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たまには昔を振り替えろう。
そのころおいらはまだ新入社員で、今のように目はまだ濁っておらず、未来への希望と成功への確信でキラキラとした光を放っていた。
社会人になって、定期的に給与という収入が手に入るようになった。今思えばなぜそのころに米国株を買っておかなったのかと悔やんでも悔やみくれないが、そのお金はほとんどが酒や女に消えていった。
まさにバブルマネー。泡のごとく消える金。そのころやらかした失敗は数えきれない。酒を飲みすぎた次の日の朝、なぜか枕元にシャーペンが20本以上転がっていたことがあった。自分で買ったのだろうか。どうしても思い出せなくて怖くなった。
必死で口説いた女と一緒にせっかくホテルに行ったのに、酒の飲みすぎでもう一人の私が立ち上がることが出来ず途方に暮れたこともあった。もちろん、次の日からおいらの常備サプリとして亜鉛とマカが常備されるようになった。
とにかく、その頃の失敗はほぼ酒と結びついている。
そしてちょうどそのころ、ITバブルの崩壊で下落していた株式相場が息を吹き返していた。日経平均が10,000円を超えたとニュースになり、デイトレードが流行りだしていた。
そして2007年頃、その熱狂は頂点に達しようとしていた。おいらはといえば、適当に投資信託を買っては解約して薄利を得てそのお金でジャックダニエルをしこたま飲んでいた。自分の愚かさを思い出して涙が出そうになる。
しかし、そのころはそれが最良の過ごし方だったのだ。酒を飲み、女に溺れ、たまに馬券を握りしめて咆哮を上げる。まさに動物。本能のままに生きていた。
そんな頃に某投資会社のアナリストによって書かれた2007年の市況と2008年の見込みについてのレポートを発見したので、あの時代が懐かしくなって読んでみた。
そして思った。プロでも未来を正確に予測することなど決して出来ないと。
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2007年はどんな年だったか
2007年の日本の株式市場は、2004~2006年まで絶好調だった株式市場が変調をきたし始めていた。まず2月頃に中国株式市場で暴落が起こり、世界同時株安に発展した。そしてその後にサブプライムローンに端を発する信用不安が広がり株価は下落していった。
サブプライムローンについてはご存知の方がほとんどなので詳しい説明は割愛するが、要するに低所得者向けのローンを証券化したもの、つまり債券にしたものが高い利回りが期待できたので投資家に大人気だった。しかし箱を開けてみてびっくり!やはりお金を返済出来ない人が出始めて高い利回りは砂上の楼閣と化してしまった。そして怖くなった投資家が投げ売りをし始めて信用崩壊につながったという物語だ。
一時期18,000円を超えるほどまでに回復していた日経平均は、15,000円を割り込んでしまっていた。
ちなみに2007年のNO1ヒットソングは秋川雅史の「千の風になって」だ。そして沢尻エリカが主演映画クローズド・ノートの舞台挨拶で、リポーターの質問に対して「別に」という伝説的な名言を残したのもこの年だ。ちなみにこの時の質問は、沢尻エリカが映画共演者にクッキーを焼いて配ったらしいが、その時の気持ちはどうでしたか?というどうでもいい質問だった。
金融市場における2007年後半の総括としては、大したことがないと思っていたサブプライムローン問題が結構やばい問題だと分かってきたため円高になったり金融機関での減損処理が進んで株式市場に逆風が吹いていた、というものだった。
一応そのころは日本株の投資信託も買ったりしていたので日経平均くらいは見ていた。その頃のおいらは驚くべきことにPERもPBRも知らずに投資信託を買っていたのだが、そんなおいらでも日経平均の値動きを見てなんとなくヤバそうだなというのは分かった。
張りつめていた何かが爆発する前の不穏な空気のようなものがそのころの市場には漂っていたのだ。
今考えると低所得者向けのローンを債券化しているのだから、当然焦げ付くリスクは相当高いと考えるのが普通の感覚のように思えるのだが、そのころはサブプライムローンこそ至高の金融商品だと思われていたらしい。
