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【配当金生活】群集心理の恐ろしさを配当金にまつわる物語から考える

最近は、コロナウイルスの感染拡大により原油市場が崩壊して、何と配当金生活に欠かせない高配当株として有名な石油企業が掘り出す原油の価格が大暴落し、マイナスにまで突入していた。

これは普通ではまず考えられないことなのだが、新型コロナウイルスの蔓延により、これまでは「ありえない」とされていたことが実際に起こっていたりする。

時にそれは群集心理に恐ろしい作用をもたらし、さらにあり得ない出来事が起こったりする。

我々投資家としては、こういった時こそ自分自身の頭で考えて行動する必要があるのだが、誰しもがこのような時はパニック状態になってしまう。

なので、自分自身、以前に書いた配当金にまつわる記事から、群集心理の恐ろしさと、自分で考えることの大切さを今一度考えてみたいと思う。

ーよろしければ、皆さんもお付き合いくださいー

投資家のヤギと家畜のヤギという残酷な物語

投資家は代表的な不労所得である配当金や、株価の上昇によって多額のキャピタルゲインを手にすることが出来る可能性があり、そういった利益を得る代わりに株価下落による資産減少というリスクを背負っている。

一方で、投資をしていない人は、そういったリスクを負わないかわりに、自分が今生きている資本社会が生み出す利益の恩恵に預かることはできない。

そのため、トマ・ピケティが述べたように、労働者と資本家の間ではどんどん経済的な格差が広がっていく。

投資家たちが配当金で生活をする、いわゆる配当金生活で優雅に暮らしている一方、労働者たちは日々の生活に追われ、死ぬまで奴隷のように働き続けるという運命を背負っているのだ。

しかし、この事実に気付いている人は驚くほど少なく、ほとんどの人は無知な家畜が草原で草を貪るようにして現金を使い続け、全く資本を蓄積しようとはしない。

自分が所属する組織が未来永劫自分の生活の面倒を見てくれるという蜃気楼のような幻に脳内を犯され、手元に残るお金を無意味に消費し続ける行為は、経済的な意味で自分を追い詰めているとしか言いようがない愚かな行為だ。

それは家畜の世界においても同じで、本日はかの世界的に有名な「投資家のヤギと家畜のヤギ」という物語を読者のみなさんにお伝えしようと思う。

この物語を読み終えた後、きっと多くの読者は考えを改め、資本家になるための努力を開始することになるだろう。

VOL1.牧草を食べるヤギと牧草を探すヤギ

19○○年○月○日

アメリカの広大な牧草地帯で牧場を経営するピーター・アマゾン氏は、大規模なヤギの群れを飼育していた。

ヤギの乳から作るチーズは非常に濃厚な味わいで、遠く離れたサンフランシスコの街に出荷するととてもいいお金になるので、アマゾン氏にとってヤギは貴重な収入源となっていた。

