アメリカの投資番組が面白いらしい。司会者が、大声で興奮しながら唾をまき散らし、おすすめ銘柄についてコメンテーターに質問する。コメンテーターはしたり顔で今後の展望を述べる。
テレビの向こうの投資家たちは、顔を真っ赤にしながら食い入るようにしてテレビを見つめている。最後に司会者が大声でこういう。
「ボビー、なんてことだ!!これは買いだ、すぐに買わないといけない!!PERは1000倍と割高だが、この会社にはそれを補うほどの潜在的な成長性がある!!BUYだ!!すぐにだ!!」
観客から一斉に拍手が起こる。興奮は最高潮に達する。
そして投資家たちは、月曜日の朝いっせいに証券会社に電話をする。そして株価は上昇する。しかしその上昇はすぐに終わってしまう。10%ほど上昇したところで、プロの機関投資家たちが売りを浴びせる。
年間の利益の1000倍の額で取引されていた超割高株は、一瞬で10分の1まで値を下げてしまう。
そして次の週、同じ投資番組で司会者がこう言う。
「ボビー、なんてことだ!!先週紹介した株が暴落してしまった!!PER1000倍が100倍になってしまったんだ!!これは千載一遇のチャンスだ!!大バーゲンセールだ!!BUYだ!!すぐに買わないと!!」
投資銀行の休憩室でその番組を見ていたファンドマネージャーのチャックが、ほくそ笑みながらこう言う。
「またぼろ儲けだ」
リサーチに基づいた売買とは
マゼランファンドの運用規模を13年間で777倍まで育て上げた伝説のファンドマネージャーであるピーターリンチはこう言う。
ーアマチュアのほうが、プロよりも市場で成果を出しやすいー
なぜかというと、アマチュアにはいつ株を買わなければいけなくて、いつ株を売らないといけないという基準が無く自由だからだ。
しかし、プロの機関投資家たちは、決算期ごとに成果を求められるため株を頻繁に売り買いしないといけない。それが仕事なのだ。
高学歴のエリートたちがその頭脳を駆使し、超高速コンピューターまで操り、個人投資家たちの動向を先読みして買いを入れたり売りを浴びせたりする。
だから短期間の売買でプロに勝負を挑むのは、少年野球のチームがメジャーリーグのチーム に勝負を挑むようなものなのだ。
だけどピーターリンチはこう言う。
ーアマチュアのほうが、プロよりも市場で成果を出しやすいー
要するに、その株に著しい成長性や、業績回復などの株価が上昇する要因があると判断出来るのであれば、アマチュアはずっと保有することも可能だ。一方でプロは一定の利益が上がれば売却をしないといけない。
だから、もしもその株が現時点で確実にさらに値上がりが期待出来るのであれば、アマチュアであれば持ち続ければいい。結果的に株価はさらに上昇し、結果としてプロを出し抜ける。
しかし、株を持ち続けるには根拠が必要だ。その根拠は確固たるものでなければならない。ネットで素人が拾える情報はプロもみんな知っているはずだ。
だったら、こっちは足を使ってリサーチするしかない。ピーターリンチもこう言っている。
ー最新の情報を求めて投資新聞を読むよりも、ショッピングモールをぶらぶら歩くほうがよっぽど優れた投資戦略だー
おいらはこれを真に受けて、よくショッピングモールをぶらぶらしている。
ポテトチップスが売れている
昨晩、おいらはまたしょうこりも無く、近所のショッピングモールをぶらぶらしていた。スーパーとショッピングモールをぶらぶらしながら投資のヒントが無いか探すのが、最近の土日の過ごし方だ。
なぜそんな過ごし方をしているのかというと、彼女もいないし友達もいないからだ。日本中の独身中年サラリーマンのみなさま、安心しましたか?一人じゃないですよ。あなただけじゃないんですよ!
