「おじいちゃんの人生を一言で表すと、どんな人生でしたか?」
「暑かったです、とにかく暑さに悩まされた人生でした」
死ぬときにインタビューを受けたら、思わずそう答えてしまいそうだ。それくらい、毎日暑い。
ここ最近の自分の記事を見返してみたら、「暑い」というキーワードがひたすら出てくるので笑ってしまった。
しかし、それだけ連呼するくらい、とにかく暑いのだ。
そこで、どれくらい暑いのか他の国と比較してみたのだが、同じアジアの隣国であるタイの首都であるバンコクにおける年間の最高気温が約39℃らしい。
タイといえば、亜熱帯寄りの気候で、蒸し暑いイメージがある。だが、日本でも今年の猛暑で39℃を超える地域が続出しているので、すでに日本にいながら亜熱帯気分を味わえるという恐るべき状態になってしまっている。
もうええて...はよコンビニでシンハービール販売せえよ...。
シンハービールとは、タイのブンロート・ブリュワリー社という会社が作っているビールのことで、非常に口当たりがライトで、タイ料理のようなエスニック系の料理と相性がいいビールのことだ。
クソ暑いタイでは、あまり濃厚な味のビールは好まれず、シンハービールのような軽い爽やかな味のビールが好まれる傾向がある。
確かに、汗をかくとプレミアム・モルツよりも、シンハービールを飲みたくなる。
さてと、本日はそんなシンハービールの故郷である、タイ株式市場に上場している銘柄のお話だ。
新興国の株式市場といえば、ずっと以前に発生したアジア通貨危機や、最近のトルコリラの暴落で、非常にボラティリティが高くて危険な相場というイメージを持っている人も多い。
それも確かに当たっていて、一例を挙げると、おいらが社会人になったばかりの頃は、BRICSと呼ばれる新興国が今後の世界経済を担っていくと期待され、非常に注目を集めていた。
BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国のことを指す略語で、ゴールドマンサックスによって名づけられた。
おいらの記憶が確かであれば、確か昔、BRICS5か国に上場する株式に投資をする、BRICS5という投資信託を買ったような気がする。少し含み益が出て、ソッコーで解約してしまったと思うが。
と思って見てみたら、まだあったよ、BRICS5!
2005年に設定された投資信託だったんだな。で、中身を見てみると、組み入れ上位銘柄のトップはロシアのズベル・バンクという銀行株で、アリババなんかも中国の企業なので組み入れられている。
セクター別では、1位が銀行で、2位はエネルギーとなっている。
これは、前回記事で書いたVTIとの違いがやはり出ている。米国における成長セクターはテクノロジーだが、ブラジルやロシアといった新興国ではエネルギー産業に依存している度合が高いめ、そういった銘柄の時価総額が大きくなってしまうのだろう。
今後の世界でどの産業が伸びていく可能性が高いかというと、恐らく誰に聞いてもテクノロジーだと答えるだろう。
したがって、VTI等の米国株式インデックス型のETFや投資信託と比べると、手数料を抜きにした場合でも、やはりパフォーマンスに差が出てしまう。
BRICS5の基準価格は、最近ようやく2007年頃のリーマンショック前の水準を突破したところだが、VTIの一口当たり価格は、とっくの昔にリーマンショック前の水準を回復し、その後2倍程度まで価格が伸びている。
要するに、VTIの場合は、中に詰まっている株たちの株価や、入れ替えられた銘柄の価格が上昇し続けたというわけだ。
一方で、BRICS5の方は、米国株式市場の上昇には全く及ばなかった。
BRICS5は米ドル建てで組み入れている銘柄もあれば、ブラジルレアル等の新興国通貨建てで組み入れている銘柄もあり、為替ヘッジは行われていない。