「ほうら、今日もたくさん牧草を食べておいで」

アマゾン氏は恰幅がいい、いかにも人がよさそうな陽気なアメリカンといった老人だ。

「わあー、牧草だ、牧草だ!!」

アマゾン氏が牧場の門を開けると、一斉にヤギたちが眼前に広がる草原地帯へと飛び出していく。

「ねえねえ、今日はどこの牧草を食べる?」

「あっちの方へ行こうよ」

仲良しコンビのヤギ太郎とヤギ吉は、いつも一緒に行動を共にしている大の仲良しだ。

しかし、ヤギ太郎は少し変わり者で、常に他のヤギとは違った行動をするヤギのため、たまにアマゾン氏から怒られることもある問題児だった。

そんなヤギ太郎が、また他のヤギたちとは違った行動を取ろうとしているので、ヤギ吉はヤギ太郎をたしなめた。

「そっちいっちゃ駄目だよ、みんなと一緒にあっちの牧草を食べようよ」

牧草地帯とはいっても、ヤギたちが好んで食べる牧草はある位置に固まって生えていて、ヤギたちはいつも群れになってそこで牧草を食べるのが習慣となっている。

それにも関わらず、ヤギ太郎は群れとは全く別方向の、牧場のはずれの方へと走っていく。

「いいからこっちにおいでよ、いいものを見せてあげる」

そう言って走るヤギ太郎に、仕方なくヤギ吉は付いていく。

向こうのほうでは、群れのヤギたちが皆同じように無表情な顔をして牧草を貪っていた。

「みんなと一緒じゃないと不安だな...でも、ヤギ太郎を一匹にするのも心配だし」

ヤギ吉は、どんどんヤギの群れから遠ざかっていく不安感を抑えながら、ヤギ太郎の後を追いかけていった。

空を見上げると、さっきまで晴れていたのに、雨を含んだ濃い灰色の雲が向こうの方から押し寄せてくるのが見えて、ヤギ吉の心を余計に不安にさせた。

「ねえ、どこまで行くんだよ」

ヤギ太郎が牧草地帯の脇に生えている林の中に入って行った瞬間、ヤギ吉の不安の気持ちは頂点に達した。

すでに群れが見えないほど遠くまで来てしまっている。

「これを見ろよ」

ヤギ太郎が立ち止まり、クイっと首を振った。

「これは...」

なんと、林の中にはヤギたちが好んで食べる牧草が何種類も生えていて、青々としたその色合いから、豊富な栄養分を含んでいることが一目で分かった。

「この草はね、僕が全部育てた草なんだ。草原に生えている草の種を口の中に入れて運び、その草を林の中にある栄養豊富な土で育てたら驚くほど成長が早いんだ」

試しにヤギ吉が生えている草をかじってみると、びっくりするくらい甘く、口の中でビタミンが拡散するのが感じられた。

「すごいね、これ...ヤギ太郎が全部育てたんだ」

「ああ、少し時間はかかったけどね」

そういえば、ヤギ太郎は放牧されるたびに姿を消し、アマゾン氏によく怒られていたのを思い出した。

「でも、こんなこと続けてたらアマゾンさんにまた怒られるよ。ちゃんと言うことを聞いて、みんなと同じ場所で牧草を食べないといけないよ」

「ヤギ吉...お前、本気でそんなこと言ってるのか?」

ヤギ太郎が、本気で心配するような目でヤギ吉を見つめ、そう言った。

「なあ、ヤギ吉、ここで俺と一緒に暮らさないか?草は十分にあるし、いくらでも生えてくる。それに、もう少し向こうの方に行けば、野生のメスヤギがいっぱいいる場所もある。そこでカップルになって、ここで俺たちの一族を作っていこうぜ」

そう言ったヤギ太郎の目はキラキラと輝いていた。

「僕たちの一族...」

一瞬、心が跳ね踊るような感情が湧いてきたが、それは何だか抑え込んでいないといけない、触れてはいけない感情のように思えて、ヤギ吉はブルブルと首を横に振った。

「駄目だよ、やっぱり、群れに戻らないと」

結局、その日二匹は群れに大分遅れて牧場に戻り、アマゾン氏からこっぴどく叱れた。

VOL2.経営についての苦悩と来客

「また今月も赤字か...」

牧場の中にある小屋で、アマゾン氏は頭を抱えながらそう言った。

実は、アマゾン氏の経営する牧場は極度の経営難に陥っており、銀行から多額の資金を借り入れている

というのも、最近の好景気に乗っかりアメリカでは牧草地帯でヤギを飼うのがブームとなっており、その影響でアマゾン氏の牧場の主力製品であるヤギミルクで作るチーズの相場が大きく崩れてしまったからだ。

