配当金などの不労所得を得る場合、大体いつぐらいまでに年間や月でどれくらいの額が欲しいかという目標を立てる人は結構多く、それらの目標を達成するために日々頑張る人も多い。
また、配当金という不労所得を生み出す資産はリスクがあるので買うのは怖いという人たちは、せっせと貯金に励むことでひたすら資産を増やそうとする。
日本人は投資に対して極端なアレルギーを持つ民族だが、おそらくそれは投資に関する教育をほとんど受けることが出来なかったり、元々が農耕民族なので「狩り」的な要素の強い投資を敬遠したりする影響なのではないだろうか。
しかし、配当金の目標を立てて資産を積み立てていくという行為と、現金という資産を積み上げていく貯蓄という行為には決定的な違いがあるということは理解しておく必要があるだろう。
これは、貯金が悪くて投資が良い、という単純な話ではなくて、そもそも貯金と投資には明確な違いがあるということだ。
その違いを理解したうえで貯蓄をしていくのと、ただ闇雲に貯蓄をしていくのでは、貯蓄が持つ目的性が全然違ってくるので、この点については誰でも知っておいた方が良いのではないかと思う。
配当金というのは、それを生み出す資産、つまりは株式を積み立てることで得られるものだ。
そのため、配当金の目標額を上げてその額を目指して資産を積み立てていくということは、資産価格、つまりは株価の変動を受け入れるということだ。
株価というのは日々株式市場で変動を繰り返しており、昨日上がっていた株が今日は暴落しているということが頻繁に起こる。
ということは、株式を保有すると自分の資産額が日々変動するという現象を受け入れなくてはならない。
そういったリスクを許容したうえで、はじめて配当金やキャピタルゲインといった果実を手に入れることが出来るのだ。
つまり、株式という資産を積み上げていくということは、価格変動というリスクを背負うかわりに、大きなリターンを期待する行為だと言える。
そういった意味では、確かに資金を投入して積み上げてはいくのだが、現金としての評価額が常に安定していないという点を理解していないと、途中で不安になって積み上げることを辞めてしまう可能性がある。
現金ではないリスク資産に投資をする際には、必ず「これはもはや現金ではない」ということを理解して投資をする必要がある。
というのも、前項で書いた通り、現金の価値というのは日々変動するものなので、現金と同じように数値として価値が固定された状態を期待することは出来ないからだ。
一方で、現金として貯蓄をする場合にも注意点があって、それは現金で買える物やサービスの量はどんどん減っていっているということだ。
最近はどこも値上げラッシュで、おまけに消費税増税によりますます現金の価値が下がっていくことは確実だ。
そのため、現金もままで資金を銀行口座に眠らせておくということは、日々資産が減っていくことを受け入れるということでもある。
これは、気付いていない人が圧倒的に多いのだが、実際にスーパーなどで今後値上げされるものがどれくらいあるのかを数えていれば、おのずと現金の価値が下がっていることに気が付くだろう。
そのため、リスクを受け入れたうえで配当金などの不労所得を増やしていくことも検討しないと、じり貧状態になっていく可能性があるのだ。
どちらを選ぶのかは完全に個人の自由だが、じり貧状態になるのが嫌なのであれば、リスク資産を保有してみるという選択肢も悪くはないだろう。
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