ひふみ投信の基準価格は、ここ最近の日本株の上昇の恩恵を受け、徐々に回復傾向にある。
ひふみ投信は、一時期はネット上でフルボッコ状態だったが、最近では、基準価格が上昇した日にはひふみ投信に対してポジティブなコメントを残す人も多い。
投資信託とは言っても、要するにその本質は「お金」を増やすための投資商品なので、基準価格が下がって元本が毀損されれば、投資家たちはがっかりもするし、怒りもする。
ひふみ投信の経営陣も当然、その点については十分過ぎるほど心得ていて、利益追求をし続けることで、これまで投資家たちの期待に応えてきた。
そんな「ひふみ投信」のポートフォリオも、投資家たちの期待に答えるために、実は日々変化している。
投資信託といえば、プロに「お任せ」で資産運用することが出来るのが魅力の一つだが、自分が一体何に投資しているのかが分かっていないと、突然不安になることもある。
例えば、投資信託には様々な種類があり、「債券型」、「株式型」、「リート型」、「テーマ型」などなど、どれにしようか迷ってしまうくらい選択肢は豊富だ。
投資信託のパンフレットを見ると、なんだかどれもとても儲かりそうな気がするが、実際はすべての投資信託のパフォーマンスが良好というわけではない。
その時々の相場環境や経済環境によって、基準価格が上昇する投資信託というのは違ってくる。
例えば、ブラジルレアルの価格が上昇すれば、批判されることの多いブラジルレアル建ての投資信託の基準価格は上昇するし、米国の株式市場の調子が良ければ、米国株型の投資信託の基準価格は上昇する。
しかし、長期間で上昇し続ける投資信託は、ある程度数が限られてくる。
ひふみ投信は、そんな数少ない「長期間良好なパフォーマンスを叩き出した投資信託」の一つだ。
ひふみ投信の設定は、リーマンショックが発生した2008年10月だが、それから現在までのパフォーマンスは、なんと今年の3月末までで357%にもなる。
これは、分散投資でポートフォリオの安全性を高める投資信託のパフォーマンスとしては驚異的な数字だと言っていいい。
しかし、絶頂期のひふみ投信のパフォーマンスはさらに凄くて、昨年の9月頃のひふみ投信の基準価格は、設定来で約420%にも達していた。
そのため、今でも設定来から見ると十分に驚異的なパフォーマンスを維持してはいるのだが、直近で投資した投資家たちからは「パフォーマンスが悪い」と叩かれている。
初期のひふみ投信の戦略は、「小型株メインの投資」で、時価総額の小さな小型株に投資するポートフォリオを組んでいた。
時価総額の小さな小型株の場合、何かしらポジティブな出来事が発生すると、一気に投資資金が流入してきて、大型株では考えられないような株価の上昇をもたらす。
アメリカで1980年代に投資業界を席巻した「マゼランファンド」を率いていたファンドマネージャーのピーター・リンチも、ファンドの躍進に大きく寄与したのは、ダブルバガー(2倍)やテンバガー(10倍化)した小型株だったと語っている。
ピーター・リンチは徹底した企業調査を行うことで有名で、片田舎にある企業や不人気企業に直接訪問し、自身の目で事業を確認したり、商品を見たりすることで誰も見抜けなかった企業価値を見出し、驚異的なパフォーマンスを叩き出した。
ひふみ投信のファンドマネージャーたちも、日々企業研究を行い、時には直接企業訪問を行うことで、より成長性が高く、利益を生みだしそうな企業を探し続けている。
そうした徹底的な企業調査が、今日までのひふみ投信のパフォーマンスの土台を作ったのだ。
しかし、現在のひふみ投信は初期の頃と比べて資産総額が巨大になりすぎた結果、初期のように小型株だけではポートフォリオを維持できなくなっている。
ひふみ投信のファンドマネージャーたちがどれだけ優れていたとしても、「選りすぐりの小型株」の数はやはり限られているので、巨額の資金をそれら時価総額の小さな株だけで運用することは至難の業だし、リスクが高まってしまうからだ。
そのため、ひふみ投信のポートフォリオも時の経過とともに、徐々に変化している。
ひふみ投信のポートフォリオは、微調整も含めると結構変化しており、下記の通り、ここ1年の間に上位組銘柄群の顔ぶれも変わっている。
順位 | 2019年3月度 | 2018年3月度 |
1 | 協和エクシオ | Amazon |
2 | 光通信 | Visa |
3 | ネットワンシステムズ | 東京センチュリー |
4 | ガンホー | Microsoft |
5 | 東京センチュリー | 協和エクシオ |
6 | リクルートホールディングス | 光通信 |
7 | OLLIE’S | コスモス薬局 |
8 | 共立メンテナンス | ジョーボンドホールディングス |
9 | ダイフク | SGホールディングス |
10 | アンリツ | GMOペイメントゲートウェイ |
2018年の3月は米国株であるAmazonやVisa、それからMicrosoftなど成長性のある大型株が上位を占めているが、現在は日本株が上位銘柄を占め、米国株はアウトレットストアを展開するOLLIE’Sだけになっている。
全体の時価総額比較では、大型株の比率を落として、その分小型株を増やしている印象だ。
ひふみ投信のファンドマネージャーにインタビューしたわけではないので、ハッキリとした意図は分からないが、恐らくはパフォーマンスの改善を目指してより大きなリターンが見込める小型株の比率を増やしたのではないか、という印象だ。
このように、「ひふみ投信」と名のついている投資媒体だが、その中身はずっと同じではなく、日々最高のパフォーマンスを追求するために改善と工夫が加え続けられている。
ひふみ投信に投資するメリットは、このように運用のプロであるファンドマネージャーたちの創意工夫の恩恵を何もしなくても受けられることだ。
個人投資家で頻繁にポートフォリオの微調整を行ったり、投資対象として適正と判断できる銘柄を探したりするのは結構骨が折れる作業だ。
そのため、普段忙しくて投資に割く時間はあまりないが、資産運用はしておきたいという人にとっては、ある程度ニーズにマッチする優れた投資信託だと言えるだろう。
ただし、投資信託はあくまでも「投資商品」であり、貯金と違って元本を毀損する可能性があるので、購入時はきちんとその点も踏まえておくべきだろう。
そして、一応、中身がどのようになっているのかを把握しておくだけでも、値下がりした時にパニックになって投資信託を解約してしまい、その後の株価上昇時に泣きを見るという悲劇を防止することが出来ると思う。
ひふみ投信はかなりパフォーマンスが良好で、優秀なファンドマネージャーたちが運用する投資信託ではあるが、きちんとリスクもあると認識して投資することは結構重要だと思う。
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