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「クレジトカードツカイマスカ?」
「え?」
「ク・レ・ジ・トカードツカイマスカ?」
おいらがいつも行くコンビニに、新しくインド人(たぶん)のアルバイトが入ってきた。日本語はたどたどしく聞きにくいが、真面目でいいやつそうだ。
それに比べて昔からいるアルバイトの若いやつは不真面目で、いつも喫煙所でタバコを吸いながらスマホをいじっている。おそらくこのインド人に仕事をやらせてさぼっているのだろう。
日本の未来が思いやられる。AI革命で人間の仕事がAIに奪われてしまうそうだが、これではAIより先にインド人に日本人の仕事を全てとられてしまう。
「あ、現金でいいです」
「ポイントタマンナイヨ、カードツカウ、ポイントタマル」
このインド人は陽気な奴で、冗談まじりにそう言って笑った。そしておいらがレシートを受け取るとこういった。
「まだ現金なんか使ってるんだね。世界基準から遅れているんだよ日本は」
流暢な日本語だった。こいつ、まさかおいらを油断させるためにわざと片言の日本語をしゃべっていたのか。背筋に冷たい汗が流れるような感覚を覚えた。
「ポイントなんかいらないよ。武士たるもの現金しか信じないさ」
「お客さん、まだ現金なんか使ってるんだ。うけるね」
いつの間にかタバコから戻ってきた若い日本人のアルバイトまでおいらをバカにする。
「やかましい!!おいらはエクソンモービルの株主だぞ!!米国株投資家だぞ!!」
そう虚勢を張るのが精いっぱいだった。
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メインバンクがATM手数料徴取を開始
次の日の朝、ネットニュースで我がメインバンクの新生銀行がATM手数料を一部有料にするという悲しいニュースが流れていた。
新生銀行はネットバンキングがまだ一般的でなかった頃からネットでの取引に力を入れてきた銀行で、ATM手数料は無料、投資信託も買える、ネットで外貨預金等も出来る等のサービスをネットバンキング黎明期から提供してきた銀行だ。
今ではネット銀行も色々あり、ごく当たり前のサービス内容だが10数年前は結構革新的だったのだ。
ATM手数料というのはご存知の通り、ATMで現金を引き出すだけで108円や216円ほど手数料を徴収されるという意味のわからない制度のことだ。
そもそも銀行というのは預金者に金をあずけてもらっている立場なのに、なぜその客が現金を引き出すのにさらに金を使わないといけないのか。どう考えてもおかしい。
新生銀行はそんな意味不明な制度に風穴を開けてくれた。ATM手数料は何回引き出しても無料というサービスを打ち出したのだ。
やった、やったね!!といって口座を開設してから十数年が立つが一度もATM手数料を取られたことがない。新生銀行は正義の味方だったのだ。
そんな新生銀行が10月からAM手数料を一部有料化する。怒りにまかせてHPを確認すると確かに「提携ATMの出金手数料一部改訂のお知らせ」というお知らせがアップされていた。
よくよく見ると今後は預金者のレベルであるスタンダード、ゴールド、プラチナの三段階のうちスタンダードに該当する預金者に対してはATM手数料108円を徴収するという内容だった。
ではおいらはどのクラスに属しているのかと思い調べてみると、GOLDだった。スタンダードからゴールドに移行する条件としては、総資産残高が200万円以上であること、投資信託等の投資商品が30万円以上であること等が条件のようだった。さすがに残高200万円は保有しているおいらなのでセーフだった。
※ちなみに最近新生銀行のHPを確認したら、相当商品が充実していた。投資信託や外貨、FXやロボアドバイザーまでラインナップされているので興味のある方は一度見てみてはいかがだろうか。一応メインバンクなので宣伝しておく。
ほっと胸をなで下ろす。
なぜならおいらは現金派だからだ。This is Japanese。そう、おいらは現金しか信じないという典型的な日本人なのだ。
「かぶ、カードなんか使ったらあかんよ、怖いんよカードは。○○さんなんか勝手にカード使われて何百万円も借金負ったんよ」
