たばこ株のJTと言えば泣く子も黙る高配当株として非常に有名で、かつては株価の上昇と配当金の支払いによって投資家たちに多くの利益をもたらしていた。
JTの配当利回りは常時3%を超える水準で過去何年も推移していて、最近ではその配当利回りは何と7%を超えているという超高配当な状態だ。
配当利回り7%というと、源泉徴収された後でも5%超の利益が残る計算となり、これは現在の極めて低い銀行の定期預金の金利などを考慮に入れると信じられないくらい高い配当利回りだと言っていい。
そのように極めて高い配当利回りを誇る超高配当株でありながらJTの株価は下がり続けており、それに比例してさらにJTの配当利回りが高くなっていくという現象を我々は目の当たりにしている。
JTが配当利回り7%を超える超高配当株なのに株価が下がり続けている理由は、いったい何なのだろうか?
その答えは、ずばりJTが衰退産業に該当するからで、これから成長を見込めない事業を展開している企業に対して、投資家たちが投資をすることをためらうから株が買われず、したがって株価が下がり続けているのだ。
JTに限らず、海外のたばこ銘柄にしてもそうなのだが、これからたばこ産業自体が衰退していくことは人々の健康志向の高まりや、医療費の抑制方針などからもはや目に見えていると言ってもいい。
そんな中で、JTに代表されるたばこ株たちがこれまで通りに高い配当利回りを投資家たちに提供し、アナウンス通りに配当金を支払うことが出来るのだろうか?
この疑問は、JTに投資をしていない高配当株投資家たちも胸に抱いているケースが多いと思うのだが、実際のところは利益が減少し続けるフェイズに入ってしまうと、それは厳しいだろう。
各社さまざまな新しい事業や事業買収などの戦略で何とかこの衰退局面を乗り切ろうとしているのだが、それが上手くいかなかった場合は当然利益は減少してしまうだろう。
そして、利益が減少してしまえば当然のことながら利益を原資にして支払われる配当金の額も減少してしまう可能性が高い。
もしもたばこ銘柄に投資をする場合は、この点も考慮に入れて投資をするのかどうか、を考えることを個人的にはお勧めしたい。
一方で、衰退産業の中にもしばしば成長企業が現れることを考えると、一概に投資候補から外すものでもないとは思うが、とはいえ、たばこ産業はなかなか厳しい状況にあるのではないだろうか。
さて、配当金を支払ってくれる高配当株は何もたばこ産業だけではなく、他の産業にもたくさんあるわけだが、現在はデジタルシフトチェンジが起きている、ということを認識しておく必要がある。
デジタルシフトチェンジとは、要するに既存の産業がデジタル化されて別の産業に変化し、企業の入れ替わりが起きているということだ。
例えばだ、TVはユーチューブにシェアを奪われ、TV局は衰退していっているのは明らかだ。他にも、過去にはDVDがストリーミングサービスにシェアを奪われてしまったり、ハンコ産業は電子サインにシェアを奪われようとしている。
このようなフェイズにおいては、昨日までの高配当企業が急に落ちぶれてしまって配当金の支払いすら出来なくなってしまう、ということが普通に起こりえるので要注意だ。
自動車産業なんかもそうで、テスラの大成功からも分かるように、今はプレイヤーが入れ替わろうとしてる段階なのだ。
そのため、投資家の立場としては、今現在高配当な企業だけを見るのではなく、「未来の高配当株はどれか?」という視点で市場を観察することが今後非常に重要になってくるのではないだろうか。
株で夢をかなえよう