そのため、これはあくまでおいら個人の予測ではあるが、BRICS自体の株式市場のボラティリティの高さ、および資金が振り分けられるセクターの弱さと、新興国通貨特有の為替の振れ幅が合わさってしまい、結局米国株式市場のパフォーマンスには遥かに及ばなかったということではないだろうか。
こういった点から見てみても、やはり米国株式市場最強説は納得がいく。
株式市場自体の強さと、通貨の強さが合わされば、日本円換算したときの価値は、米国株を買った方が新興国株を買うよりも上昇する可能性が高いだろう。
あくまで、インデックスであれば、という前提付きではあるが。
ところで、冒頭でお話したシンハービールの故郷であるタイの通貨バーツは、リーマンショック後に対円でどのような値動きをしてきたのだろうか。
おそらく、ドル/円よりも遥かに激しいジグザグなチャートになっているのだろうと思ってみてみたが、10年で見るとあまり米ドルと形の変わらないチャートとなっている。
2009年以降の対円での最低値と現状の為替での取引値を比較すると、米ドルもタイバーツも最低値にくらべて、現在の取引値は約1.4~1.5倍程度となっている。
つまり、為替の影響という点では、米ドル建ての米国株に投資するのも、タイバーツ建てのタイ株に投資するのも、多少のブレはあるが、そこまでは大きくパフォーマンスに影響しなかったと言えるだろう。
ただ、これは有事の円買いというセオリーがこれまで為替市場で機能していたからで、今後米国が利上げを加速させていけば、今後もこの通りの値動きになるのかは分からない。
アメリカの財政が健全化しなければ、案外同じように有事の円買いのセオリーが機能するような気もするが、為替の値動きだけは本当に読めないので、この点はおいらには予測ができない。
しかし、対円で見たときの通貨の強さだけで言えば、トルコリラやブラジルレアル、それからインドルピー等よりかはタイバーツの方がずっと安定しているので、それらの国々の通貨建てで投資をするよりかは、タイバーツ建ての資産に投資した方が、通貨価値の減少による資産目減りのリスクは低いだろう。
これは確かホリエモンが言っていた気がするが、札幌でマッサージのサービスを受けた場合と、タイのバンコクなんかでマッサージを受けた場合の価格が、現在ではあまり変わらくなってきているという。
ひと昔前なら、日本円を持っていけば新興国で豪遊できていたが、今後は新興国に行ってもそれなりの日本円をもっていかないと豪遊は出来なくなるのかもしれない。
次に、タイ株式市場全体のこれまでの動向を見ていこう。
タイの株式指数にタイSET指数というものがある。これは、タイ証券取引所に上場されているすべての銘柄を対象として算出されている株価指数だ。
このタイSET指数がどのような推移をしてきかというと、VTIと同様に、リーマンショック前の水準の2倍程度まで成長している。
つまり、リーマンショック後に多少の暴落や停滞はあったが、結果的に株価は上昇し続けてきたということになる。
米国株式市場には劣るが、少なくとも日本の株式市場よりかは成長力に勢いがあるだろう。日経平均は、リーマンショック前の株価をようやく突破したかと思ったら、かなり足踏みをしているような状態だ。
この点から考えると、日本市場よりかはタイ市場の方が成長力があり、対円で見た場合の通貨による目減りの影響もこれまでの実績からはそこまで大きくないことから、新興国の中では投資対象として銘柄を選定する候補として優秀なように思う。
そして、タイ株には結構高配当な銘柄が多い。以前紹介したビューティーコミュニティーもそうだが、5%を超える配当金を支払う銘柄だって存在する。
ビューティーコミュニティーは、おいらが記事を書いた時から30%も株価が上昇しているが、上昇した理由については全くの謎である。
謎、謎、謎!!