ショッピングモールの食品コーナーに行き、どんな商品が今売れているのかをチェックする。スナック菓子のコーナーに行くと、あれ、無い。無いのだ、カルビーのポテトチップスが。
一時期、カルビーのポテトチップスがお菓子コーナーから消えていた時期があった。昨年の台風の影響で材料となるジャガイモが不足し、生産量を調整していたからだ。
しかし、じゃがいもの調達に目途がつき生産量が回復しているにも関わらず、ポテトチップスがなくなっていた。そしておいらは目撃した。60代くらいの男性がポテトチップス塩味を買っているところを。そして、そのあと50代くらいの主婦もじゃがりこを買っていった。
おいらは思った。最近健康志向が広がり、スナック菓子や炭酸飲料が嫌煙されているというが、実はみんな昔と変わらずに結構好きなのではないかと。
今後、今55~60才くらいの人たちが大量に退職してく時期を迎えるが、そういう人たちは昔からポテトチップスを食べているので、退職して暇になればしょっちゅう買って食べるようになるのではないかと。
ポテトチップスには、チープだが病みつきになる一種独特の味わいがある。実際おいらも昨晩一袋を消費してしまった。そう考えると、カルビーの事業は固定の既存客を取り込んだストック型の事業と言ってもいいと思う。
今のカルビー株は買いなのか、おいらは自宅に帰って調べることにした。単に棚からポテチがなくなっているというだけで投資するのか判断してはいけない。
以前保有していた銘柄なので、ある程度のなじみもある。おいらは、自宅に帰ってカルビーの現状を調べてみた。
カルビーは見通し良好
家に帰ってノートパソコンを開き、カルビーのホームページから最新の決算短信を開いてみる。
2018年3月期第3四半期の決算書では、純利益が前年同期比で9.3%落ち込んだとある。
国内はスナック事業、シリアル事業ともに売上高が減少してる。スナックについては、恐らく昨夏のじゃがいもの供給不足も影響しているのだろう。
シリアルについては、大きく売上高が減少している。海外での消費量の変動が影響とあるが、おそらくみんながフルグラに飽きてしまったのでは無いか、それと同じような製品が大量に出てきて競争が厳しくなったか。
海外事業に目を向けると、主力の北米での事業不振が目立つ。前期比でマイナス10.9%だ。一方で、中国やその他アジア、豪州、欧州での売り上げが50%と伸びている。全体としては20.6%売り上げが伸びている。
これから人口ボーナス期を迎えるアジア地域で売り上げ高が伸びているのはかなり明るい要因ではないだろうか。中国はこれから人口が減少していくだろうが、消費意欲が盛んで、特に日本の高品質な製品を好む傾向にある。
フルグラが中国の独身の日※に越境ECで驚異的な額を売り上げているらしい。越境ECとは、国境を超えたEC、つまり日本の法人が国境を越えて中国に物を通信販売することを指す。つまり中国向けの通販でフルグラがメチャクチャ売れているのだ。
※独身の日:中国では11月11日を独身の日とし、彼女や彼氏がいない独りぼっちの人のための日の記念美とされている。その日に、通販大手のアリババがセールを仕掛けたのがきっかけで、独身の日は大商戦の日となった。その日の売上高は5兆円(国家予算か)を上回る。
中国の人口は13億人で北米は3億人。潜在的な顧客数でいえば圧倒的に中国のほうが高い。中国はECやスマホが急速に広まっているので、今後より広い顧客層がECを通じて日本商品を購入することになる。
カルビーはすでにフルグラの成功で一定のブランドイメージを確立しているので、今後さらに中国での売り上げの増加が見込めるだろう。
なので、見通しは良好と思われる。
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「さあ、ボビー聞いてくれ!!そんなカルビーの株がPER28.36倍、PBR3.66倍、配当利回りは1.1%程度と大バーゲンセール中だ!!今すぐに買わないといけない!!今すぐにだ!!BUYだ!!注文を入れろ!!大量だ!!大量にいれないと大きく儲けられない!!」
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※投資は完全に自己責任です。当NEWSを見て投資判断をすることはやめてください。よいこのみなさんは、きちんと自分で足を使って納得してから株を買いましょう。
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