もしも、「天井に張り付いて欲しくない人ランキング」というものがあれば、間違いなく世界第1位に君臨するのは、フランス人俳優であるジャン・レノ氏だろう。
その理由は、かぶまくら史上最も見た回数が多いフランス映画である「レオン」を見れば誰でも分かることだ。
映画レオンは、映画監督である巨匠リュック・ベッソンの出世作であり、最高傑作と言ってもいい作品で、ジャン・レノ演じる孤独な殺し屋レオンと、幼き日のナタリーポートマン演じる家族を殺された孤児のマチルダの交流を描いた物語で、多くの人を号泣させた名作だ。
リュック・ベッソン監督の映画はどれもそうなのだが、日本人好みの繊細な表現とスピード感溢れるアクションが混在しており、それらが混じり合った独特の世界感が、日本人の美的感覚にマッチする。
そのため、ここ日本でもリュック・ベッソンを支持する映画ファンは非常に多い。
そんな映画レオンの中で自分にとってトラウマとなっているシーンがあって、それはヒロインのマチルダを狙っているギャングの殺し屋たちが、マチルダを守るレオンのアパートに侵入してきたとき、殺し屋たちがドアを開けた瞬間に天井に張り付いていたレオンが銃を撃ちまくるシーンだ。
あのシーンを見て以来、私はドアを開けるたびに、「天井にジャン・レノいたらどうしよう」といった感じで怯えるようになり、そのトラウマは今でも時おり発動するほどで、私は医者から「天井にジャンレノいたら怖い症候群」という不治の病に侵されていると診断されている。
そんな恐怖とトラウマを私に植え付けてくれた映画レオンなのだが、見ていると途中からこんな感覚を感じるようになる。
ーこれはラスト、レオンは死ぬなー
そう、この映画に漂う、人の感情を繊細に刻み込んだような悲壮感が、ラストで主人公が死ぬことを途中の段階で予感させるのだ。
同じように、最近はラストが何となく見えている高配当株が存在しており、私はそれをいまだに保有しているのだ。
最近、私がいまだに保有している高配当株であるエクソンモービルを取り巻く事業環境が、もはや私の理解の範囲を遥かに超えた状態になってしまっており、株価がひたすら下落しまくっている。
そのため、エクソンモービルは私史上最も期待を裏切っている米国株という不名誉な勲章を与えられているのだ。
私はひたすらあいみょんの名曲マリーゴールドを口ずさみながら、もう株価を見ることはやめ、これ以上原油価格が暴落しないことを祈っているのだが、神は一切私の祈りを聞くことはなく、原油価格はバナナのたたき売りを超えた、ハイパーたたき売り状態になってしまっている。
さらには、原油を鬼のように増産して原油価格を破壊したサウジアラビアが石油企業の株を買っているというニュースを見たが、もはや反則だろうそれ．．．と思うのだが、これが資本主義社会なのだ。
弱きものはひたすらに搾取され、富めるものはますます富めるようになる。
なので、「天井にジャン・レノいたら怖い症候群」だと医者に診断されている私は、震えながらエクソンモービルの株を保有し、配当金を受取るしかないのだ。
そして、頼みの綱の配当金ですら、コロナの影響が長期化すれば無くなってしまうかもしれない。
これはもしかしたら．．．米国株投資家の誰もが予測していない、まさかの事態が起こる．．．のか？
最近の原油市場には、映画レオンに漂っていたような、チェロでゆっくりと奏でるメロディのような悲壮感が漂っている。
まさか．．．大丈夫だよね？
そう問いかけても、答えは誰も教えてくれないので、最近はもう原油価格を見るのはやめてしまい、車に入れるために立ち寄るガソリンスタンドでガソリンが安いと、「あざっす」と意味不明にテンション高く言うようにしている。
さて、OPEC＋ではついに原油の減産に合意をしたわけだが、原油価格は特に反応をしめしておらず、現時点で１バレル２０ドル台の価格で推移している。
この水準の価格が続くと何が起こるかというと、シンプルに現在米国で原油を生産しまくっているシェール企業が倒産しまくることになる。
それこそが、サウジやロシアの狙いなんだろうが、原油価格が上昇しないのは何もそれだけではないだろう。
少なくとも、今後１年は景気が後退する可能性が高く、さらには現在今までに世界経済が経験したことがないような各国鎖国状態になってしまっているので、どこまで経済が悪化するのかが読めないような状況だ。
なので、世界経済のエンジンとなっている新興国などでの石油需要がどれくらい減るのか、という点がある程度見通せるような状態にならないと、原油価格は低迷し続ける可能性があると考えている。
個人的には、サウジアラビアなどの産油国の財政状態が非常に心配だね．．．サウジアラビアの政府系のファンドが株を大量売却するくらいならいいのだが、それ以上の事態になったら影響がでかすぎるからね。
まあ、そのようなことを個人投資家である私が心配しても仕方がないので、しばらくは映画レオンを毎晩見ながら、「天井にジャン・レノいたら怖い症候群」を何とか克服しようと思う。
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