そのため多くの金融機関が証券化されたサブプライムローンを保有したり販売したりしており、一体どこにどれくらいのリスクが潜んでいるのか分からない状態になっていた。サブプライムローン以外のローン等と混ぜこぜにしすぎてわけが分からなくなっていのだ。
だけどよく考えて欲しい。大手金融機関で運用業務の意志決定をしている人たちというのはエリート中のエリート達だ。そんなエリートたちが余裕でそんな商品を運用の対象としていたことにこそ教訓が潜んでいる。
①頭がいい人間が当たり前と考えていることでも完全に間違っていることがある。
②その間違いは損失として数値化されはっきりと分かる。
③損をしても誰も責任など取ってはくれない。
以上のような教訓は、しっかりと頭に叩き込んでおくべきだと思う。
2008年の予測とその後どうなったのか
そのレポートによると、2008年の日本株式市場の予測は前半はそれまで順調に上昇していた日米欧等の経済成長率が低下するので景気が停滞するが、後半には良好な各企業のファンダメンタルズや株主還元等を背景に株価は緩やかに上昇するという見立てだった。
うろ覚えだが、その頃買っていた投資信託の運用報告書にも同じようなことが書いてあったような気がする。
サブプライムローン問題で結構やばい雰囲気は流れていたが、案外大丈夫なのではないだろうかというのが世間の認識だった。
日本株は必ず2万円まで復活するという記事も見た覚えがある。みんなまだまだ強気だった。そう、あの出来事が起こるまでは。
それは突然起こった。まさに青天の霹靂。2008年9月15日にアメリカの超大手の投資銀行であるリーマンブラザーズホールディングスが破たんしたのだ。
それを皮きりに世界の株式市場は暴落に次ぐ暴落を記録し続けた。日経平均はなんと6000円台まで下落してしまった。今の株価の3分の1以下である。
そしてアメリカや欧州では大手の金融機関に公的資金が注入されまくり、すさまじい金融不安へと発展していった。
このころの状況からも色々な教訓が学べる。
①みんながまだまだ大丈夫、と言っているときは結構ヤバい。
②大企業でも一瞬で潰れるから投資先としては大企業=安全ではない。
③株価は動くときは想像以上に極端に動く。
以上が教訓として学べることだ。そしてプラスしてもう一つ教訓を挙げる。
④株価は下がっても回復する。
今の状況を当てはめるとはっきりとそれが分かる。日経平均が6,000円台になったとき、誰もが二度と株など買うものかとジャックダニエルをあおっていたはずだ。しかし、今では結構株に興味を持つ人が増えている。
ということは、下がったときに株を買うというのは極めて正しい行動だということがよくわかる。
過去を振り返ってみて
今回読んだ2007年時点のレポートは決して間違ったことが書かれていたわけではない。その当時の大方の見方と同じようなことが書かれていたのだ。
大方の見方はサブプライムローン問題はすぐに片づけられ、株式相場はまた上昇していくというものだった。
しかしながら、結果は皆さん知っての通りだ。
要するに正しい未来なんて誰にも予測なんて出来ないのだ。だからこそ自分で考えるしかないのだ。
最近株式市場はこの先下がる可能性があるのではないかという弱気な意見も結構出始めている。NY市場も日経平均も、そろそろ調整するのではないのかという予測だ。
しかし、おいらはなんとなく日本株は上がるのではないかと思っている。仕事で中小企業の社長さんたちが結構忙しそうにしていたり、ロレックスをつけていたり、外車を購入したりしてるのをよく見かけるようになったからだ。
政府が様々な形でばらまきまくった金がようやく隅々までいきわたりはじめ、その金が消費へと向かい始めているように感じる。
だとすれば、株価は上がるはずだというのがおいらの見立てだ。もちろんおいらの見立てなので99%は外れるだろう。だけど1%は当たるかもしれない。
だけどどうせ信じるのであれば、自分で考えて予測した考えを信じて行動したときに納得感があるだろう。
もしもアナリストや有名な投資家の方の言うことを完全に信じて行動して失敗したとしても、誰も責任などとってくれない。
「やい、お前のせいで損しただろう!どうしてくれんだよ!」
そう叫んでもかえってくる答えはこうだ。
「別に」
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