このままでは、年末には所有する広大な牧草地帯の固定資産税が支払えなくなり、経営が破綻してしまう。

しかし、だからといってこれ以上お金を貸してくれる先もない...。

解決しない問題にアマゾン氏が頭を抱えていたときのことだった。小屋のドアをノックする音が聞こえた。

「誰でしょうか...?」

そう言ってドアを開けると、そこに立っていたのは、髭まみれの顔をした巨漢だった。

「これはこれは、お久しぶりです、カブマクラさん」

「ちょっと用事があったので、立ち寄らせてもらいました。どうですか、今年のチーズの出来具合は?」

小屋を訪ねてきたその男は、ヤギチーズ商人のカブマクラという男で、連邦政府が禁止しているチーズ相場の操作などを平気でやってのける極悪人だった。

出来れば付き合いを避けたい種類の人間だが、たまにチーズを驚くほどの高値で買ってくれるので、仕方がなくアマゾン氏は付き合いを続けていた。

そうだ、この男ならどこか金を貸してくれるところを知っているかもしれない。

それに、カブマクラは嫌な奴だが、驚くほど金回りはいい。なので、もしかしたら条件次第ではお金を貸してくれるかもしれない。

「よかったら、中へどうぞ」

藁をも掴む思いで、アマゾン氏はカブマクラを小屋の中へ招き入れた。

「ほうほう、そうですか、それならば考えがないこともない」

アマゾン氏が自身の牧場の経営難のことを話すと、カブマクラは力強くそう言った。

「本当ですか!?」

アマゾン氏が恰幅のいい体を机の向こうまで乗り出しそうになってそう言うと、カブマクラはタバコに火を付けて吸い込み、ゆっくりと煙を吐き出しながらこう言った。

「ええ、条件次第では」

VOL3.群れという檻と意志という鍵

その日、ヤギ小屋の中で過ごすヤギたち一同は放牧の時間が近づいてきたので、みなソワソワしていた。

狭くて暗いヤギ小屋の中よりも、太陽の光が緑色の草を眩く照らす草原地帯で風を感じている方がよほど心地がいいので、この時間帯になると皆待ちきれなくなってソワソワし始めるのだ。

と、ヤギ小屋の戸が開いたので、皆一斉にそっちを向いた。

すると、アマゾン氏と一緒に一人の男が小屋の中に入ってきた。

「こんにちわ~、ヤギちゃんたち」

髭まみれの顔をしたその男を見て、ヤギたちの間に動揺が走った。

その男は、毎週1回連邦政府から発刊されている「週刊ヤギ新聞」において、ヤギソーセージ工場を経営している超S級危険人物として注意喚起が出されていたカブマクラだったからだ。

「さあ~、みんなのうち半分は、今から僕の牧場へ一緒にいくことになるからね~」

カブマクラがアマゾン氏に出した条件とは、経営資金を貸す代わりに担保としてヤギの半分をカブマクラの牧場へ引き取るというものだった。

「すまないな、お前たち、牧場の経営が苦しいからこうするしかなかったんだ。だけど、経営が回復したら、またワシのもとに引き取る契約になっているから安心してくれ」

ヤギ小屋の向こうには、すでにヤギたちを輸送する巨大なゼネラル・モーター製のトラックが用意されている。

カブマクラ氏はヤギを一匹一匹選別し、連れてきた屈強な男たちに命じてトラックの中へと連れて行く。

「やばい、みんな逃げないと!!」

その様子を見ていたヤギ太郎が大声でそう叫んだ。ヤギ語なので、アマゾン氏とカブマクラには鳴き声にしか聞こえない。

「あいつに連れて行かれたら戻ってなんて来れるわけがない!!牧場なんてあるはずがないんだ、連れていかれるのはソーセージ工場に決まっている!!早く逃げよう、みんな!!」

ヤギ太郎は、こうなったら小屋の中のヤギ全員を自分が作り上げた林の中の楽園へ連れて行くしかないと思った。そうしないと、みんなのうち半分が食肉工場でミンチにされてソーセージになってしまう。

しかし、いくらヤギ太郎がそう言っても、他のヤギたちは反応しない。

「大丈夫さ、アマゾン氏が言うんだから、連れていかれてもすぐに戻ってこれるさ」

「そうさ、彼は僕たちを今まで大事に育ててくれた大恩人なんだから、逃げたりなんかすることは出来ないよ」

ヤギたちは口々にそう言い、雰囲気的にカブマクラに連れていかれても大丈夫な感じになってしまっている。

「はーい、次のヤギちゃんは君に決定でーす❤」

そうこうしているうちに、ついにカブマクラがヤギ吉の尻尾を掴み、トラックの中へと連れて行こうとしている。

「やめろおおおおおおおおおおおお」

その瞬間、ヤギ太郎が思いっきりカブマクラにタックルを食らわせた。

「逃げるぞ!!ヤギ吉!!」

そう言ってヤギ太郎は小屋を飛び出た、そして、ヤギ吉もそれに付いてきたのだが、急に立ち止まった。

「どうした!!早くしろ、ミンチになりたいのか!!」

「だめだよ、やっぱりアマゾンさんを裏切ること出来ないし、どっちみち付いていくしなかいんだよ。そうしないと、牧草を食べることも出来なくなってしまうし、暖かい小屋で眠ることも出来ないからね」

