い分、高い利回りを設定しているのだ。
なので、投資をする場合には貸し倒れリスクを加味したうえで、それをリターンと比較して投資を行った方がいいように思う。
また、投資をするとしても資金の1部にとどめ、複数のファンドに分散した方がいいだろう。
ただ、個人的には利回りを求めて投資をするのであれば、米国株に代表される株式の方が、元本価値が上がる可能性もあるし、配当利回りも高いものがあるので、そちらの方がいいように思う。
BNDみたいなETFを安定資産として買うのは、全然ありだと思うが、多分、株式の割合を多くした方が増える可能性は最終的には高いんだろうね。
様々な投資本に「債券<株式」に資金を振り分けなさい、と書いてあることからも、それはある程度正しいように思う。
株で夢をかなえよう
※少しまともな記事だと思った方は、下記のボタンを猛プッシュして欲しい!!また、BNDに興味のある方も猛プッシュを頼む!!それ以外の方は、押さなくてもいい。
↓