エクソンモービルを筆頭とする石油企業に関しては、配当利回りが高く、投資家に非常に多くの配当金を支払ってくれて来た高配当株であることが多く、配当金好きの投資家であれば保有していることが多い。
そんな石油企業が今窮地にさらされているのだが、その理由は原油価格の暴落だ。
以前までは、原油価格は50~70ドルくらいで推移していて、石油企業も何とか利益を確保できる水準だったのだが、最近の新型コロナウイルスの感染拡大により経済が収縮してしまうことを織り込み、原油価格は下落し続け、なんと先日ついに20ドルを割ってしまったのだ。
原油価格が20ドルを割るのは、18年ぶりのことだそうで、まさに原油相場には未曽有の下落圧力がかかっているといえる。
このような環境下においては、配当利回りが7%や8%を超えているような超高配当な石油株の配当金にも相当な影響を及ぼす可能性が高い。
というのも、石油企業の利益は原油価格が高ければ高いほど上昇するので、その真逆の状況になってしまっているいま、石油企業にはすさまじいまでの逆風が吹いていると言っていいだろう。
それだけではなく、今の原油価格だと世界最大の石油企業であるサウジアラコムですら利益を確保するのが厳しいので、もはや石油企業は赤字にどれだけ耐えられるのか、という点が注目される。
通常、原油価格の下落はエクソンモービルのような高配当石油企業にはネガティブな要因となるのだが、一方で新興国の経済や、日本のようなエネルギー輸入国の経済にとってはポジティブな要因となることもある。
例えば、運送業者やタクシー業者などは原油価格が下落してガソリン代が減少すれば利益は増加するし、工場を保有するメーカーも原油価格の下落でエネルギー代が下がれば費用が下がって利益が上昇する可能性がある。
新興国なんかは原油をガンガン使って工業生産をしまくっているので、原油価格が下がれば当然のことながら経済全体が活性化する。
しかし、今現在は新型コロナウイルスによって「人」と「物」の移動に制限がかかっているような状況で、日本で緊急事態宣言が発令されたことからも分かる通り、経済が完全にストップしかかっているような状況だ。
要するに、運送会社が運ぶ荷物も減っているし、タクシー会社が乗せる乗客も減っていて、さらには新興国の工場は停止しているため、原油価格が下がっても経済にポジティブに働かないような状況になっているのだ。
そう考えると、今現在の株価は緩和マネーなどで訳の分からない値動きをしているのだが、「原油価格は実体経済を如術に表している」と言えるのかもしれない。
実際の需要を反映して価格が下がっているわけだからね、原油の方は。
ところで、原油が湧き出すため、その原油を利用して国際的な地位を築いてきた産油国が今危機的な状況にさらされている。
というのも、当然のことながら産油国は原油に自国の経済のほとんどを依存しているため、経済構造が非常に偏ったものとなっているため、原油価格がこれ以上下落すると財政状態が本当に破綻してデフォルトしてしまう可能性があるだろう。
そうなってしまうと、そういった恐れが顕著になってくると産油国の国債の価格が暴落してしまったり、さらには政府系のファンドが大量に株式を売却するため、金融市場にも相当な影響が出るに違いない。
ただ、問題なのはそこではなくて、産油国がデフォルトし始めると、中東の秩序が崩壊してしまうので、世界情勢が緊迫する可能性が高い。
その際、現在米国はコロナのせいで中東情勢にそこまで深く介入できるような状態か疑問が残ることろなので、これまでにないような展開となり、国際秩序の崩壊にもつながりかねない。
なので、個人的には産油国のデフォルトが連鎖的に起こるような事態は起こらないで欲しいのだが、現在の原油価格を見ていると、さてどうなるのか...といった感じだね。
株で夢をかなえよう
※石油株が好きな方は、下記のボタンを猛プッシュして欲しい!!配当金が好きな方も猛プッシュを頼む!!それ以外の方は、押さなくてもいい。