ーこいつ、マジで思考が停止していやがるー

ヤギ太郎は一瞬カッとなり、ヤギ吉に思いっきり頭突きをかました。

「何言ってるんだ!!ヤギ新聞の記事を見ただろう!!あいつはヤギソーセージ工場を経営していて、会社をナスダックに上場しようっていうくらいの野心家だぞ!!この牧場だって、口先八寸でアマゾンさんに金を貸して高利をふっかけて乗っ取るつもりに決まっているだろうが!!」

「ヤギちゃーん、待つでーすううああああああああああ」

そうこうしているうちに、カブマクラが絶叫しながら小屋の中から飛び出してきた。

「早くしろ、食うものなら林の中にたくさんあるし、小屋が無くても林が風をふさいでくれるから大丈夫だ!!逃げよう、楽園でメスをつかまえてきて俺たちの一族を作るんだ」

ヤギ太郎が大声でそう言っても、ヤギ吉は寂し気な顔をして首を振るだけだった。

「やっぱり僕はいけないよ、なんだか不安だし、みんなに迷惑をかけてしまうのは嫌だからね」

「はーい、ヤギちゃん捕まえたデース」

カブマクラがヤギ吉の尻尾を掴んだのを見た瞬間、ヤギ太郎は全てを諦め、猛スピードで草原の向こうへと駆け去って行った。

VOL4.栄養バランスと繁栄について

TOKYO JAPAN

蒸し暑い夏のある日、日本の首都である東京で、男の子とお母さんの親子連れがスーパーマーケットで買い物をしている。

「ねえ、ママー、今日は何食べるの~?」

「そうね~、今日はお肉にしようかしら」

「やった、今日はハンバーグだ!!」

まだ6歳くらいの男の子は、今日は好物のハンバーグが食べられると思い飛び跳ねそうになった。

「あら、これ珍しいわね」

すると、お母さんが輸入品の冷凍肉コーナーのところで立ち止まった。

アメリカ製らしいポップな感じのパッケージの冷凍ソーセージを手に取り、裏をめくって材料をチェックすると、こう書かれている。

ー新鮮なヤギ100%、信頼の自然派食品・カブマクラ製ー

「今日はこれにしましょう、無添加のヤギソーセージよ。栄養が豊富そうだわ」

「やったあ!」

お母さんがバスケットにソーセージを入れるのを見て、男の子は嬉しそうな顔をしてそう言った。

ーだけど、ハンバーグも食べたいなー

それが男の子の本音だったが、今日はソーセージで我慢をしておくことにした。

ちょうどそのころ...。

ヤギ太郎は林の中で大量のメスヤギに囲まれながら、草を食べ、心地よさそうに寝そべっていた。

あれから林の中に定住し、牧場の外で見つけてきたメスたちと一緒にハーレム状態で暮らしていたのだ。

「ねえ~、ヤギ太郎さん、今日は抱いてよ」

「うるせえ」

林の中でのヤギ太郎はまさに王様状態で、何不自由ない生活を送っていた。

ただ、たまに林の外を散歩して空を見上げると、どうしてもヤギ吉のことを思い出してやるせない気持ちになることがある。

「神様、どうかヤギ吉が...無事でありますように」

どこまでも青い空にそう呟くと、ヤギ太郎は自分が作り上げた楽園である林の中へと戻って行った。

おわりに

さて、みなさんはこの残酷な物語を読み終えて、一体どんな感想を持たれただろうか?

集団に身を任せることの恐ろしさ?それとも、自分で資産を作り上げていくことの大切さ?

このヤギチーズとソーセージが食べられなくなる物語を読み終えて、何を感じ取るかは皆さん次第だ。

投資の勉強を始めるもよし、他の人とは違ったことをやってみるもよし、会社とは別のコミュニティーに属するもよし。

何か少しでも感じ取っていただければ、これ幸いだ。

最後に、この感動の物語を映画化したいディズニー関係者がいたら、遠慮なく言ってくれ。

きっと、世界中の子供たちに大きな夢と感動を与えることになるだろう。

株で夢をかなえよう

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