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カルビーの温めて食べる「レンジdeポテリッチ」が発煙で自主回収を知った元株主の感想

「カルビーきついな...」

その日の仕事終わりに、東証一部に上場しているお菓子メーカーのカルビーの株価をチェックしてみると、年初来安値を更新しそうな額まで株価が下落していた。

カルビーといえば、お菓子のポテトチップスやかっぱえびせんといった、日本国内では食べたことがない人を見つけるのが難しいくらい有名なお菓子を量産しまくっている、名実ともに日本最強のお菓子メーカーだ。

そんなカルビーだが、先日、2016年の開発からようやく発売までこぎ着けた新発想のポテトチップスである「レンジdeポテリッチ」を自主回収しないとならない事態となっていた。

「レンジdeポテリッチ」は、電子レンジで加熱して食べるという、従来のポテトチップスとは全く違った新しいアイデアの商品で、発売されてすぐに話題となっていた。

しかし、今回レンジで温めると発煙してしまったり火が出たという報告を受けて商品を自主回収せざるを得ない事態となってしまったのだ。

実は、おいらも食べてみたいと思っていたので発売中止となってしまって非常に残念だ。

本当なら3月にはピザポテトバージョンを発売する予定だったようで、かなりの売れ筋商品になりそうな感じがしたんだけどね...。

それにしても、最近のカルビーは不運を極めているとしか言いようがない。

昨年、米国株投資家にはおなじみのグローバル企業・ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人の元経営者である松本晃氏が退社してしまい、ポテトチップスの原材料となる北海道産じゃがいもの供給不足も相まって非常に苦しい事業環境となっていたからね。

おまけに、ペプシコと提携をして海外事業を頑張っていたが、そちらもまるで上手くいっておらず、海外で成功しているのは中国向けのフルグラの輸出だけという状況だ。

カルビーの株価は上場後から2015年までひたすら上昇し続けて10倍株と化し、多くの投資家に恵みをもたらしてきた。

しかし、その後株価はずっと下落基調にあり、直近の決算内容が悪かったのもあって株価の下落に拍車がかかっていた。

そこに、今回の「レンジdeポテリッチ」の発煙・発火による製品自主回収騒動...。

このままでは、年初来安値を更新してしまい、ついに長期間にわたって維持していた3000円を割ってしまうかもしれない。

そうなってしまうと、現在外資系ファンドも持ち株を処分し始めているようなので、さらに株価下落に拍車がかかってしまう可能性があるだろう。

「カルビー頑張れよ...」

おいらは一応カルビーの元株主なので、堅揚ポテトを購入することで応援をしているが、ハッキリ言って全くカルビーの業績の助けにはならない。

カルビーのお菓子は日本では最強の座に君臨しているが、北米や欧州などではあまり受け入れられていないようなので、個人的にはそっちは撤退してアジアだけで頑張った方がいいような気がしている。

たぶん、欧米とアジア地域では、スナック菓子に対する嗜好が微妙に違うのではないだろうか。

北米では野菜スナックみたいなのやオーガニック系のスナックが売れ筋らしいが、それってモロ日本企業の得意分野のように思えるんだけどね。

一方で、インドネシアのスナック事業は好調らしいし、中国向けのフルグラの輸出は大幅に増加しているので、そちらで頑張ったほうがいいいんだろうね。

日本国内は好調だが、そのうちジリ貧になるのは分かっているので、やはり海外戦略を見直したほうがいいような気がする...。

決算資料を見て、小生意気にもそんなことを思ってしまった。

ところで、このカルビーだが、前述したようにカリスマプロ経営者の松本晃氏がライザップへ移籍してしまったことも大きなダメージのように思う。

松本氏はジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人の役員だった人物で、プロ経営者としての実績は日本でもトップクラスであり、カルビーをフルグラフィーバーで高収益企業へと成長させたことでも有名だ。

インタビュー記事なんかを見ると、外資系出身者特有のドライさもあるが、それだけではない魅力が滲み出ている人物だ。

ただ...多分、一緒に仕事をするとしんどいタイプの方だろうね笑。

部下を使うのが非常に上手そうで、厳しいというか、合理的でない行動に対してはとことん追求をされそうな感じがするからね。

そんな松本氏だが、多角化経営に失敗してピンチに陥っているライザップの救世主として再び世間の注目を集めている。

「助けてくれ」

とライザップに頼まれて移籍したようだが、ライザップの経営状態は買収した企業の問題もあり壊滅的に悪化していたので、その状態の企業に招かれるということはプロ経営者として本当に実力があるということなんだろう。

ただ、こういったプロ経営者が出て行った企業というのは、その後に業績が悪化してしまうケースもある。

その代表的な例がクックパッドだと思うのだが、同社は辣腕経営者の穐田氏を追い出してしまってからひたすらに業績が悪化し、株価は絶頂時の約1/10まで落ち込んでしまっている。

ウォーレン・バフェットの書籍によく、「バカでも経営出来る会社の株を買いなさい」的なことが書いてあるが、プロ経営者が辣腕ぶりを発揮して高収益をたたき出している企業というのは、逆に考えると「バカでは経営出来ない会社」だということになる。

そのため、松本氏が出て行った後のカルビー経営陣の負担は大きいのではないだろうか。

それにしても、今後カルビーの株価は一体どうなっていくんだろうか?

以前おいらが買ったときには運よく反発してくれたが、確かその時もジャガイモが不作で株価が落ち込んでいたんだよね。

なので、通年でジャガイモの供給不足問題が解消されれば、国内のスナック菓子事業は安定しそうなのでその点がどうなるかなんだろうね。

株価は先の出来事を見越して形成されていくので、「今年はジャガイモ大丈夫そうだ」となれば、今落ちて21倍になっているPERも上昇して、25倍くらいにはなるかもしれないなとは思う。

一方で、ここ数年は毎年大きな台風が上陸したり、大きな地震が起こったりしているので、「またジャガイモやばいんじゃないのか?」とも思ってしまう。

お菓子事業は一見チープな事業に思えるかもしれないが、ペプシコのお菓子事業部門の子会社であるフリトレーをみると分かるように、案外根強いニーズがある事業だ。

なので、アジアの新興国で頑張って今のうちにパイを抑えておけば、超長期間にわたり大きな利益を確保出来る可能性がある。

カルビーは国内で上場しているお菓子メーカーの中では一番海外展開が進んでいるので、是非とも頑張ってほしい。

日本企業は家電やIT、それから電子デバイスなんかでは海外企業にボコボコにされているので、せめてお菓子くらいでは勝ってもらいたいと思ってしまうね。

そんなカルビーへの応援の意味も込めて、本日の昼食はじゃがりこを食すこととする...。

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