おばあちゃんに徹底的に現金だけを信じろと脳裏に叩き込まれたおいらは、お恥ずかしい話だが本当に最近までほとんどカードは使っていなかった。
日本人の現金信仰はすさまじく、経済産業省のレポートによると2015年時点でなんと決済比率における日本人のキャッシュレス化率はなんと18%!アメリカは41%、中国は55%なのに対して圧倒的に低い。
そう、おいらこそがジャパニーズスタンダードなのだ。
最近楽天カードを使っている
しかし、そんなおいらにも最近キャッシュレス化の波が押し寄せている。おいらの昭和脳を破壊してくれたのが、楽天カードだった。
楽天カードは本当に便利だ。どこでも使えるし、ポイントもガンガン溜まっていく。そして最近実は後悔している。なんでもっと昔からカードを使っていなかったのだろうか...と。
楽天は最近携帯事業に乗り出すと発表してから株価が爆下げしている。理由は通信事業を始めるのには莫大な金がいるからだ。つまり借金をしまくらないと携帯事業など始められないからだ。一から基地局を作ったりしていくことを考えると相当な金がかかるのだ。なんと、2025年時点で6000億円の借り入れをするらしい。
会社員の平均生涯年収は約3億円と言われているから、サラリーマンが2000回生まれ変わっても返済しきれない額だ。
しかし、楽天の狙いは実は携帯事業による収益アップではなく、携帯事業で顧客をさらに囲い込み独自の経済圏を完成させることにあるという。
どういうことかと言うと、楽天会員が楽天市場で楽天カードを使えばポイントが通常の店舗等で買い物をするよりもいっぱい溜まる。そして楽天カードで楽天の携帯代を支払えばさらにポイントが溜まる。そうすると楽天の携帯を使用している人は必ず楽天カードを使うことになる。楽天カードを持っていれば楽天で商品を買う。すると完全に楽天に依存した一つの経済圏が出来上がることになる。
楽天は今や通販がメインの会社ではなく、楽天銀行や楽天証券を中心とした金融の会社だ。楽天のポイントで投資信託まで買えるのだ。すると、携帯電話でもらったポイントで投資信託まで買えるので、ますます楽天の携帯電話を使用する人が増えてくることになる。
携帯はもはや社会インフラといっても過言ではないので、携帯キャリアになるということはそれを利用している利用者に対してのビジネスで圧倒的な優位性を確保するということを意味する。
KDDIもドコモもソフトバンクも大規模なEC事業=人々の生活に直結する商品を届けるビジネスはもっていない。しかし楽天は持っている。その点を考えると楽天の携帯キャリア参入はかなり確実に成功するとおいらは思っている。
そんな楽天カードだが、よく見るとVISAのマークが入っている。実は楽天カードは決済の利便性を上げるためにVISAにライセンス使用料を支払っているのだ。
VISAというのはいわゆる決済システム(例えばVISAに加盟しているカードではVISAカードが使えるというシステムを提供している)を運営している会社で単体でカードを発行してはいない。
加盟している会社や加盟店からのライセンス料や使用料で儲けている会社なのだ。そのためこれから本格的なキャッシュレス社会が訪れると言われている中、どんどん株価を上げている。
現在の株価126.38ドル、PER28.9倍、配当利回り0.65は全く魅力的ではないように感じてしまうが、成長性を考えると今後も株価は伸びていくのかもしれない。
日本ではオリコやセゾン、ジャックス等がカード会社として頑張っているが、こういった会社が買収の対象になるのであれば株価はかなり上がる可能性もあるんじゃないかなと思う。
各社ともにPERやPBRなどの指標面では完全に割安だ。ということは全く人気がないということなのだが、それは日本人が現金大好きということとも関係しているのか?とも思ってしまう。
日本ではいまだにキャッシュカードさえ利用できない店が結構あるのだ。この間も居酒屋でおばちゃんに「キャッシュカード使えますか?ポイント溜まるんで」と聞いたらこう答えられた。
「現金を出しな!!」
日本社会のキャッシュレス化はほど遠いと感じた...。
株で夢をかなえよう。
1日1度押していただけるとよく眠れます!