マジで謎すぎる。やはり、タイ株に投資をする場合は、現地の銘柄情報を豊富に提供してくれる証券会社じゃないとダメなんだろうな。
しかし、一方では、個人投資家が色々なことを考えて個別株を買っても、あんまりいい成果が出るもんでもないかも、と最近は思う。
最低限、売上高の伸びや、その事業が将来的に成長しそうかくらいを判断するだけで十分なのではないだろうか。
というか、おいらのような普通のサラリーマンが外国株に投資する場合は、それが限度ではないかと思うのだ。
外国企業の決算書を見て、詳細な分析をするなどおいらには到底不可能だ。
だから、Amazonがこれからも色々な事業で既存企業を駆逐しそうとか、アップル製品はまだまだ売れそうとか、エクソンモービルは値上がりしないが配当金はきちんと支払うとか、そのくらいの情報で投資するしかない。
しかし、結構アバウトな感じで投資していても勝っている人もいるので、「何となくよさそうだ」くらいの感覚で投資してもいいのではないかと思う。
ただ、タイ株についてはアバウトな判断を下す最低限の情報すらない場合もあるので、やはり投資する場合は指数連動型のETFにしたほうが安全かなと思う。
ちなみに「安全」とは、当然ながら個別株特有の激しい値動きによる、価値減少のことを指す。
いきなり株価が30%OFFといった悲劇に見舞われるというリスクのことだね。
その安全を捨てた上で投資をする場合は、タイ個別株もPERや成長性、配当利回りの観点から中々いいのではないかと最近、個人的には思っている。
そう思いながらスクリーニングをしていたところ、配当利回りが5%超かつ、なんとなく成長性がありそうだなという銘柄を発見した。
それが、ランド・アンド・ハウジズというタイの財閥系不動産会社だ。
この会社の事業は、一戸建ての建売りやコンドミニアムの販売、それから商業施設の開発などの不動産業全般だ。
かなり歴史のある企業のようで、高級物件の開発で有名なようだ。また、商業施設の受益権をREIT化してタイの証券取引所に上場させるというようなこともやっているようだ。
現状のPERは14倍程度で、配当利回りは昨年ベースで5.9%ほどとなっている。
ちなみに配当利回りは、ここ数年間はずっと5%台を維持しているようだ。
はっきり言っておいらはこの企業のことは全然よく分かっていはいないが、タイは2031年ころに人口ボーナス期を迎えると言われていることから、まだまだ国内需要による成長が見込め、物価が上昇傾向にあることからも、人々が豊かになっていくことは何となく予測がつく。
そのため、高級物件やコンドミニアムの需要も今後増加していく可能性が高いと見込めるので、同社の事業も安定的に成長するのではないかと思う。
ランド・アンド・ハウジズはタイ国内では最強クラスの不動産開発会社なので、タイ国全体の経済発展の恩恵を受ける可能性はかなり高いだろう。
また、タイは外国人にも人気の投資先で、特にコンドミニアムの需要はかなり高いそうなので、そういった状況が続けば同社の事業に優位に働いていくのではないかと思う。
ここ数年は売上高や純利益も増えているようなので、恐らく今後も何か大きな経済危機が発生しない限りは緩やかに成長を続けていくのではないだろうか。
まあ、景気の影響をモロに受けるという点は注意なのだろうが、はっきり言ってそんなのどの銘柄でも同じだから、買う場合は割り切って買うしかないんだろうな...。
それにしても、タイのことを色々調べていて思ったのだが、やはり人口ボーナス期がとっくに終了してしまった日本という国は勢いがない。
株式市場としては整備されているし、結構魅力的な企業もいっぱい上場しているのだが、なんせ国全体にエネルギーがない。
人口がひたすら増え続けたら国がパンクしてしまうし、地球全体を破壊してしまう可能性が高いので、どこかで人口の増加はストップをかけないといけないとは思うのだが、やはり人口が減っていくということは経済に勢いが無くなることと直結する。
ということは、世界人口の増加にストップがかかった時こそが、資本主義社会が終了するときなのかもしれない。
これ以上人間が増えまくり、二酸化炭素をそこかしらの国々が排出しまくれば、いずれは日本の最高気温が45℃にまで達する日がやってくるかもしれない。
そうなると、もはやシンハービールを飲んで喉を潤すどころではなくなるんだろうな...。
資本主義が終了するのは勘弁してほしいが、これ以上暑くなってしまうのも考えものである。
何となく、そう思った。
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